立教スポーツ第150号
<12月5日更新>
 
相撲部・進化する剛腕力士 小澤
                  75kg未満級全国制覇


 本学相撲部史上最強の男が新たな伝説を築き上げた。9月の東日本大会で優勝し、王者の貫録を身につけた小澤(法2)は10月5日に靖国神社相撲場で行われた第28回全国学生相撲個人体重別選手権大会75`未満級にて強豪校の選手から次々と大金星を挙げて優勝した。
 体重別での全国制覇は本学相撲部創部以来初めての快挙である。
 昨年突如現れた大物の活躍は、誰も止めることができない。


運命の日
 「日本一」。この座を奪うために小澤は猛練習を積み重ねてきた。
 ついに決戦の日、全国各地から強豪力士たちが集い、小澤の前に立ちはだかる。小澤は自分が優勝する瞬間を頭に浮かべ、土俵へと向かった。
 初戦は押し出しで危なげなく勝利し、小澤は優勝への手応えをつかんだ。だが、準々決勝で防大の今井と衝突した際、前頭部に傷を負い出血してしまったのである。けれども、傷を負ったことで小澤の集中力は一層高まった。
 準決勝を勝ち抜き、迎えるは決勝戦。相手は東日本大会の決勝で下したブヤンバト(防大)だ。
 試合開始直後、双方とも引かない激しい衝突が生じ、小澤の心に「敗北」の二文字が浮かぶ。だが、勝ちたいという強い思いがその言葉を「勝利」に変えたのだ。その時、小澤は相手を押し出しで倒し、本学相撲部創部以来初の全日本王者の座に輝いた。
 「ずっと日本一になりたかった−−」。入部当初より思い続けてきたこの願いは、彼の計りしれない強い精神力と日ごろの練習で培ったものにより、かなえることができたのである。(写真=寄り倒しの瞬間。勝利への気迫が小澤(右)の背中を押す


大いなる野望
 快挙の布石は、1ヵ月前の第30回記念東日本学生相撲個人体重別選手権にあった。難なくベスト8入りした小澤は、準々決勝で田中(日体大)と対戦。「準決勝以降のことは考えられなかった」と言うほどの集中力で挑んだ一番は、力と力のぶつかり合いとなった。決着をつけたのは小澤。低い姿勢で相手を土俵際まで押し、寄り倒した。
 激闘を制した小澤は続く準決勝、決勝も連破。この結果が全日本大会への大きな弾みとなったのである。
 晴れて全日本王座に就いた小澤だが、目指すものは結果だけにとどまらない。「相撲のイメージを変えたい」。それが彼の大きな野望である。太っていなくても相撲は取れる。そして、誰よりも強くなることだってできる−−。それを小澤は自ら体現してみせたのだった。
 映画「シコふんじゃった。」の題材となり、弱小相撲部として名が知れた本学。だが、小澤の殊勲によって、実力で強豪校と渡り合えることが証明された。昨年から天井知らずの成長を続ける彼が見せたものは、「小澤の時代」の到来を高らかに告げる堂々たる快進撃だった。

                                          (金澤、小見)



山岳部・イムジャ・ツェ登山隊
        クーンブ・ヒマラヤ合宿 10年ぶり登頂


 かつてヒマラヤ山脈登山の先駆者であった本学山岳部。一時の廃部危機など多くの苦難を乗り越えて、彼らはまた新たな一歩を踏み出した。
 創部80周年の節目となる今年。9月14日〜10月12日に、10年ぶりとなる学生だけのヒマラヤ合宿を見事成功させたのだ。
 日本を旅立つ時、彼らの思い描いていた大舞台は幕を開けた――。

頂上目指して
 ネパールに到着し、4日目となる9月18日。本学山岳部が最終目的地であるイムジャ・ツェ(標高6189b)へと始動した。
 10月1日、予定より一日遅れてイムジャ・ツェ頂上へアタック開始。経験の浅い1年生は、エベレストベースキャンプ(以下BC)で待機となった。荷物をアタックキャンプ(以下AC)へ運ぶ上級生。ACに到着し、明日のルートを確認してから床に就いた。
 迎えた翌朝。午前4時、薄暗い闇の中を出発し、しばらく歩くと最初の大雪壁に遭遇する。だが隊員たちは臆(おく)せず乗り越えた。彼らを包み込む一面の銀世界。しかし、頂上を目前にし、傾斜70〜80度の雪壁が立ちはだかった。
 家永(法4)の後に加藤(社3)、大塚(文2)が続く。今まで以上の困難に直面するが練習の成果を出し、頂上を目指した。すべての力を出し切った彼らが目にしたものは――。
 青く澄んだ空、いつもより近い太陽。それは国内合宿では決して見ることのできない絶景だった。「イムジャ・ツェ制覇」。彼らはそう確信した。
(写真=頂上直下の雪壁に立ち向かう主将・家永)


復活への一歩
 三人がイムジャ・ツェの頂点に立った時、彼らの胸の内をさまざまな感情が駆け巡った。ようやくたどり着いた地、標高6189bという世界。言葉では表せぬほどに感慨深いものがあった。
 しかし帰国後の彼らはこう言ってのけた。「こんなものかと思った」。雪原の頂から全景を望み、彼らは見てしまったのだ――自分たちの到達点よりも高くにそびえ立つ山々を。ヒマラヤという山の底知れぬ雄大さを前に彼らは圧倒され、そして思った。「また登りたい」。次はさらに高い所まで。どこまでもどん欲に上を目指す本学にとって、今回の「合宿」は通過点の一つに過ぎない。
とはいえ、今回の登頂成功は近年の本学にとって極めて大きな意義がある。この一歩は後輩たちに希望を与えた。今回、登頂を許されず悔しい思いをした寺山(法1)、瀬川(社1)、小原澤(社1)。本学の今後を担うのは彼らである。より高度な山へ、そして未踏峰ルートへ。目標は限りないが、本学山岳部は、その一つ一つを着実に実現していくだろう。

                                          (金澤、小林)



アメリカンフットボール部
   「1部の立教」確立 常勝にむけて揺るがぬ雄志



 選手たちの瞳から熱い涙があふれる。それは4年ぶりの1部で日大を相手に挙げた勝利の涙だった。
 9月6日〜11月9日まで大井第二球技場などで行われた関東大学アメリカンフットボールリーグ戦。1999年に降格してから2部で低迷を続けていた本学だが、昨年に悲願の昇格。そして今年は強豪ひしめく1部で2勝を挙げ、完全復活に確たる手応えを得た。

日大との再戦
 日大は本学にとって2年前に1部昇格を懸けた入れ替え戦で敗北し、昇格を阻まれた因縁のチームだ。今年から1部に帰ってきた本学は、10月4日に再びこのチームと相まみえることになった。まだ今季一つも白星を挙げていなかった本学は、ここで初勝利をつかもうと試合に臨んだ。
 本学の攻撃で開始されてより、両軍一歩も譲らない状態が続いたが第1Q(クオーター)の中盤を過ぎたころに、小林(理4)のランフェイクのパスを並河(観4)がキャッチしTD(タッチダウン)を決め7点を先制。前半を13−0で終えた。
 後半、徐々に追い上げられて第4Qの終盤には得点は26−21、本学のリードはわずかとなっていた。そして残り時間3分、日大が攻撃権を維持できるか否かという場面で審議の末に計測し直すという事態が発生。両軍の客席もかたずをのんで見守る中、出た判定は攻守交代。本学は26−21で日大を下し、同時に1部での初勝利を飾った。
 本学が日大に勝つのは実に38年ぶり。部員たちの心は一つの課題を成し遂げ、とても晴れやかだった。そして彼らはリーグ戦後半へ決意を新たにした。
(写真=果敢なランを見せる小笠原。TDを奪うべく敵陣を駆ける)


不断の前進
 日大戦で歴史的勝利を挙げた本学。しかし第4戦は東海大を相手に13−35で敗北を喫する。「次の試合には負けられない」と主将・高野(文4)は意気込みを語った。
第1Q、本学はなかなか陣を広げられない。逆にFG(フィールドゴール)を相手に決められ3点を先制される。
 だが第2Qから本学は猛攻を見せる。パスから大きく敵陣に攻め上がると、小笠原(法4)のTDで逆転。強力なラインが筑波大の追撃を断ち切り、28−3と大差で勝利を収めた。
この勝利で本学の1部残留は濃厚となった。しかし本学がそこで気を緩めることはなかった。本学は今季最終戦となる中大との試合に全力で挑んだ。
 本学は第4Q途中まで7−7と互角の戦いを展開したが、痛恨のFGを許す。結局7−10で敗れた本学だが、最後の1秒まで戦意を失うことはなかった。
 今年の本学の目標は「妥協しないチーム」。1部での経験者がいない中で着実に積み上げてきた成果が1部5位という成績につながったのだ。自分たちに甘えを許さない厳しい姿勢。それがある限り、本学は栄光への階段を上っていくだろう。


                                          (内山、宮下)



バスケットボール部
        4部2位 こじ開けた入れ替え戦への扉


 もう少し手を伸ばせば届くのに、いつもそれは遠くに感じられた。しかし、今年は違っていた。
 9月7日〜10月19日、本学武蔵野新座体育館などで行われた関東大学バスケットボールリーグ戦。劇的な勝利を繰り返し、本学は初の3部4部入れ替え戦へ進出を果たした。
 ずっと到達できずにいた舞台。昇格はできなかったが、チームは大きな一歩を踏みだした。

激闘のリーグ戦
 ここ数年、本学は4部上位の実力を持ちながらも、昇格の機会を逃していた。
 本学は、今季の1次ステージを破竹の勢いで全勝した。2次ステージでもその快進撃は止まらず、初戦から4連勝。ところが一橋大との試合で初黒星を喫する。入れ替え戦の出場権を獲得できる1、2位に入るためには、もう負けが許されなくなった。迎えた最終日。前半、本学は埼玉大に主導権を握られ、10点のリードを許してしまう。後半に入って本学は2点差まで追い上げたがここで埼玉大の猛攻にあい、残り4分の場面で64−75。それでも選手たちは希望を失わなかった。ここから1点差まで詰め寄った。そしてラスト3秒、郡司(観3)のすき間を縫うようなロングパスを市橋が受け止めシュートを放つ。間もなく体育館内に歓声が響き渡った。81−80、立大の勝利だ。それは本学が悲願の入れ替え出場をつかみ取った瞬間だった。
 試合後、活躍を見せた主将・市橋(文4)は「今までの3年間は一段ずつ階段を上ってきた。今年は一気に2段上る」と昇格に対し、強い意欲があることを示した。(写真=及川(法4)のシュート。今季、4年生の力が炸裂した)


勝つか負けるか
 歓喜の逆転勝利から二週間が過ぎた11月5・6日。彼らは、あこがれの代々木第二体育館で学習院大との入れ替え戦を戦った。2日間にわたり2戦を行い、合計得点を合計失点で割った率の高いチームが勝者となるこの決戦。果たして3部の座を奪えるか――。
 緊張の中で迎えた初戦。第3Qを終え、65−57と本学がリードして第4Qへ。しかし、1分、2分と時間がたつにつれ、徐々に相手が追い上げる。そして残り11秒でまさかの同点シュート。10、9、8…時間が迫る。残り4秒――沸き上がった大歓声。新井(社4)のシュートが決まり84−82、劇的な白星を飾った。
 第2戦は一転して相手ペースとなり、第2Qから点差が開く。最後まで差を詰められず、52−74で終了のブザーが鳴る。この瞬間、本学が目指した3部への道が絶たれた。
 市橋が「強くないけど勝てるチーム」と表現した今年の立教。「特別な選手はいない。みんなが日替りヒーローなんだ」。その言葉に、今年の大躍進の理由を見つけた。

                                          (内山、米倉)



ゴルフ部女子・春の涙を笑顔に変えて
            ついに昇格 Bブロックへ返り咲き


 1打差で昇格を逃した春。悔しさを胸に夏の練習を乗り越えたゴルフ部女子の強さは本物だった。
 9月3日・4日にサンヒルズカントリークラブ(5595ヤード・パー72)で行われた関東女子大学秋季Cブロック対抗戦。初日に川村学園女大に並ばれるも2日目に4年生が底力を見せ、優勝。本学は4季ぶりに念願のBブロックの舞台へ戻ることになった。


決戦を前に
 昇格という結果だけが目標ではなかった。誓い合ってきたのだ、「春のスコアを上回って昇格しよう」と…。
 大会を翌週に控え、会場となるサンヒルズカントリークラブで行った合宿。この地が舞台となった前大会での本学のスコアは、511ストローク。Bブロックへ昇格するには、決して悪い成績ではなかった。だが、わずか1打差で2位。誰もが「一打の重み」に泣いたのだった。
 島田(文4)いわく「技術より気持ちがものをいう」団体戦だが、「前回はプレッシャーに負けた感じがあった」と武藤は精神面の弱さを指摘する。その反省から、選手個人が前大会以上に過程と結果へのこだわりを強めてきた。
 合宿でのチームスコアは525ストロークと前大会の記録に及ばなかった。しかし、それでも選手たちは今大会への強い思いをうかがわせる。その中でもエース・原(経3)は合宿最終日の76ストロークで自己記録を更新し、「やるだけのことはやった」と士気を高めた。
 決戦への準備は整った。
(写真=男子部員に胴上げされ全身で喜びを表す島田)


待ちわびた瞬間
 「立教の優勝は間違いない」という前評判の下、淡々と初日のプレーを進めた本学。だがその中に一人、焦りを感じる選手がいた。原である。
 彼女は組み合わせ上、他大で最も警戒していた川村学園女大の選手と一緒にラウンドを回った。自分に勝るスコアの相手を目の当たりにし、原の気負いは増していく。「勝ちたいという気持ちが強すぎて空回りしてしまった」と振り返るように、彼女はこの日、不調に終わる。本学は川村学園女大と並び1位で2日目を迎えた。
 だが、そんな嫌な流れを変えたのは4年生だった。初日に好調だった島田は、2日目も勢いを持続。武藤も前日より調子を上げてチームを鼓舞した。二人に引っ張られ、原が堅実なプレーに徹すると、本学と2位以下の差は一気に広がった。本学は目標通り春を上回る498ストロークで昇格を飾った。「一打差の悪夢」から113日。そこには苦しみから解放された笑顔があふれていた。
 この大会で4年生は引退し、残る部員は出場規定ぎりぎりの4人。まずはBブロックにふさわしいチームに。彼女たちの挑戦は続く。

                                             (小見)










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