研修について:
Loreto Day School という、ロレット修道会系列の学校で5年生、6年生、に算数を教えている。学校側は全く教師や授業を拘束せず(放任主義?)また、カリキュラムを持たないことを売りにしているので、初日から一体自分が何を教えるべきなのか分からなかった。指示も無く、与えられた時間割では一度に3つのクラスが重複していたり、本当に戸惑うことが多い。運良く生徒がとても積極的で親切だったため、彼女達からどの科目を勉強しているのか直接聞いて、テストをしてみたり、問題をやらせてみたりしている。個人差がとてもあり、講義というよりは個人、個人に重点を置きながら指導している。最近やっと、生徒の顔とクラスが一致し、カリキュラムの無い中でどういう風に進めるのか等慣れて来た。
生徒は女子が殆どである。インドでは女子への教育機会が少ないため、貧しい子ども達を中心に教育を与えているこの学校では必然的に女子だけになってくる。みな本当に元気で、先生の事は"Miss"と呼んでいて、「ミス、ミス、ミス、聞いて、聞いて」というように話し掛けてくる。休み時間になると、名前を日本語で書いてほしいという子ども達がどこからとも無く現れて、私は音に漢字をあてはめて、何十人分もの名前を書く毎日である。
また、空手を習っているという子達がさようならという言葉を知っていて、帰り際には、クラス中から元気な「サヨナラー」浴びている。
昼には職員室のようなところで先生達の輪に入れてもらっている。現在研修生は私しかおらず、職員室にいてもいいのかどうかも良く分からないが、顔見知りになった先生達が親切で、お昼も分けてくれたりするので、昼休みはそこで過ごすようにしている。空いた時間には最上階にいっている。そこは、street children のシェルター兼学校になっていて、5年生以上の生徒が授業の一環で子ども達に勉強を教えている。また、2時過ぎには学校が終わるので、その後はこの最上階か、NGOを訪れ、論文のための資料を集めたりしている。
生活について:
研修が始まって2週間で引っ越すことになった。お陰で、バスで1時間以上かかっていた通学が40分(空いていれば30分かな)まで短縮された。ここでは、オーストリア、ドイツ、ルーマニアからの研修生と一緒に住んでいる。当然家にエアコンはない。もちろん研修先の学校も扇風機だけである。その為、企業研修の研修生達とは異なり、私はインターネットカフェや、贅沢をしたときのレストランでしかエアコンに出会うことはない。天井についた扇風機だけでここまで生活ができるとは。我ながら驚き。
一ヶ月の間に、数回いわゆる、お金持ちの人々の生活に触れる機会があった。研修生を受けているABC Companyというカルカッタの大手企業の社長邸での食事会やアイセックの学生の家でのディナー等。豪華で安全、食べ物と水の心配をせずに過ごせる一時である。学生や、ビジネスマンなど、お金のある人達は皆、生まれてから一度も掃除も料理も何したことが無い生活をしているのである(召使が沢山いる)例えば、39歳、世界中を旅して、毎日高級なものを食べて生活しているが生まれて一度も働いたことが無いという人とも知り合った。
格差についてはいつも研修生同士で話題になり、毎日のように議論している。当然、現地アイセッカーには話せない事である。そんな事なので、彼らは研修生の苦労等も想像し難い様子である。引っ越してきてからベッドシーツをちっとも持ってきてくれず、先日まで2週間タオルを敷いて過ごしていた。しかしそれなりに世話もしてくれている。お腹をこわして熱を出した時には、お見舞いにきてくれたし、先日は皆を食事に呼んでくれた。仕方ないかなという感じである。生活の格差を目の当たりにしているとそう思えてくる。
週末に車と船で5時間以上かけて、農村と、マングローブの森の野生動物保護区に行って来た(実はさっき帰ってきたところ)先述の社長さんの娘がアレンジをしてくれて、研修生7人と彼女で小旅行。農村に一泊し、発展プログラムを見学したり、歌を歌ったり、とにかく素晴らしい経験だった。詳細は次回にでも述べたい。