立教大学理学部が75年の節目を迎えられたこと、誠におめでとうございます。立教学院が150年の歴史を誇るその記念すべき年に、ちょうどその半分の間、大学における唯一の理系の学部としてその存在感を示してこられました。設立の1949年はまさに日本の戦後が始まらんとする頃、そんな中でスタートした理学教育は立教大学の総合大学の重要な柱として多くの人材を輩出してまいりました。また、立教がこれまで大事にしてきて、これからも重要な学問の体系としてのリベラルアーツ教育を支える大きな柱として位置付けられてきました。立教大学の理学部というと、徹底した少人数教育で鍛えられるというイメージがあります。池袋キャンパスでも4号館という歴史ある建物で、経済学部であった私などが下校する際も夜遅くまで研究に従事する教員や学生の姿を見てまいりました。文系学部の多いキャンパスで「よく勉強する理学部」というのは学生の間でも評判でした。戦後の日本の高度成長の時代には主に自動車産業や家電製品などの製造業で、そして現代社会ではIT人材などの分野で理系の人材は引っ張りだこの状況が続いております。文部科学省も国と一体となって理系人材の輩出のために特別な資金の枠組みを設けるなど、他国との競争力を維持するためにこれまでにない取り組みを始めようとしています。それは質だけではない、量も満たすというものです。昨今「リケジョ」という言葉に代表されるように、理系を目指す女性が多くなってきたことは、単に女性の社会進出の機会創出だけではなく、社会のニーズの多様性に性別関係なくエントリーできる時代感覚の象徴かとも思います。立教大学の理学部も創設当時は少なかったはずであろう(私の学生時代の経済学部も少なかったです)女子学生も現在では化学科や生命理学科などでは女性の比率が高くなっていると聞きます。これからも時代のニーズをとらえながら、一方で世の中に本当に必要とされる「教養ある専門人」の要素を持った理系人材の育成に励んでいただきたいと切に願っております。立教大学理学部の益々のご発展をお祈りしております。07校友会長祝辞立教大学理学部創立75周年に寄せて立教大学校友会 会長 和田成史
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