立教スポーツ第151号
<4月6日更新>

ラグビー部・挑戦者たち Aグループ残留

 「世界が違う」。昨年9月15日〜12月6日に、秩父宮ラグビー場などで行われた関東大学対抗戦Aグループ。そこでは強豪たちの前に立ちはだかる高く厚い壁と「全敗」という二文字が待ち受けていた。Aグループ一年目、本学が知る過酷な現実――。
 しかし、A・Bグループ入れ替え戦を制し残留を決めた本学。再び挑戦の誓いを立てた彼らは、前を見て走り出した。

自信を強さに
 Aグループ全敗という苦汁をなめた本学。しかし、彼らは屈しない。強豪校との戦いは本学を大きく前進させるものだった。その結果について主将・飛田(経4)は「精神的な成長を遂げた」と答える。そして若き指令塔・西田(社2)は「自己満足のラグビーから相手を意識したラグビーに変わった」と語った。
 初戦の日体大戦で、Aグループ校の痛烈な洗礼を受けた選手たち。彼らの動きは硬くなり、響くはずの声も小さくなった。緑の新天地に、濃紺の背中が沈んでいく。だが試合を重ねるたびに、本学は本来の姿を取り戻し始めていた。
 第6戦、対筑波大。毎回開始早々先制されていた本学だが立大ラグビーの一端を見せた。「ある程度までは五分に戦えていた」と言う新主将・掛川(コ3)。その言葉通り、前半開始25分間は互いに得点を許さない一進一退の攻防が展開される。体格差にひるむことなく正面からぶつかった。ボールを奪うとパスをつなげ、トライを狙って走り出す。立大ラグビーは、濃紺の背中を大きくしながら前へ前へと踏み出そうとしていた。
 入れ替え戦までに一人ひとりの「意識」は確実に変わっていった。Aグループを戦い抜いた経験は、やがて自信となって彼らを後押しする。昨年12月14日、熊谷ラグビー場で行われた成蹊大との入れ替え戦。「負ける気がしなかった」。本学がAグループ残留を決めたその日、選手たちは口をそろえてそう言った。
 Aグループの荒波にもまれ、全敗した本学。しかしその気迫は、Bグループの覇者を敗者にした。

(写真=抜群のパスセンスを誇る西田。攻撃の指揮を執る)


躍進の時
 誰もが王者を狙うAグループ、誰もが王者を夢見るBグループ。その「差」は歴然としている。本学も初のAグループでの戦いで、体格や技術の差を感じ、早大戦では「今まで戦ったことがない展開」に圧倒された。そして、Aグループの全チームに共通することはラグビーに懸ける情熱と勝利を目指す高い意識があるということ。
 Aグループでは「手が抜けない」と本学の得点王・高橋(淳)(社3)は言う。Aグループのプライドは生半可なラグビーを求めていない。甘い姿勢で戦いに臨めば即座につぶされる。そこで戦い抜く条件とは、「練習で裏付けられた勝利への確信」を持つことだと語る西田。さらに高橋(淳)は「仲間との信頼関係を築くことが大事」と言う。そのために、「みんながうまくラグビーに打ち込めるような環境をつくりたい」と掛川は意気込んだ。
 大会前に筑波大、日体大青学大打倒を目標に掲げた本学。敗戦したことは事実だが、次なる戦いの勝負をあきらめたわけではない。ラグビーに対する「情熱」を燃やし、勝利を常に「意識」すること。その結果、Aグループのプライドを得ることができる。「まず一勝」。そう決心し、本学の戦士たちは立ち上がる。王者を夢見るだけの時に終わりを告げて――。

不変の信念
 入れ替え戦の試合後に一人、フィールドへ深々と礼をする姿があった。主将の責任と重圧を背負いながらも、持ち前の明るさでチームを鼓舞した飛田である。
 「グラウンドから出たくない・・・。そんな気持ちだった」と彼は振り返る。その理由は、学生生活最後の試合に勝てたことだけではなく、会場が熊谷ラグビー場だったことにもある。ラグビーを始めた小学校時代によく来た熊谷ラグビー公園は、まさに彼の原点だったのだ。そのころから貫き通してきた意志がある。それは「ラグビーを楽しむこと」。幾度も口にしてきた言葉だ。
 「『Aグループの主将』という立場は、普段から感じるプレッシャーが想像以上だった。でも、楽しくなければラグビーじゃない。ラグビーの楽しさを教えてくれたこの場所で、最後に楽しみながらプレーできてよかった」。満足気に彼は言った。その表情こそが、信念とともに戦い抜いた何よりの証しだった。

                                       (五島、小見)



スケート部フィギュア部門・加賀山ペア
               夢が叶った!全日本3位


 舞台はいよいよ全日本へ――。
 近年、調子が上向きなスケート部フィギュア部門。エース・加賀山(法3)と小田(慶大)のアイスダンスペアが東京ブロック、東日本選手権を1位で突破した。その確固たる実績を引っ提げ、12月25日〜27日に長野県ビッグハットで開かれた第72回全日本フィギュアスケート選手権大会に出場。3位入賞という結果を残した。
 全日本選手権という大舞台で多くの観客を魅了した加賀山ペアの演技。そこからは彼らの非凡な才能があふれ出ていたのだった。


上を見つめて
  経験豊富な社会人選手の中で自分たちはどこまで通用するのか。昨年の1月にインカレを制覇した加賀山ペアはさらなる高みを見据えていた。目指すは全日本選手権。インカレとは規模の異なるこの大会に向け、二人はアイスダンスにすべてを傾けることに決めた。
 全日本クラスの大会出場にはプレゴールドの級位取得が必要となる。そのため二人は夏から演技の完成度を高めていった。プレゴールドの試験を通過した彼らは全日本選手権の前哨戦ともいえる東京ブロックと東日本選手権に出場。中でもフリーダンスでは高得点を挙げ、本番への仕上がりの良さをアピールした。
 そしていよいよ全日本選手権の初日を迎える。まずは決められた課題を与えられるコンパルソリーダンス。だがここで加賀山ペアは途中のステップを抜かしてしまう。冷静を装い最後まで滑りきったが、得点は3点台半ば(6点満点)と厳しく6組中4位。翌日以降に控えるオリジナルダンスとフリーダンスで上位進出なるか。彼らの巻き返しが注目された。
(写真=美しさを存分に表現する加賀山ペアの演技)


会心の出来
 大会2日目、ロックンロールのリズムに乗ってオリジナルダンスが始まった。前日の失敗を取り戻そうと力が入ってしまったのか、「緊張した」と振り返る加賀山。周囲の誰かからも不調と言われる内容だったが、地力の差を見せつけた加賀山ペアが順位を一つ上げ、3位に躍り出た。
 ついに大会最終日。二人が最も得意とするフリーダンスである。ここまで不完全燃焼に終わっていた彼らは高度な滑りの技術と豪快なリフトを武器に最高の演技を披露した。「失敗はなかった」というほぼ完ぺきなスケーティングにジャッジからは4点台半ばの高評価が続出。これでさらに差を広げた加賀山ペアは見事総合3位に輝いた。
 スケート歴は長い彼らだがアイスダンスは始めてからわずか1年半。全日本選手権に出場した他ペアに比べ格段に短い。だが経験不足を言い訳とせず猛練習に励み、二人は銅メダルを獲得したのだった。
 最後の表彰を終え、観客席に花束を投げ入れて手を振る加賀山ペアの姿は喜びに満ちていた。 

全日本選手権から間もない1月4日〜8日に宇都宮スケートセンターで開催された第76回日本学生氷上競技選手権大会。加賀山ペアは全日本選手権に照準を合わせていたため、この大会に向けての練習はわずか数回しか行えていなかった。
 インカレのコンパルソリーダンスの課題はスターライトとキリアン。練習不足からキリアンでつまずき、二人の動きがばらけてしまう。そのミスが響きこの時点で4組中2位。昨年この大会を制覇し、今年も優勝を狙う彼らにとって悔しいで出だしとなった。
 フリーダンスでも不測の事態が起こる。スピンがフリーダンスの課題であることを本番直前まで忘れていたのだ。練習滑走の半分をスピンに費やしたものの、うまくいかずそのまま本番へ。しかし、おくすることなく挑み、見事スピンを成功させ逆転優勝を奪い取った。
 勝負強さを発揮し、本番でスピンを決めた加賀山ペア。昨年に引き続きインカレ2連覇を果たした。土壇場に追い込まれながらも、そこで見せた適応力が偉業達成の鍵となった。 
            
                                        (大野、古屋)




合気道部・闘魂で現した実力
                渡辺(龍) 全日本4位


 どんな相手であろうと全力で立ち向かうその姿は、誰より力強く、輝いて見えた。昨年12月7日、国立競技場霞ヶ丘体育館にて行われた第40回全日本合気道選手権大会で、綜合乱取部門に出場した渡辺(龍)(理3)が第4位という結果を収めた。
実力者ぞろいのこの大会で、並み居る強豪を抑えての快挙。過去にも新人戦優勝などの実績を持つ渡辺(龍)が、今回また大きな成果を挙げた。

勝利を重ねて
 戦いはハイレベルになることが予想された。学生団体だけでなく、一般団体からも師範格の選手が出場しているからだ。渡辺(龍)が出場したのは綜合乱取試合。投げ技、打ち技、関節技を使った格闘形式のこの部門にも、実力ある選手が顔をそろえた。
 彼は1回戦から落ち着いた試合運びで鈴木(川越綜武館)を下す。2回戦も武田(千葉綜武館)を相手に胴打ち技ありを2度奪い、合わせ技一本で勝利した。
 自分のペースに乗った渡辺(龍)。続く3回戦の相手は谷口(北海道大学)だ。谷口は昨年6月の学生選手権大会、団体戦決勝において本学の優勝を阻んだ因縁の相手である。その時谷口と対戦したのは、渡辺(龍)のライバル・中谷(経3)だった。そのため渡辺(龍)には中谷を破った谷口の実力、そして自分の実力を確かめたいという気持ちがあったという。
 その戦いは、両者とも一歩も譲らない激しいものとなった。渡辺(龍)は谷口の動きに注意を払い、相手の体勢が崩れたすきに逆抱え腰車を決めて技ありを先取。しかし谷口も引かず、逆に面打ちで技ありを取られてしまう。混戦の模様を見せたが、渡辺(龍)の攻めの姿勢は彼を有利な方向へと導いていった。結果、判定勝ちとなり、ついに渡辺(龍)は準決勝の舞台に舞い上がった。

(写真=一瞬のすきを突き渡辺(龍)が勝負に出た)


強者への挑戦
 今大会を渡辺(龍)は「上にいくに従って相手の力も強くなり、一戦一戦が気の抜けない戦いだった」と語っている。準決勝まで勝ち上がってきた選手の中で、学生の選手は彼一人だけとなっていた。ここからはさらなる強豪との対決となる。渡辺(龍)は一段と集中力を高めた。
 準決勝の対戦者である大森(坂戸綜武館)は同大会で行われた、拳の突き技のみで勝負する柔拳法乱取試合で優勝していた。体格に恵まれ、俊敏さや技の正確さにおいても優れている。渡辺(龍)は「動きにすきがなく思い切った攻撃ができなかった」と試合を語る。それでも相手の動きを見極め必死に組みつき技を仕掛けていった。どちらも相手に主導権を握らせまいと、激しい攻防を繰り広げる。だが終盤、渡辺(龍)は大森に胴打ち技ありを続けて奪われ合わせ技一本を決められてしまう。彼はここで惜しくも敗退し、三位入賞をかけた戦いに回った。
 三位決定戦においても渡辺(龍)は谷(松戸綜武館)を相手に技ありを決めるなどの健闘を見せる。だが激戦を重ね疲労していた彼は、試合のペースを相手に取られ、判定負けを喫した。
 これにより、渡辺(龍)は第4位となった。入賞は逃したものの敢闘賞を受賞、そして学生日本一と、誇るべき結果を残した。
 この内容に満足しつつも自分に足りないものが見えたという渡辺(龍)。今後は小柄という特徴を生かし背の高い選手を倒すという「自分のスタイル」を、もっと深めていきたいと語った。その持ち味で、これからもさらなる活躍を重ねていってほしい。 

                                          (津布久)



バドミントン部・明るい前途切り拓く飛翔
                  関東学生新人選手権


 昨春、本学バドミントン部を4部昇格に導いた茂木(もてぎ=経1)、小原(おばら=文1)、大渕(経1)。素晴らしい活躍を見せ、部に活気をもたらした三人に、めきめきと力をつけている山下(コ1)を加えた立大T。昨年11月4日〜12月3日に、日体大健志台米本記念体育館などで行われた関東学生バドミントン新人選手権大会で、この立大TがBブロック団体戦準優勝に輝いた。今大会での彼らの勇姿は、限りない可能性を感じさせるものだった。

充実の団体戦
 新人戦の火ぶたは、団体戦から切られた。団体戦は2組のダブルスとシングルスの試合をし、先に2勝した方が勝者となる。
1〜3回戦は、立大Tが圧倒的な力の差を見せつけ順当に勝ち進んでいく。それでも茂木は、「気を抜いたら負ける」と厳しい表情を浮かべた。
続く東経大との4回戦。プレッシャーを感じながらも、茂木と小原のダブルス一組目、大渕と山下の二組目が共にストレート勝ちを収めた。
「最低ベスト4」と目標を掲げていた立大T。日大生産工学部との準々決勝が正念場だ。「強かった」という言葉通り、苦戦を強いられる。焦りからサーブミスも目立ったが、徐々に盛り返し立大Tの勝利。ダブルス二組目は1セットを取られたが、「(2番手として)シングルスに回したくなかった」と大渕が言うように、気合で競り勝った。
翌日の準決勝。相手は優勝候補の日体大を破った山梨学大。両ダブルスとも完ぺきな内容ではなかったが辛勝し、決勝進出―。
迎えた淑徳大国際コミュニケーション学部Tとの決勝戦。茂木・小原組は序盤に押し込まれる。それを引きずり1セットを落とし2セット目も一時はリードしたが、逆転され一敗。大渕山下組は激しい点の奪い合いでセッティングにもつれ込んだが、大事なところでミスをし敗北を喫した。
健闘の末に堂々の準優勝をつかみ取った立大T。彼らの戦いはまだ続く。

(写真=本学の頼れるエース・小原の放つ高速スマッシュ)


成長の過程で
 団体戦が終わり、個人戦が始まった。団体戦では存在感を示した本学だが、シングルスではさえず、小原のベスト32が最高だった。「いつもの力がだせなかった」と本人は不満顔だが、400人近い参加者を考えれば十分な成績である。
このような苦しい状況の中、団体戦でもチームを引っ張った茂木・小原組がダブルスで結果を出した。速く鋭いスマッシュが武器の小原と、視野の広い茂木のペア。4部リーグでも負けなしのこのダブルスは、やはり強かった。5回戦までは難なく勝ち上がる。
強気で臨んだ準々決勝。拮抗(きっこう)した場面もあったが、「絶対負けられない」と執念で流れを引き寄せ勝利。次の準決勝は雰囲気にのまれ、実力を発揮できず負けてしまった。悔しさを残しながらも、ベスト4に入れたことは意義があり、精神面の強化などの課題も見つかった。
二人をはじめとした若い戦力により、本学バドミントン部は生まれ変わった。リーグでも主力となった一年生を中心に「まとまっていけた」と、茂木は振り返る。チームの一人ひとりが「自分のやるべきことをやったから勝てた」のだ。小原は「みんなで勝った感があるから」と、個人戦よりも団体戦の成績の方がうれしいと笑顔で話した。
昨秋果たせなかった3部への昇格。彼らにとって新人戦はその通過点に過ぎない。今春はますます精彩を放つことだろう。

                                            (落合)










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