財務会計ってナニ?
3 of 3

■財務会計と管理会計の比較
 
   財務会計 管理会計
利用目的
   貸借対照表や損益計算書といった企業の業績を表す財務データを外部の関係者にディスクローズしていくために、定められたルールに従って作成していくこと
   ディスクローズされた情報を上手に利用していくこと
   企業内部にある会計データを意思決定や組織のコントロールなどに利用していくこと
会計情報を企業外部で利用するのか企業内部で利用するのかという点が違う
ルール
   財務会計は外部に企業の財務データをディスクローズするという目的から、外部の利害関係者が、ほかの企業と比較などしやすいように一定のルール(会計基準や各種法律)が定められている    管理会計は企業の内部で会計データを利用するため、必ず従わなければならないルールはなく、企業がそれぞれ必要に応じていろいろな考え方やツールを採用していく
情報量
   財務会計はルールに従ってディスクローズされた企業の業績についての過去情報であるから、それを使って企業の過去の状況を分析したり、それをベースにした現在あるいは将来予測をある程度は行うことができても、入手できる情報に限界があることは否めない    管理会計は企業内部の情報であるため、仕組みさえ作れば、いくらでも情報を入手することができる
データの
性質
   財務会計は外部の利害関係者に情報を提供するという目的から、情報の正確性が最も要求される    管理会計は情報の正確性も重要であるが、それ以上に目的に合っているか、効果があるのか、タイムリーに入手できるのかといった点が重要になる

■相互補完の関係
   財務会計は英語で Financial Accounting 、管理会計は Management Accounting です。この名称からしても、財務会計は財務面の会計、つまりCEOやCOOよりも、よりCFO(Chief Financial Officer:財務担当責任者)のテーマだと考えられます。それに対して、管理会計は Management つまりCEO(Chief Executive Officer:最高経営責任者)、COO(Chief Operating Officer:最高業務執行責任者)にとって重要な「経営のための会計」と考えられます。 

   財務会計と管理会計を比較すると、まったく別物でお互いなんのつながりもないように見えますが、両者は相互補完の関係にあります。たとえば、損益計算書を作成する際に、売上原価の集計や期末棚卸資産を評価しますが、これらの会計データは、管理会計における標準原価計算などが元になっています。また、中長期で経営計画を立てるに当たっては、過去の実績をもとに、実現可能な目標を設定することになりますから、財務会計の観点からの実績分析や経営計画の資金的裏付けが必要になるのです。どんなに優れた経営計画を策定しても、その企業の体力や財務力に見合ったものでなければ、絵に描いた餅ですから。 

   財務会計のデータは、企業活動の成績表と同じで、そこで一定の成績を獲得するには、適切な管理会計の手法を使いこなすことが不可欠だといえます。財務会計のデータは、企業のビジョンや戦略が実行された結果を数字で表しているものですから、ビジョンや戦略を適切に選択して実行していくためのツールである管理会計の仕組みを有効に活用しない限り、その企業の業績は良くはならないのです。

■おわりに
   いかがでしたか?「財務会計ってこんな感じなんだ」という感触をつかんで頂けたでしょうか? 

   ゼミでは、貸借対照表や損益計算書の各勘定科目をさらに詳細に見ていきます。簿記と会計学の違いとして例にあげた、減価償却費の計算のイメージを思い浮かべて頂ければ、良いかと思います。また、個別財務諸表に限らず、連結会計や時価会計、退職給付会計など会計の時事的なトピックスも扱います。詳しくは、テキスト&レジュメを参照してください。 

   このページを通じて1人でも多くの方に財務会計へ興味を持っていただければ、幸いです。