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コミュニティ福祉学部
科目名:コミュニティ福祉学部専門科目
「障害者福祉論1(身体)」


担当:コミュニティ福祉学部教授 
   赤塚 光子 教授


取材日
6月17日(月)13:10〜14:40 N421教室
6月24日(月)13:10〜14:40 N421教室

この授業では、障害者福祉の理念、障害者福祉の進展を踏まえ、わが国の身体障害者の定義や身体障害者福祉法にもとづく障害者福祉施策および療育、教育、リハビリテーション、雇用などライフステージに対応した関連施策の体系とその内容を講義し、障害者福祉の課題を整理していきます。6月17日と24日の2回は、ゲストスピーカーをお招きし、講義で学んだことの実際はどうなのか、当事者の立場、親の立場からご自身の言葉で語っていただきます。

6月17日は大学在学中に交通事故で障害をもち、リハビリテーション後、復学、働きながら、スポーツ(オフロード車いすによるダウンヒル競技、この5月の大会で優勝)に力をいれている田村匡史さんがスピーチをしてくれました。

写真:スピーチする田村さん

1.リハビリテーションを行っていく上で専門職に望むこと
・社会復帰を前提とした「治療」と「日常生活活動動作訓練」であり、最大限機能回復を図るための方策、治療の現状や健康を維持するためのアドバイス。
・受傷による身体への影響を網羅した情報や健康の維持、社会復帰の方法などの情報
が不完全で曖昧である。→最終的に判断するのは本人である。判断材料の十分な提供を。
・精神的な面でのケア(メンタルヘルスケア)を含めてのリハビリテーションプログラム。
 
2.社会復帰に向けての雇用面での問題
・日本の企業は障害者雇用による社会貢献の認識が薄い。配慮が少なくてすむ軽度の
障害者を選んでいる。
・ハンディキャップを考慮したマネジメント、評価が行われることが少ないため、ネガティブな意味での「健常者と肩を並べる」状況になる傾向が強く、本人の能力を発揮できないばかりか、障害者が職場に定着しにくい。
・経済情勢、雇用情勢が悪くなると、まず障害者の雇用が圧迫される。
写真:車椅子マウンテンバイク
3.ハンディキャップをもったことによって考えたこと
・他者との比較による相対的な価値基準ではなく、自分の能力を最大限活かして自立心(たよらず)、自律心(コントロールする)を持って生きること。他者と同じようにできなくても自分自身で工夫したり、できるところまで自分で行い、できない部分は第三者のサポートを受けながら行うことが大切。
・基本的人権をはじめとした権利の尊重、機会均等の正しい認識とそれに基づいた行動の実践。
・相手の立場にできるだけ近づいて考えてみること。→相互理解、受容
・情報に対するアクセスの保証、および必要な情報の開示、情報提供の場があること。
など、ご自身の活動である車いすマウンテンバイクレーサーの競技のビデオや、ボランティアで行っている独立心を養うための「チャレンジツアー」の活動のビデオを上映し、「よりよく生きる」ための取り組みを熱く語ってくれました。
授業終了後の学生の感想です。
「実際に普段私たちが気づかないことがたくさんあって、今日はいろいろな資料や映像で見せていただいて、実際のリハビリテーションだとか車に乗る際のことがよくわかって障害者福祉考える上で大変参考になりました。」
  写真:質問する学生
6月24日は、無痛無汗症という難病の子どもをもつお母さんの皆河える子さんが、子育て中の話や子どもが学校を卒業後、始めたNPOの地域活動のことをスピーチしてくれました。

1.「無痛無汗症」とは
 「無痛無汗症」は、痛みや熱さ冷たさの感覚がなく(にぶい)、汗がでない(少ない)病気です。ふだんどちらかといえば不快に感じる「痛み」や「汗」は命を守るために大切な働きをしています。けがや火傷、虫歯、骨折などに気づかず悪化させたり、知的障害や他動傾向を伴っていることが多いため、安静を保つことがむずかしく、治療が困難な場合が多いのです。また、体温調節ができないために夏は高熱に冬は低体温になり、命にかかわることもありました。
写真:皆河さん
「日本で(世界で)数例しかない」「原因は不明で治療方法もない」「先天性の治らない病気」といわれ、周囲の人たちからも理解されにくく、孤独なままに手さぐりで育ててきたのです。
 平成5年に関東地区の3家族の呼びかけで無痛無汗症の会「トゥモロウ」が設立され、共通の悩みや苦しみを共感できる仲間に出会い、多くの具体的で効果的なアドバイスを得る事ができるようになりました。医療・教育・福祉などの専門家、ボランティアの支援・協力を得て毎年検診会とシンポジウムの開催、無痛無汗症ハンドブック、手帳を作成してきました。
2.NPO法人 福祉ネット「ナナの家」の活動 (赤塚先生は「ナナの家」顧問)
1「ナナの家」紹介ビデオを観たあと、
2「ナナの家」の障害観
 障害は1個の魂の属性、つまり個性 →障害は個性という考え方が日本ではなかなか行き渡っていない。
 社会的マイナスの属性→さまざまな援助
 社会的プラスの属性→社会への役立て
 →適切な支援が必要であり、能力のあるところを支援されても困
写真:資料を提示しながらのスピーチ
3活動の紹介
福祉に関心のない人との交流を深める。相手を理解する(交流が必要)。
好きなことをいっしょに活動したら障害を持つ人がとなりにいたという発想でよい。
・NGO活動
  NGO映画祭開催、
  フィリピンマニラのスモ―キーマウンテン(ごみの山)での体験
  日本の粘り強いNGO活動に勇気づけられた
・交流活動のひとつとしての乗馬
・ハンディサッカー(健常者も含め選手全員車いすに乗り、手を使ってのサッカー)
・地域デイサービス活動
・グループホームへの模索
写真:活動の様子をビデオで提示しながらスピーチ

4活動の原点と目的
 なぜ、と思う気持ちを流さず、しっかり受け止め、行動に移すこと。幸せ(福祉)探し。

5これから福祉を目指そうとする人に望むこと
 必要なものがないならば、作っていかなくてはならない。障害者は健常者と対極的なところにあるのではなく、人間誰もが同じ魂を持つという深い認識を受け止めることが大切。
福祉に携わる人は幸せ探しの名人になること。


授業終了後の学生のコメント
 「福祉ネット鍵『ナナの家』の障害観はとても参考になりました。この学部でもいろいろな障害観を学んでいるのですが、また新しい視点からの障害観が学べたと思います。」
 「皆河さんの行動力やフィリピンの貧しい地域の映像に驚きを覚えました。NPOの海外の活動とその様子を初めて知ることができ、さまざまな国の人々との交流を通じてさらに視野が広がって良いと思いました。」
写真:リアクションペーパーを書く学生


付記
 24日の授業には、先週(17日)にスピーチをしてくれた田村さんから17日の授業終了後に受講生が提出したリアクションペーパーに対する回答を寄せてくれました。受講生からの共通する質問にはQ&A方式による補足資料という形で、個別の質問に対しては、一人一人の受講生あての手紙形式で回答をくださいました。
 また、皆河さんの「無痛無汗症の理解をすすめる本」をつくりたいという話に共鳴した受講生が皆河さんと相談、本づくりの実行委員会がたちあがり、15名の学生が参加しました。

  写真:前の週の田村さんからの各学生の質問への回答


 



 

 

 

 





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