立教スポーツ第156号
<4月4日更新>


ラグビー部・次代へ始動・Aグループ初勝利

対抗戦Aグループ「初勝利」。本学ラグビー部は大きな一歩を踏み出した。昨年9月25日〜12月11日、秩父宮ラグビー場などで行われた関東大学対抗戦Aグループ。
 このリーグ戦は、早大や明大などの猛者8校がそろう。昨年、Aグループ1年目で全敗という現実を思い知らされた本学。この悔しさをばねに、日々成長し続けてきた。さらに並々ならぬ対策を練りAグループ2年目、青学大から1勝を奪い取ったのだった。入れ替え戦で残留を果たし本学は来季Aグループ「勝負」の年を迎える。

(スピードに乗る武藤。敵陣に切り込み、快走する。)

80分間の激戦
 緊張感に包まれた秩父宮ラグビー場に鳴り響くノーサイドの笛。それは青学大との激闘に勝利した瞬間だった。
 開始早々、互いに固さが出て、ミスが目立った。その中、前半10分、武藤(法2)のPGによって試合が動く。この先制点で本来の動きを取り戻した本学は、安定した守備を見せた。だが前半38分、一瞬のすきを突かれてトライを奪われる。
 前半を終え3−5。ハーフタイムで主将・掛川(コ4)は「ノーペナルティーを意識しよう。2点は許容範囲内」とチームを鼓舞した。
 運命を握る後半40分。「勝ちたい」という気持ちが敵陣内へ猛然と走り込ませ、守備でも低く鋭いタックルで相手の攻撃を封じさせた。これが功を奏し後半23分に相手の反則を誘い、武藤のPGで逆転に成功する。本学の勢いは止まらない。34分に鮮やかなパスの流れで相手をほんろうし、武藤が守備陣を振り切りトライを奪う。それは本学が待ち望むサインプレーの成立を意味したトライであった。まだまだ油断できない点差であったが、試合終了間際40分新主将・西田(社3)の正確なドロップゴールで青学大にとどめを刺す。後半無失点で14−5。本学は勝利の喜びを爆発させた。
 「勝利」の自信に満ちた本学は12月11日の学習院大との入れ替え戦でも62−7の貫録勝ち。今季大きな収穫を手に、来季はさらなる躍進を狙う。

革新の先で
 
今季濃紺の戦士たちが求めたもの、それは勝利という明確な結果であった。昨年、挑戦者としてAグループ(以下A)に挑むも力の差を思い知らされ、「Aで勝つ」ことの意味を初めて知る。ぬるま湯に片足を漬けたままの本学。連敗脱出への急務は何よりもまず意識改革だった。
 今年、松山吾朗という情熱家が本学のフルタイムコーチになった。彼はまずチームのテーマを「挑戦」から「CRUSH&FIGHT」に一新する。甘えや自らの限界を破壊し、新たな自己を創造する意を込めて。そしてそのことを厳しい練習に示した。部員は「ラグビーのことを考える時間が増えた」、「何としても勝つんだと強く思うようになった」と語る。彼らは松山コーチの描く勝利への階段を上り詰めようとしていた。
 そして青学大戦。それが現実のものとなる。5000人を超す観客が見守る中凱歌(がいか)は誇り高く響き渡り秩父宮を満たす。本学はラグビー界の長い歴史に「立教、A昇格後初勝利」の文字を深く刻んだ。
 今季ようやくAの目線に立った本学。次なる目標は大学選手権出場だ。「やってやれないことはない」と西田は言う。強気な言葉は彼らが不可能を可能にした者である証しだ。挑戦者の名を捨てた本学は貴き芝の上を走る。Aの誇りを懸けただ円球をしっかりと胸に抱えて。

実直な開拓者
 
「チームを勝利に導くゲームメイキングをします」。青学大戦前日、雨にぬかるむグラウンドの真ん中で西田はそう言い切った。思えばこの三年間、何度この男のこの力強さに助けられたことだろう。入学当初から異彩を放っていた「意識の高さ」、「ラグビーへの熱意」そして何より「チームを変えようとする思い」。
 下村(法4)が、「西田は精神的な支えとなり、刺激にもなった」と語るように、彼の存在はチームに大きな影響を与える。また、掛川は西田のことを「ラグビーに情熱を傾けられる本当に信頼できる人物」だと評価した。西田の人格は部員たちから厚き信頼を得ている。
 そんな彼が2005年度、新主将として本学を率いる。「西田が主将になるのは当然だ」と部員は口をそろえた。西田という熱き先導者を得てダークブルーのジャージは皆、同じ方角を向く。その男の指さす先にあるものとは。「立教の長所はまじめさ。そこを生かして、日本一ラグビー精神を理解するチームにしたい」と西田は語る。やがてそのことは「立教のプライド」となって選手を後押しするはずだ。そして、そのプライドは、赤黒や紫紺にも劣らぬ濃紺に染まる。
 「誇り高き濃紺」の創始者・西田創。その名は永代語り継がれていくだろう。伝説を「創」る男である。
(小久保、麻田)



アメリカンフットボール部・手放せぬ勲章・執念貫く1部残留

 再び激しい戦いの火ぶたが切られた。昨年9月11日〜11月13日に行われた関東学生アメリカンフットボール1部リーグ戦。1部復帰2年目となる本学はAブロックに属し多くの強豪校を相手に苦戦を強いられる。そしてまさかの入れ替え戦出場――。しかし、本学は厳しい状況の下で味わってきた困難を糧に奮闘し、見事1部残留を成し遂げた。1部校としての誇りを保ったのである。

(写真=帝京大の守備をはねのけ豪快に走り抜く松下。その視線の先には、エンドゾーンがあるのみ)

最後の希望
勝利が遠い。試合を重ねるごとに入れ替え戦出場の恐怖が募っていく。
リーグ戦も残すは一橋大戦と横国大戦の二試合のみ。7校で構成される1部Aブロックでは下位2校が入れ替え戦に回る。この時点で1勝もしていない本学に、もはや負けは許されなかった。
 一橋大戦は11月6日、大井第二球技場にて行われた。ここまで一橋大も本学と同じく全敗しており、両校ともがけっぷちである。試合開始後、幸先よく本学のRB(ランニングバック)・松下(経3)がフィールド中央から一気に駆け上がりTD(タッチダウン)。この先制点を皮切りに鈴木(圭)(社3)もTDし第1Q(クオーター)で13点差をつけた。
 第2Qは無得点だったものの、後半では本来はパサーであるQB(クオーターバック)の馬道(社1)がTDする。そして玉置(法4)もTDを決める。守備では須田(文4)佐藤(優)(経3)などディフェンス陣が活躍。一橋大に3点しか得点させずに27−3でリーグ戦初勝利を飾ったのであった。
 しかし11月13日、昨年の優勝校・法大を破った横国大との試合、前半を14―17とリードされた本学は、点差を覆さんと激しく攻撃する。しかし一歩及ばず22―24で敗北した。入れ替え戦へと回り、選手たちの面持ちはぼう然としたものだった。

背水の陣
 横国大戦の敗北から1部・2部入れ替え戦までは1ヵ月あった。負けたことに屈する間もなく、本学は1部の座を守るため練習に練習を重ねた。本学と対戦するのは2部2位の帝京大である。帝京大はリーグ戦では優勝した神大に負けたのみで残る試合はすべて圧勝した強敵である。
 決戦は12月11日、味の素スタジアムアミノバイタルフィールドにて行われた。試合開始前、選手たちは主将・金子(経4)の下に集うと勝利を誓うように空を指さし、ときの声を上げた。その気迫は尋常ではなかった。
 試合は帝京大の攻撃で始まるが本学のディフェンス陣がしのぎ、すぐに攻守交代。帝京大の強固な守備を破るために本学は臨機応変に攻撃できるオプションプレーを展開する。そして鈴木(圭)が開始3分でTDに成功。第1Q終了寸前に帝京大に追いつかれるが、第2Qで鈴木(圭)が再びTDを奪う。14−7でリードし前半を終える。
 後半に入ると点の取り合いはさらに加速。QB・伊藤(社3)が玉置にパスをつなげ前進、得点を重ねた。しかし帝京大も黙ってはおらず、勢いあるプレーで点差を縮める。
 そして28―21のスコアで迎えた最終Q。開始2分、帝京大にTDされ点差がなくなる。だが、本学はひるむことなく中山(経2)と松下がTD、完全に帝京大を突き放す。この後、帝京大も得点するが鈴木(圭)が4本目のTDを決めとどめを刺した。そのとき2年前につかんだ1部の栄光が次につながれた。

全てが終り
 「オープンで殴り合ったボクシングのような試合だった。1部に残りたい気持ちだけでここまで頑張れてすごい」と阿部総監督は試合を振り返った。選手たちは勝利と残留の喜びをかみしめていた。長き苦闘を終えて表情も自然と和らぐ。
 今季、本学からは須田がベスト11に、玉置がリーグで最も活躍したレシーバーに、それぞれ選ばれた。玉置は引退を迎え「大学からアメフトを始め、四年間それに打ち込めたことがうれしい」とコメントした。そして金子も後輩に向け「来年も厳しいシーズンになると思うが、立教らしく元気にチーム一体となって頑張ってほしい」と言葉を残した。
 今年、2部降格という危機を乗り越え、本学はチームとして一段階上へと至った。メインで走った松下と鈴木(圭)は互いに意識し合い成長を続けている。新主将の鈴木(圭)は「入れ替え戦に回らず、1部で上を目指していく」と決意を述べた。結束を固め再度1部戦う本学。来季には、強い信念とともに、進化した姿を見せてくれるだろう。
(丸茂)


スケート部フィギュア部門・加速の時

個人としてのみならず、立大として戦った。波に乗る本学スケート部フィギュア部門が再び沸きあがる。
 1月4日〜6日に釧路アイスアリーナで行われた第77回日本学生氷上選手権大会。鳥居(経1)、宇田川(観3)が一部で才能を発揮した。二部でも米山(文2)が驚きの成績で、学校別総合8位に輝いた。
 新生・立大の門出にふさわしい結果となった今大会。フィギュア界に本学の名をとどろかせるべく、新たな挑戦が始まった。

(写真=成長した鳥居の力強い滑走が冷たい銀盤をも熱く溶かした)

納得の滑り
 「満足度は高かった」。大会を終えた鳥居はそう語る。それもそのはず、インカレで見せた彼の演技は、今シーズンでの成長ぶりを周囲に知らしめるものだったからだ。まずショートプログラムでのノーミス。続くフリースケーティングでもこれまで失敗していたトリプルループなどの技を鮮やかに決めた。自身「今シーズンで一番良かった」と言うほどの滑りだった。
 鳥居をこれほどまでに成長させた1つに要因は「経験」にある。インカレの前に彼は、ユニバーシアード選考会というトップレベルの選手が出そろう大会に出場していた。「この大会で得たものはすごく大きい。自分に足りないものが何か分かった」と振り返る彼。荒波にもまれ、一回り成長した鳥居にとってインカレでの8位入賞は「今シーズンのごほうび」となった。
 さらに、ここ最近思うような結果の出ていなかった宇田川も13位という成績を残した。10月に行われた東日本選手権よりもプレッシャーが少なく、のびのびとした演技が出た宇田川。「結果はまあまあ。満足度は80lだ」。自分に厳しい彼女だが表情に久々の笑みがのぞいた。
 彼女にとって、今年は大学生活最後の年になる。宇田川の目標は「精神面で強くなって大事な場面で自分に負けない」ことだ。今年も自分自身に次なる課題を出し、「一試合一試合を大切にして、毎回自分の納得できる演技をしていきたい」と意気込んだ。今年も宇田川の舞う銀盤の上には厳しくも熱い視線が注がれる。

栄花咲く明日へ
 そしてもう一人、このインカレで確かなる手応えを得た選手がいた。それは今回万感の思いを込めて二部女子に出場した米山だ。
 彼女の中でインカレの位置付けは高かった。それがシーズンの最後に行われ、彼女にとっての集大成となるものだからだ。米山が大会前に定めた目標は「去年の7位よりも上の順位に入賞すること」。彼女はそのために毎日リンクへと足を運び、中身の詰まった練習をした。
 そして迎えた本番当日、彼女の努力の真価が問われた。数多くのジャンプを華麗にこなした米山は、「出来が良かった」と満足げな表情を見せた。しかし順位発表は彼女の顔をさらにほころばせる。「自分が一番びっくりした」という結果は二部1位。予想以上の成績に部全体も華やいだ。
 さらに本学は、チームとしても学校別総合8位に入賞した。結果には、それを裏付ける理由があった。
 1つ目に「相乗効果」。本学は他大になく、「経験の有無問わず大歓迎」をうたっている。経験者が初心者の練習を見ることで、初心者はもちろんのこと経験者も学ぶことがある。それによる相互の技術の向上。
 2つ目に「連帯意識」。互いに切磋琢磨(せっさたくま)することで、チームとしての結束は深まる。
 そして最後に「刺激」。今年、鳥居という全国レベルの選手の入部したことが本学に勢いをつけた。
 要素は満たされ、あとは結果を待つのみだった。そこで得たこの8位入賞は、彼らの歩みを肯定するに十分なものだった。
 今年、新主将として本学を率いるのは今回好成績を収めた米山だ。彼女は「部員の意見が通りやすい環境をつくりたい」と意気込んだ。装いを新たにした本学は前へと突き進む。彼らの目に映るものは、輝く未来にほかならない。
(麻田)



バドミントン部・さらなる栄光へ邁進

本学バドミントン部の勢いはとどまることを知らない。
 昨年11月2日〜12月3日に日体大健志台米本記念体育館などで行われた関東学生バドミントン新人選手権大会。Bブロックに所属する本学は激戦を勝ち抜き団体戦優勝を果たした。さらに個人戦でも本学の中心選手・浅井(経1)がシングルスで優勝。次々と快挙を成し遂げた。
 関東の大学が一堂に集結するこの大会において堂々たる成績を収めた本学の若い戦力。彼らの実力が確かな結果となって表れた。

(写真=新人戦制覇を狙う浅井は渾身の力を込めた一打を放った)

優勝を掌に
 頂点のみを見据えた団体戦。前年度に出場した大渕(経2)、小原(おばら=文2)、茂木(もてぎ=経2)はリーグ戦で3部昇格の立役者となるほど実力を高めていた。今回、茂木はよりハイレベルなAブロックに挑戦するため団体戦への出場権がない。だが、関カレでダブルスベスト8の実績を持つ浅井、冨澤(理1)が加わり優勝を狙う。
 団体戦はダブルス2試合シングルス1試合をし、先に2勝を挙げたチームが勝ち上がっていく。
 主力の茂木が不在だが、本学は5回戦まで1試合も落とさず王座を射程距離に入れた。「優勝を意識せず一戦一戦を大事に」と話す冨澤。本学は気を引き締め準決勝へ臨む。
 相手は強豪校の一角・千葉商大U。強敵を相手に苦戦を強いられ、自分たちのペースを乱されながらも懸命に戦う。結果だけを見ればゲームカウント2−0の勝利。だが試合後「決死の覚悟で行かないと負ける」と小原は顔を曇らせた。
 反省を残したまま本学は千葉商大Tとの決勝を迎えた。まず小原・大渕ペアの試合。高い攻撃力と速い試合展開でこれまで戦ってきたが、焦りによるミスを重ね、敗北してしまう。続く浅井・冨澤ペアは1セット目を落とし窮地に立たされる。だが2、3セット目を制し、シングルスへ望みをつなげた。最後の大役を務めるのは浅井。戦略性の高い展開に互いは譲らない。緊迫した試合の果てに相手が根負けし、ついに浅井が勝利をつかんだ。念願の団体戦優勝を果たした本学。選手たちはまばゆいほどの笑顔で輝いていた。

今、全盛時代へ

 団体戦を終えると個人戦の幕が開けた。団体戦優勝の鍵となった浅井はシングルス、冨澤とのダブルスどちらも他を寄せ付けない勢いで白星を挙げ続ける。
 両種目の準決勝、決勝が行われた最終日。まずは本多(日体大)とのシングルス準決勝から始まった。本学の大渕をも破った相手に浅井は調子を上げていきセットカウント2−0で制した。そして休む間もなくダブルスの準決勝へ。これまで互いの持ち味を生かし勝ち進んできた浅井と冨澤。だがダブルスとして熟練された出石・中嶋ペア(日体大)に試合の流れを奪われる。思うように自分たちの戦い方ができずに試合は終わり、ダブルスは悔しくもベスト4となった。
 続くシングルスの決勝。先ほどダブルスで戦った出石がまたも立ちはだかった。1セット目を奪い、2セット目はセッティングの末、出石が制す。明らかに疲労が浮かぶ浅井だがそれに反比例して闘争心は燃え盛っていく。自分のミスに声を荒らげ、試合に全神経を集中させる。3セット目は出石を相手にせず15−5で圧倒。セットカウント2−1で勝利した浅井は450人の頂点に立った。
 団体戦の最後に「浅井がシングルスでも勝ってくれる安心感があった」と大渕は浅井の存在の大きさを語った。また、ダブルスで活躍した冨澤や、シングルスで前回を超えるベスト8を収めた小原。浅井を筆頭におのおのが力を示した。そして団体戦優勝は彼らの団結力が発揮された結果である。昨秋3部で5位に終わった本学だが、今大会で見せたきずなの深さはその前途を照らすはずだ。
(黒田)











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