「ロゴス讃歌」と呼ばれる箇所を選びました。この箇所は、毎年のクリスマスの礼拝の中で、必ず読まれるものです。クリスマスの日、馬小屋に生まれ、家畜が草を食む飼い葉桶に寝かされた神からの独り子は、「恵みと真理に満ちていた」と、聖書は証言します。また、同じ、ヨハネによる福音書は、イエスが自らをして、「わたしは(神に至る)道であり、真理であり、命である」(ヨハネ14:6)と語ったことを記憶しています。福音記者聖ヨハネは、「初めに言があった」……この世界の根源において、「言の内に成ったものは、命であった」…… わたしたちの人生において、あらゆるものに関わる、決定的に重要な意味を与える存在として、イエスを位置づけ、神の真理について、言葉を重ねます。「真理」という意味の、ギリシャ語 アレーテイアのもともとの意味は、ヘブライ語の「エメト」です。この言葉は、「アーメン/確かに」という言葉と同じ語根で、「偽りのないモノ」、「欺くことのないモノ」、人間存在を豊かさの高みへと誘う、「確かで頼りになるモノ」を表します。LiberalArtsは、この、「確かで頼りになるモノ」、すなわち、「神」を探求するための学問にほかならないのです。さらに云えば、LiberalArtsCollegeとしての立教は、自らを、神の真理を探求する者であることの不断の努力を怠らず、また、学生を単に教える対象にすることなく、立教の「学び」に携わる、構成員のすべてを、神という真理を探求するための、その旅の〈同伴者〉であると理解する、知的共同体としての自負があります。理学部は、立教の、その真理探求の、旅の同伴者です。そして、知を積み重ねる、知の協働者です。これまでも、これからも、知における良き友であり、共に、知の未来を創って往く、仲間です。これからの、理学部の歩みが、神の祝福に満ちたものでありますように、そして、理学部の学術探究のすべての営みが、神の真理を顕現するものでありますように、と祈り、この感謝記念礼拝での勧話とさせていただきます。立教大学理学部 創立75周年、まことにおめでとうございます。11
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