立教スポーツ第149号
<10月3日更新>
 
ボート部・堂々輝く銀

 大会を経るごとに確実に強くなり、結果を出し続けてきた女子ダブルスカルの坂井(文4)と稀代(きたい=観2)。この二人が8月21日〜24日に戸田競艇場で行われた第30回全日本大学選手権大会で真価を発揮した。女子クルーとしてはインカレ初のメダル獲得。死力を尽くしたこの大会で、見事銀メダルをつかみ取った。
 最後の大会で有終の美を飾った二人。互いに高めあってきた半年間がここに終結した。

加速する夢
 すべてはインカレ優勝のために――。女子ダブルスカル(以下女子ダブル)の坂井と稀代は、半年前クルーを組み始めたときからそう思っていた。
 7月4日〜6日、同会場で全日本軽量級選手権大会が開催された。本学女子ダブルは予選、準決勝を競りながらも勝ち進んでいく。
 迎えた決勝、集中したスタートで本学は抜き出た早大を懸命に追う。残り500bを過ぎて日体大に差を詰められるが、自分たちの漕ぎ(こぎ)を心掛け2位でゴール。有力な大学や企業を抑え、意義ある銀メダルを手中に収めた。
 そして8月10日、女子ダブルスカルはインカレ前、最後のレースである東日本選手権大会に臨んだ。予選は序盤の差が響き2位。だが、決勝は力強いスタートで他艇と並び、最後は明大を振り切り1位でゴール。金メダルを手にし、インカレへ弾みをつけた。
 「坂井さんを笑わせたい」稀代と、「インカレで金(メダル)が欲しい」坂井。二人のそれぞれの思いが今、一つになった。(写真=輝くメダルと弾ける笑顔で大会を終えた稀代(左)と坂井


この日のために
 東日本選手権から2週間足らず、ついに二人が目標としてきたインカレの当日を迎えた。
 初日の予選、本学は他クルーに大きく差をつけてトップで準決勝進出を決めた。
そして2日後の準決勝、半艇身リードされてしまうが、調子を上げる本学は徐々に法大を突き放し、最後は余裕を持ってゴール。決勝まで勝ち上がったことに稀代は納得の表情を見せ、坂井も決勝に向けて闘争心を燃やした。
 インカレ最終日、本学の他に早大、明大、日体大の強豪がそろった。スタートから早大が独走、本学は2位の明大をきん差で追う展開となる。途中明大を抜き、まだ視界にいる早大に「ついていくぞ」と気合を入れた。しかし、無情にもゴール手前で早大優勝の合図が鳴り響く。それでも二人はただ前を見て漕ぎ切り、続く明大の追随を許さず2位。悔しい結果にも二人は「今までで一番の漕ぎができた」と話した。
 稀代と組んだことを「可能性のあるクルーだった」と振り返る坂井。この半年間、二人は無限の可能性に挑戦し続け、自分たちの実力を証明して見せたのだった。

                                          (落合、杉野)

                                                

水泳部・響く躍進の鼓動

 24年ぶりに果たした2年連続の1部残留。本学は5位という予想以上の好成績でその偉業を成し遂げた。
 種目別で争い、順位点の総計が総合順位となる関東学生選手権。期待されていた実力派ぞろいの1年生の活躍が光り、昨年より2人多い5人が決勝進出。力泳を見せた。守りに入らず、攻め続ける挑戦者たちに、1部校としての貫録が見え始めていた。

残留を目指して
 世界選手権レベルの選手を輩出する大学が集うシード校から昨年、実力校の日体大が1部に降格。そのため1部全体のレベルが上がり、昨年7位で残留を決めた本学にとって厳しい戦いが予想された。
 危機感を抱え迎えた大会初日。五十b自由形で大久保(理1)が決勝に進むも得点を挙げられない。苦しいスタートを切った本学は次に二百b背泳ぎで決勝進出を決めた清水(法3)に大きな期待をかけた。清水は1年生の時から日本選手権に出場し、大会ごとに自己ベストを更新し続ける有力選手。この日も速いラップタイムを刻んでいき、自己ベストを1秒近く縮めて準優勝に輝く。この結果がチームに勢いを与えた。
 初日の最後を締めくくる四百bリレー。第一泳者・松尾(経1)がいきなり自己ベストのタイムで後続へつなぐと、第三泳者の鈴木(経1)も追い上げを見せる。結果は本学のベストタイムで5位、残留へ一歩近づいた。
 大会2日目は清水、福田と松尾が奮闘し、得点を稼ぐ。この日までで本学は6位の専大と1点差の7位だった。「自分の持っている力を120l出して、1点でも食らいついていこう」。そう誓い合い最終日に懸けた。(写真=猛追見せた新星・松尾)


上位校への兆し
 すべてが決まる最終日、本学に新たなエースが誕生する。前日までの四百bリレーと四百b自由形で大物の片りんをうかがわせた松尾だ。最も得意とする二百b自由形で決勝に進むと、先輩である福田と得点を競う。結果、松尾は準優勝、3秒差で福田は7位だった。
松尾と福田の得点で残留がほぼ決定した本学は、3日間で最も盛り上がりを見せる八百bリレーに出場する。レースは次々と順位が入れ替わる激しい展開へ。そして6位でゴールした瞬間――、残留だけでなく総合5位が決まった。
今大会、予選と決勝を通して多くの選手が自己ベストを更新。1年生の存在が上級生に刺激を与え、部全体のレベルは確実に上がっていく。来年の夏、大きく成長し自信をつけた彼らが再び熱戦の場に帰ってくるだろう。

                                             (丹下)



モーターボート・水上スキー部・
            覇権奪えずも男子2位 女子3位



 近年の団体戦での戦果を不服とする本学が、王座を奪取すべく激戦を見せた。
 8月23日・24日に秋田県大潟村にて開催された第48回全日本学生水上スキー選手権大会。スラロームは男子が、トリック、ジャンプの2部門では男女共に入賞を果たした。念願の団体総合優勝は成らなかったものの、男子団体準優勝、女子団体3位は決して恥ずべき結果ではない。

今大会の足跡
 スラロームで始まった1日目。伊藤(経4)は本学歴代最高記録に並ぶ14.5点で個人2位に輝き、本学は2位の福岡大にわずかな差ながら部門優勝を決めた。
優勝の余韻に浸ることなく気を引き締めて臨んだ次の競技は、技の難易度などを競うトリック。ここで丁寧な滑りを見せた高野(経4)は2440点で自己ベストを更新、本学は何とか部門2位に食らいついた。
そして2日目。飛距離を競うジャンプでも、高野は38.5bを飛んで自己ベストを出す。迎えた最終競技者は稲田(観4)だ。予想外に記録を伸ばしてこの時点のトップに立つのは福岡大。逆転優勝するには大会記録を上回る46bが必要だが、彼が飛んだのは40b。本学新記録を出して個人2位をつかみ、本学男子は部門優勝を果たすが、総合では痛恨の2位で大会を終えた。
 女子は、トリックで斎藤(文4)が個人2位につけたがスラローム同様団体では部門4位と伸び悩んだ。ジャンプは大失敗だったと嘆くが斎藤は個人2位と健闘し本学は部門2位。総合では団体3位を手にした。(写真=ジャンプ競技中の齋藤。トリックと合わせて2部門入賞を成し遂げた)


苦境乗り越え
 好記録が多く生まれた今年のインカレ。だがそこまでの道のりは険しかった。
 度重なる数々のアクシデント。主将・島田(経4)は靭帯(じんたい)断裂のため出場を断念した。高野の足首ねんざ、稲田のろっ骨の骨折による練習不足。さらには台風の影響により大会前の練習時間が十分に確保できなかった。
 また「(4年生にとっては)最後の大会であるという大きなプレッシャーの中で結果を残すことができたのは、普段の練習から試合を想定していたからだ」とスラロームのエース・伊藤は話す。特にインカレ前の練習では何度も吐いてしまうほど自分自身にプレッシャーをかけて臨んできた。
来年の目標はお互いが信頼し合えて、精神的にも強いチームを作ること。そして今年優勝できなかった4年生の悔しさも背負って練習に励み、念願であるインカレでの総合優勝を実現することだ。光を反射した水面のようにキラキラ光る彼らの笑顔を見られる日は、そう遠くはないはずだ。 

                                              (北森)










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