立教大学チャプレン 中川 英樹立教大学理学部 創立75周年、まことにおめでとうございます。この良き日に献げられる、感謝と記念の礼拝にあたり、お話しをさせていただきます、大学チャプレンの中川と申します。さて今年、立教大学は、開学150年の記念の年を迎えています。その立教の歴史の半分を、今日、創立75周年を記念する理学部は、共に歩み、支えてこられたことになります。その意味で、150年という立教にとっての節目の、この年に、理学部の創立75周年が共に祝われることは、双方にとって、とても意義深いモノに想います。立教にとっての、理学部の存在。立教が、理学/科学を大切にする理由。その答えを、わたしたちは容易に見つけることができます。それは、わたしたちの立教が、LiberalArtsCollegeで在るからです。LiberalArts…… それを、わたしたち立教は、開学以来の「ぶれない」軸としてきました。そもそも、LiberalArtsとは、古代ギリシアで誕生し、広義には、人間をあらゆる束縛や不正義から解放するための知識や、生きるための力を身につけるための手法を云いますが、この概念は、やがて、12世紀、大学の誕生と共に、体系化され、狭義には、言語系 3 科(文法・論理・修辞)と、数学系 4科学(算術・幾何・天文・音楽)で構成される、自由 7 科(セブンリベラルアーツ)と呼ばれるようになります。そして、この学問体系は、中世大学の基礎教養課程として、その修得が義務付けられました。言語系 3 科と、数学系 4科。LiberalArtsが、この二つに大別されるのは、当時の学問的な共通認識として、「神は二つのTextを書き遺した」という理解が背景にあったからと云われてます。神が遺した、とされる、二つのText。その一つは、「聖書」。もう一つは、「自然・宇宙・人体」に象徴される、被造世界です。つまり、言語系の3科は、神の言葉として、聖書を「読む/知る」ための学問(神学)として、そして、数学系の4科は、神が創られた、「自然・宇宙・人体」といった、この被造世界の秩序を「読む/知る」ための学問(科学)でした。神学と科学……この二つは、つねに、「神」という文脈に直結するものとして、それぞれが独立しつつも、分かち難く、深く結び合いながら発展してきました。しばしば、神学と科学の間には、対立や葛藤のイメージがあることを指摘する人たちがいます。しかし、たとえば、惑星の運行法則を明らかにした、天文学者ヨハネス・ケプラーが、「科学の最終目的は、人間を神に近づかせることである」という言葉を遺しているように、神学と科学との間の関係は、ときに緊張と調和を繰り返しながら、長い歴史を経てきました。科学の発展は、キリスト教の思想と信仰に影響を与え、同時に、神学は、科学の発展にも影響を与えてきました。この二つの学問体系は、「神」という真理に辿り着くものとして、不可分に、相互に支え合うものとして、今も、存立しています。さて、「真理」ということについて。本日の、この感謝記念礼拝で朗読される聖書として、新約聖書/ヨハネによる福音書第1章1節以下……所謂10チャプレンメッセージ
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