立教スポーツ第153号

<7月2日更新>
硬式野球部・自信から確信へ 
            東京六大学春季リーグ戦Aクラス


 2季連続5位に沈んだ昨年。悔しさをかみしめた本学硬式野球部はこの春に復活を懸けていた。
4月10日〜5月30日にかけて行われた東京六大学春季リーグ戦。各校の力が均衡し、群雄割拠の地と化した神宮球場では幾度も先の読めない大熱戦が展開された。その中本学は四連覇中の早大、エース・一場を擁する明大と互角の戦いを見せ、数々の記録を生み出した。結果は3位であったが観衆の目をくぎ付けにした姿は昨年の印象を払しょくする程勇敢なものであった。
(力と技を持ち合わせた本学不動の四番打者・比嘉(左))

予想上回る混戦
 「今年はいける」。そんな期待の中で始まった春季リーグ戦。だが、慶大を相手に1勝2敗で勝ち点を逃し不安な幕開けとなった。選手たちは気持ちを切り替え法大戦に臨み、2連勝で念願の勝ち点を手にした。
続く相手は早大。勝ち点をこれ以上落とすと優勝は厳しい状態だ。早大・大谷と本学・小林(コ3)両エースの熱投で始まった早大戦。九回を1−1で終え、延長戦へと流れ込む。ピンチも小林の見事な投球で切り抜け、1回戦は引き分けに終わった。2回戦は日野(コ3)が無安打無得点試合で大勝するが、3回戦はあえなく敗戦。4回戦に突入する。しかし疲れを感じさせないプレーで執念の早大戦勝ち越しを決めた。
 優勝の分け目である明大戦は早大戦の4日後に行われた。本学は初戦、プロも注目する明大・一場を相手に10安打を浴びせ、勝利を決める。しかし2回戦に痛恨の延長逆転負け。そして迎えた3回戦は初回の大量失点を取り返せず大事な勝ち点を落としてしまった。
その翌週、本学は試合がなかったが、その間に明大の優勝が決まった。そして訪れた東大戦。2連勝すれば、その場で本学の2位が確定する。しかし結果は2勝1敗。勝ち点を3に増やすが、本学の順位は早慶戦の結果次第となった。3戦目までもつれれば2位となる。しかし慶大が早大から2連勝。本学は慶大と勝ち点で並ぶが勝率で及ばず惜しくも3位となった。

秋へ好材料
 今回、Aクラス入りを果たした本学であったが、それだけではない。彼らは様様な偉業を成し遂げた。
 まず対早大二回戦で、日野が無安打無得点試合を達成する。そして対早大三回戦では、三回裏に六大学の1イニング最多得点記録タイの13得点を挙げ、同時に10安打の1イニング最多安打記録にも並んだ。
 これらの偉業と勝利の立役者には、多くの選手が挙げられる。まず、ベストナインにも選ばれた本学の四番打者・比嘉(社4)である。比嘉は今季、本学一の打率をマーク。四番の使命を果たしている。また、主将・多幡(経4)も本調子ではない中、3割を越える高打率を残す。二人は打線の中軸を担い、チームを活気づけた。
 「野球はバッテリー」と監督が話すように、エース小林と女房役の正捕手・高橋(泰)(コ3)なくして今リーグは語れない。法大戦以外が3回戦まで延びた今季において小林の活躍は何よりも大きかった。そして高橋(泰)は自身二度目のベストナインを受賞。投手を引っ張るだけではなく、安打や犠打でもチームに貢献。また、盗塁をさす場面を刺す場面もよく見られた。
 リーグを終えて、本学は多くの経験を得た。実戦を重ね、功績を残した選手たちは「今度こそ優勝」と誓い合い、もう秋を見据えている。              (若林)

着実に育つ芽
 5月30日の早慶戦で全日程を終了した今季リーグ戦。その2日後から行われた東京六大学春季新人戦で、将来チームの柱となり得る選手たちが輝きを見せていた。
 昨秋の新人戦で準優勝という結果を残し、シード権を得ていたために2日前からの登場となった本学。6月2日の法大戦で先発の池田(コ2)が見事な投球を見せた。直球は130`台後半と、驚くほどの球速ではなかったが、武器である大きく曲がるカーブとの緩急を使った投球で三振の山を築いた。最終回も球威は衰えることなく、三者連続三振を奪い、計13奪三振。さらに、与えた四球も一つと、制球力の高さを見せた。
 打線も池田の好投に応え、法大・鈴木をとらえる。四回裏、死球で出た走者を一塁に置き、六番大西(観2)が「(打った瞬間に)行ったと思った」という2点本塁打を放つ。さらに七回裏またしても大西が、適時打を放ち試合を決めた。
 続く6月3日の明大との決勝戦は、投手陣が打ち込まれ、2−9で敗戦。2季連続の準優勝となった。しかし2試合ともに1年生の鈴木(雄)(コ1)と田頭(たがしら=経1)が三番、四番に入るなど新戦力の台頭が見られた。
着実に実力をつけている選手の存在を示した、今回の新人戦。強いチームの条件である「選手層の厚さ」に直結する彼らのさらなる成長に期待したい。   (上野)





ボート部・東日本選手権優勝 夏へ好発進

 これまで、数々の栄光を手にしてきた本学ボート部の稀代(きたい=観3)。5月22日・23日に戸田漕艇場で行われた第26回東日本大学選手権競漕大会で、彼女は初めて女子シングルスカルに出場した。精神面、体力面ともに、真っ向から自分と戦わなばならないこの種目で、稀代は見事優勝した。続く全日本選手権大会では惜しくも準決勝敗退を喫するが、着実に成長の跡を残し、彼女は力強く前へ進み続ける。
(自分の力で艇を押し進め、ゴールを目指す稀代)

新境地での奮闘
 ずっと組んできたダブルスカルではなく、シングルスカルで臨む東日本インカレ。初日、予選B組に稀代は名を連ねた。スタートで艇が安定しなかったものの序盤から他クルーを寄せつけない。最後は2位に約30秒の差をつけ、余裕で決勝A組に進んだ。大会2日目、決勝A組には本学から2クルーが勝ち上がってきた。4レーンに稀代。1レーンに、自由選抜入試で入学した渡辺(経1)が1年生ながら予選A組から進出した。
 そして決勝A組が始まった。前日にスタートで課題を残した稀代だが、ここでは改善され、漕ぎ(こぎ)進める。しかし強豪校が不在の中、500bの地点で2番手の成蹊大との差はわずか。レースが後半に入っても艇速をなかなか上げられず、距離を詰められてしまった。それでも最後は逃げ切り1着でゴール。総合優勝を成し遂げた。また渡辺は4位に入り、潜在能力の高さを見せた。
 「とりあえず(優勝できて)よかった」と稀代は言う。その表情には険しさが残っていた。レベル的には決して高いとは言えない今大会での優勝に、満足する稀代ではない。「一段落」して向かうは、2週間もたたぬうちに待ち構えている全日本選手権。
 「昨年は行けなかった決勝に、今年は行きたい」。その決意で稀代は全日本に挑んだ。予選で2位になり敗者復活戦へと回る。そこで勝ち、準決勝に上がったが、組み合わせの悪さもあり悲願の決勝への道は惜しくも絶たれてしまった。

勝利への布石
 500bまではついていけた」という全日本の準決勝。実力者が顔をそろえる中で「挑戦
戦する姿勢が見せられた」と稀代は振り返る。上のレベルの選手たちと同じ舞台でレースをしたことで、今までは漠然としていた自分に足りないものが浮き彫りとなった。これからシングルスカルを続けるかは未定だが、練習の質を高めてどれだけ自分を追い込めるか、精神面での強化が稀代の今後を握る重要な鍵だ。
 また、入部してすぐに大会出場を果たした渡辺も「スポーツ推薦の大学には負けたくない」と闘争心をあらわにしている。「立教で勝つことに意味がある」と語る渡辺。そんな頼もしい彼女を始め、今年は例年より1年生が多く入部。特に男子漕手(そうしゅ)は8人も加入した。
 かつては、インカレ優勝など輝かしい実績を残してきた本学ボート部男子。しかし現在では全日本などの主たる大会で、結果を残せずに低迷の波にあえいでいる。この状況を打破する風を若い存在が呼び込み、本学は復活への道をたどるだろう。
 今年もボートの季節が訪れる。部員からの期待を一身に背負った稀代を筆頭に、新進気鋭の渡辺など、本学の活躍が予想される。
 そして彼女たちの最終目標は、インカレでの上位進出。刻々とその時が近づく中、自らの課題克服のためにひたすら練習に励む姿は、夏への意気込みの表れである。 (落合)





レスリング部・悲願への試練 2部準優勝

 
 「今年こそは――」。本学はその思いを胸に抱き、5月10日〜14日にかけて駒沢オリンピック公園総合運動場体育館にて行われた東日本学生レスリングリーグ戦を迎えた。1年生2人の入部により戦力増強を図り、2部優勝そして1部昇格へと自信を持って挑戦した本学でだったが、力の差を見せつけられることとなる。結果は2部での準優勝。
 願いがかなうことはなかったが、挫折を味わった彼らは「経験」という大きな武器を手に入れたはずである。

(主将と一番手の役割を果たし全勝した長南(上))

決意を抱いて
 年に一度のリーグ戦がやってきた。本学は4校がしのぎを削る、2部のBグループに出場した。2部は、1部と同様に2つのグループに分けられており、入れ替え戦への出場権を持つ各グループの1位校が優勝決定戦を行い入れ替え戦の相手を決めるのだ。
 初戦の東北学大戦を本学は5−2で制し、好調なスタートを切った。続く成蹊大戦でも終始相手を圧倒し、出場した全員がフォール勝ちで7−0の完勝。夢の実現が近づいてきている手応えを感じながら大会初日は終了した。
 2日目、彼らは前日の勢いをそのままに防大を5−2と危なげない試合運びで退け、Aグループの覇者との優勝決定戦へと駒を進める。相手は昨年と同じく慶大である。一番手である主将・長南(コ3)が相手に1ポイントも与えず先勝したものの、技術的な差を気持ちではカバーできず、本学は2−5で敗れた。しかし残された昇格の可能性を信じ、気持ちを切り替え1部15位・神大との入れ替え戦へ挑む。ここでも長南が残り一秒のところでフォール勝ちを収め、残る選手たちに思いを託す。彼らも闘志あふれるプレーを展開したが、結局2−5で敗北を喫し、1部昇格は果たせなかった。1部の壁は、今年も本学の前に立ちはだかっていた。

意味ある敗北
 3年前、本学のレスリング部には部員がわずか一人しかいなかった。しかし一昨年、昨年と続いて自由選抜入試で入学した4人を含む7人が加入。部は再び動き始め、さらなる飛躍が期待された。選手層が厚い他大とは違い、本学は7人という少人数での練習を余儀なくされていた。そのような状況下において、昨年は1、2年生のみの若いチームで2部準優勝を成し遂げたのであった。
 そして今年、2人の1年生を加え9人になった本学は「優勝する」と話したように昨年を上回る結果――2部優勝を、目標ではなく使命として宣言していた。しかし力及ばず結果は昨年と同じ2部準優勝。試合を終えた選手たちの表情に笑みはなかった。リーグ戦全勝の長南は「思ったより勝てなかった。来年こそは頑張ります」と力なく語った。また全勝を期待されていながらも3勝2敗に終わった石井(観2)も「まだまだ弱い。悔いが残る結果だった」と肩を落とした。
 満足する成績こそ残せなかったものの、実戦を通して多くのことを学び、自分のレスリングというものを振り返ることができたという点で今大会は大きな意味を持つものとなった。来年こそは悲願の達成を、そして彼らの笑顔が見たい。    (北森)

夢を支える力
 今年、本学に加わったのは宮内(コ1)と石川(文1)の二人だ。初のリーグ戦へ、彼らにはそれぞれの思いがあった。
 インターハイの出場経験を持ち、自由選抜入試で入学した宮内はすべての試合でメンバー入りを果たす。入れ替え戦では、4年生を相手に得意のタックルで勝利するなどの活躍を見せ「自信があった」という2部の敢闘賞に輝いた。
 一方、石川は経験者でありながらも出場機会に恵まれず、選手をサポートする役割に徹した。「選手が試合以外のことに気を使わないように努めていた」と話すように、彼は選手を応援する気持ちを行動で表現した。やはり試合に出られないもどかしさはあったが、選手の勝利は自分のことのようにうれしかったと言う。
 迎える春季新人戦に向けて宮内は優勝を、石川はまず一勝を目標に掲げた。彼らの成長は、部の進化への鍵となるはずだ。彼らがこれから歩んでゆく道に期待したい。                                           (北森)











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