【この方法なら伝わる!】

 …なんてものはありません。ただ、伝え方が多ければいいってもんでもないみたいです。ちゃんとどこを作用させているかをわからせる必要性がありますね。それは、あくまで発声法などに関して、理想形は一つではないにせよ指折り数えられるほどの数しかないと言うこと。ただし、そこまでに至る道順が非常に多いのです。
 解りにくいですか?

 例えば、軟口蓋を上げるという行為は一つですよね?ある発声法では軟口蓋を上げなくてもよい、なんてことはありません。ただし…くどい言い方をすれば…肉体的に軟口蓋を後頭部方面に向かって広げるという行為を実践させるためのその伝え方がいくつもあるのです。

@ 卵を丸ごと飲み込むような感じで
A 極太の長いうどんを一息で飲み込むような感じで
B 酔いすぎて嘔吐する時に「うえっ」となった時のノドの奥
C ノド飴をなめた時にノドの奥のほうでスースーする部分を奥に広げる


…などなど。どれここれも、たった一つの事を説明したいが為の説明なのですが、どれ一つとして具体的なものではありません。どの言い方であればその人に通用して解ってもらえるかは聞き手の感性と話し手の言い方次第です。
(これを読んだあなたは@〜Cで全て理解できましたか?)
 ですから、以上の@〜Cの行為が「軟口蓋を後頭部方面に広げる」ためのものであるという事実を知っていれば、それを伝えるために色々なオリジナルの言い方が考えられるし、誰か全く別の価値観で述べている人が別の言い方をしても「あ、これは軟口蓋を上げて欲しいという指示で、@〜Cと同じ種類のものだな」と解ることができます。
 軟口蓋の例は比較的わかりやすい例でした。
では…以下の行為は何を求めての指示だかわかりますか?

@ 息を後ろに
A 肛門を閉めて
B 尻に尻尾がついていると想像してその尻尾を、股を通して前に引っ張る感じ
C 重心を下に
D ゴムひもを持っていると想像して、ブレスと共に引っ張って行く

…例えば@であれば、「息を後ろに」と言う行為自体が何を指しているかは解るとは思います。ではそれはなんのために必要なんでしょうか?肉体のどの部分を作用させることによって、発声を理想形に近づける行為なのでしょうか? 
 解りますか?これに答えられなければ、下級生に教える事はできません。
 新一年生が無知の状態で入ってきて上手くなろうと思っても、今何をさせられているのか?どこを鍛えているのか?を解らせないまま練習をさせる事になります。
 言い換えるなら、上手くなっているという実感が掴みにくい為、練習に無駄を感じてしまい易いという事になります。
 解答は
 @=頭部にある共鳴腔のうち後頭部共鳴腔を意識の力によって共鳴させる事で声を遠方に飛ばしやすくする
 
 …それ自体がわかりにくい?それは後から説明して行きます。要するに@の肉体作用の方法さえわかってしまえば色々なボギャブラリーが考えられます。
A:オーバースローでセンター方面に息を投げかける様に
B:頭皮から湯気が出るように
C:吸いこみながら声を出す感じで
D:声を出しながら斜め後ろに引っ張り上げられていくような感覚で
 …全て同じ事を言っています。どの方法で聞き手に伝わるかは解りませんが、たくさんの伝え方があればわかってもらえる確率はそれなりに高いものになりますし、複数理解させられることができれば、
 「解るかい?その2つの方法の時に同じ部分が動くでしょ?」
 という教え方ができます。
 A〜Dは考えてみてください。
 教える事は簡単ですが、自分で考えて出した解答でなければ伝わらないでしょうから。

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