立教スポーツ第163号
<7月7日更新>

陸上競技部・1部 巻き起こした 旋風

 

かつての黄金時代の再来を思わせるほどの快進撃だった。

5月13日〜21日、日産スタジアムなどで行われた第85回関東学生陸上競技対校選手権大会。本学は女子百bで高橋()(社3)が2位男子2部百bで樋口(法3)が3位に入るなど、9種目で入賞。また、男子2部対校戦でも85校中8位となった。これは日々の練習が実を結んだ成果である。
今後ますます力を付けていくであろう本学。彼らの躍進は、とどまることを知らない。


鮮烈な両エース
 昨年樋口が成し遂げた3位入賞から一年。彼は再びこの舞台に戻ってきた。狙うは優勝、ただ一つ。
雨の中始まった男子2部百b予選。後続の選手を大きく引き離すレースで樋口は予選を通過する。続く準決勝も貫録の走りをし、頂点を見据え決勝に挑んだ。
そして立った決勝のスタートライン。静まり返った会場に号砲が響く。「スタートで失敗した」と言う樋口だったが、自らの持つ力を最大限に発揮しゴールに向かって疾走する。結果は3位。昨年と同順位に悔しい表情の樋口。だが「記録は出ると思っていた」と語ったように、タイムは自己ベストを更新する1061。彼は着実に成長している。主将となり、チームの先頭としてさらに上を目指す。
一方女子百bに出場した高橋()は、「調子が良かった」という言葉通り順調に予選を通過。準決勝も安定したレースを展開し、決勝への切符をつかんだ。
「目標は3位以内」と決勝に挑んだ高橋()。好スタートを切ると風に乗って加速していく。順位を分けたのは一瞬の差。競り合いながらゴールを駆け抜け、高橋()は2位にくい込んだ。
表彰台で笑顔を見せた高橋()は、結果以上にタイムに驚いていた。「実感がわかないくらい」。1188は自己ベストを大きく更新する自身初の11秒台だった。高橋()は女子4×百bリレーでも活躍。2走としてほかのメンバーを引っ張り本学を8位入賞へ導いた。
その後行われた全日本インカレでも女子百bで入賞を果たし、部に活気をもたらし続ける彼女。その姿は誰よりも輝きを放っている。

 

快走生んだ結束

 本学が強さを見せたのは個人種目だけではない。男子2部4×百bリレー、男子2部4×四百bリレーにおいても表彰台に立った。
14日の4×百bリレー予選。本学は牧島(経4)、樋口、井上()(法1)、後藤(経2)と危なげないバトンパスを見せる。予選全体の1位となる見事なタイムで、準決勝へと進んだ。
準決勝を順当に通過し、迎えた20日の決勝。「バトンパスが少しつまってしまった」と2走の樋口は振り返るが、メダル圏内でアンカー・後藤へ。国士大大学院、城西大と競り合いながらゴールへなだれ込む。立大新記録のタイムで3位入賞を成し遂げた。
レース後、牧島は「1位になれず残念」と悔しがった。しかし、今回の結果が今後のチームの励みとなっていくに違いない。
陸上競技の花形種目、4×四百bリレー。この種目でも本学は快走した。14日の予選を接戦の末通過し、久々の決勝進出を果たす。チームの士気も上がる中、21日の決勝を迎えた。
1走の井上()がいい形で2走・勝山(コ4)にバトンをつなぐ。順位を5位から一つ上げ、3走・高橋()(経4)へ。「気持ちの面で負けないよう走った」と語るように気迫ある走りで4走・岩国(文1)にバトンを託す。後半素晴らしい追い上げを見せた岩国が2位でゴール。この種目、35年ぶりの表彰台となった。
「次の目標は日本選手権リレーに出場すること」と語る4人。栄光を目指し、未知なる領域へと走り出す彼らの足は止まらない。

輝いた新人たち

 今大会で本学が好成績を残した理由の一つには、1年生の活躍が挙げられる。
岩国は4×四百bリレーのほかに2種目に出場。男子2部十種競技では7位入賞を果たす。さらに男子2部四百bハードルでは予選、準決勝ともに1着で通過をする。「3位以内を狙っていた」という岩国は、決勝でも序盤からスピードに乗り上位争いに加わった。ラストの直線でも粘り強さを発揮し、3位でゴールラインを駆け抜ける。それは1年生ながらメダルを手にした瞬間であった。
同じく1年生の井上()はリレー2種目のほかに男子2部百十bハードルでも活躍。予選、準決勝を突破し、迎えた決勝でも果敢な走りで7位に入賞した。また、多々見(営1)も女子4×百bリレーに出場。アンカーを務め8位に入った。彼らの活躍は大会を通し本学の大躍進を支えた。
今回の結果について沼澤ヘッドコーチは「1年生の活躍が部の雰囲気にいい影響を与えた」と喜ぶ。多くの選手が活躍することは一人ひとりにかかるプレッシャーを分散させることにもつながった。
本学の力はまだまだ発展途上。新主将の樋口を中心にチームがまとまり、1年生のさらなる成長があれば新たな黄金時代到来は目前だ。

  (内田、桜井、石井) 
女子バドミントン部 皆で引き寄せた3部昇格
皆で引き寄せた3部昇格

 会場に響く歓喜の声。ほおを伝う熱い涙。待ち焦がれていた時が訪れ彼女たちは喜びを爆発させた。
4月29日〜5月3日にお茶の水女大体育館にて行われた関東大学バドミントン春季リーグ戦。本学は4部Aブロックに所属し、昨春から3季連続の全勝優勝を成し遂げた。続く513日・14日に日体大健志台米本記念体育館にて行われた3部・4部入れ替え戦に出場。昨年は二度挑みながら敗退していたが、「三度目の正直」に懸けた今季、本学はついに3部への壁を突き破った。
「悲願の3部昇格へ」。作り上げた栄光へのシナリオは、彼女たち自身の手によって実現された

築く強固な布陣

 昇格のためには一つも落とすことのできないリーグ戦。本学は、初戦の対淑徳大から猛攻を仕掛ける。シングルスの小山(コ2)が相手を寄せつけない力強いプレーで2セットを連取。チームに勢いをもたらすと続く主将・小峰(コ3)がそれを一気に加速させる。第1・2セットともに11−0完封ゲームで勝利し、ダブルスの福元(コ1)・日比野(コ4)ペアに託した。「初めてのリーグ戦で緊張した」と話す福元だったが、落ち着いて加点し自身初白星を挙げた。残るダブルス・シングルスも連勝し、ゲームカウント5−0で大事な初戦をものにした。
続く高崎経大戦では小峰・小山の両軸がフル回転。着実に得点を重ね、またも早々に試合を決めてしまう。終盤2試合を落とすが、3−2で勝利した。
3試合目以降の対日大経済学部戦、青学大二部戦、お茶の水大戦も彼女たちの独壇場だった。日比野・小峰・小山・福元のレギュラー陣が次々に相手を押さえ込んでいく。反撃の機会をほとんど与えることなく、すべて4−1で制した。最終的に本学は5勝0敗の全勝優勝でリーグ戦を終え、入れ替え戦へと駒を進めた。日比野は「チームの成長が目に見えて表れた」と振り返る。固定し切れなかったレギュラーに福元が加わり、さらに控えの選手も活躍。佐藤()(文3)、大島(文2)が初勝利を挙げ、戦力アップを証明した。
充実の戦力に、深めた自信。そこには、昨年と違う確かな手応えがあった。 


積もる想いが今
 圧倒的な強さを見せつけ4部Aブロック全勝優勝を勝ち取った本学。しかしここが彼女たちの目標地点ではない。目指すは3部昇格だ。
3部校との入れ替え戦に回る前に、まず対するのは4部Bブロック優勝校の東洋大。この試合に勝って初めて3部校への挑戦権が得られる大事な一戦である。だが4部で敵無しの本学は終始試合を支配し東洋大を圧倒。3−1で相手を下し、3部昇格へ一歩近づいた。
3季越しの夢を懸け挑んだ3部校の玉川大戦。3部最下位といえども選手の層は厚く、4部校との力量の差は明白であった。
「チームに勢いをつけたかった」と語る初戦を戦った日比野。両者互角の攻防で互いに譲らない。足に故障を抱えた中で奮闘したがあと一歩のところで勝利を逃してしまった。しかしそんな彼女のプレーはチームを勢いづけ、続く小山は2戦目を勝利で飾った。
良い流れで迎えた3戦目は小峰・小山のダブルス。序盤、本学が得点を重ねていくが玉川大も3部の意地を見せ、簡単に勝敗は決しない。そんな中、「気持ちで勝った」と語った二人は2−1で3戦目を制した。
念願の3部へとあと1勝。日比野・福元のダブルスに皆の期待がかかる。「勝利を信じて取り組めた」と振り返る彼女たちは、玉川大の粘り強さにも屈せず見事にストレート勝ち。この瞬間、3部昇格の夢は現実のものとなった。
昨年2度の全勝優勝を果たすものの、入れ替え戦で敗退と悔しい思いをしてきた本学。常に3部だけを見据え、日々努力し戦ってきた。その積み重ねたものを形にした彼女たちは、秋に向けさらなる上昇を予感させている。

(須部・中村)



ハンドボール部 描き続けたこの瞬間4部復帰

ついにこの時がやってきた。本学ハンドボール部は長い暗闇を抜け、新たな一歩を踏みだした。4月16日〜5月21日にかけて、本学新座体育館などで開催された関東学生ハンドボール連盟春季5部リーグ戦。本学はそこで5部優勝、4部昇格という輝かしい成績を収めた。喜びをあらわにする部員たち。しかし、ここまでの道のりは決して平たんなものではなかった。3年前の5部降格から数々の困難が彼らを待ち受けていたのだ。逆境を乗り越えつかんだ昇格。勝利を求める強い思いが彼らを4部の舞台へといざなった。


連勝と連敗
 目指すのは昇格のみ。確固たる決意を胸に選手たちは走り出す。
本学は初戦の首都大、2戦目の文教大を大差で下し圧倒的な強さを見せた。
3戦目は、最初のヤマ場となる東洋大戦。緊張感が漂う中、試合が始まった。前半は苦戦するも、後半で速攻が決まり、
3022で本学が勝利する。勢いに乗った本学は、4戦目の千葉大戦も勝ち進んだ。
そして5、6戦目に対するのは昨年同秋季リーグ戦で敗れた横国大と学習院大。5戦目、速攻に加えてポストプレーが得点につながり、2623で横国大を破った。この試合を終え、主将・中川(経3)は「みんなで攻めて守る姿勢は簡単には崩れない」と語る。昨年に比べてチームワーク・戦力ともに向上したことが示される勝ちとなった。
ここで6戦目を前に本学と同じく全勝を守ってきた上智大が敗戦。この学習院大戦は勝てば本学の昇格が目前となる大一番となった。
明暗を分ける一戦が始まった。序盤から激しい攻防が繰り広げられる。終盤、本学のゴールが続き1311で前半が終了した。このまま流れをつかみたい本学。選手たちの表情がより一層引き締まる。迎えた後半、開始直後に点差を詰められ1314と逆転されたが、1点を取り返し同点とする。その後も1点を取られては取り返すという激闘が続き、場内は熱気で沸き立った。残り1分、本学のシュートが決まり2324。あと1点――。しかし得点は動かなかった。まさかの敗戦。彼らは落胆のあまり床に崩れ落ちた。

新時代の到来
 学習院大に痛い敗戦を喫した本学。上智大との最終戦は、両校にとって優勝、そして4部昇格を争う運命の一戦となった。前半、張り詰めた空気の中両者譲らぬ展開が続いた。そこで本学は1点をリードして、前半を折り返す。
後半、開始早々に本学は逆転を許してしまう。だがこの失点が本学に火をつけた。越山(法3)のゴールで同点に追いつくと、続けて4得点を挙げ上智大を突き放した。その後も勢いは止まらない。本学は「勝利」の二文字に向け無我夢中で得点を重ねていった。
そして迎えた歓喜の瞬間。勝利を手にした本学は、5部昇格と同時に3年ぶりの4部復帰を果たした。昇格に笑顔で気持ちを表す選手たち。本学の応援席からは激戦を戦い抜いた選手たちに惜しみない拍手が送られた。
3年前、春季リーグ戦で5部への降格を余儀なくされた本学。秋には6部降格の危機にも立たされた。部員不足で思うような練習ができなかったのだ。だが現在3年生としてチームを引っ張る中川・越山・吉藤(文3)、この三人の入部が部の状況を変えていく。チームに活気が戻り、徐々に盛り上がりを見せ始めた。
そして今春。本学は昇格を現実のものにするべく、勝つための練習を行ってきた。徹底的な体力強化を図ったのである。厳しい練習だったが部員たちは耐え抜いた。結果彼らは自信と共に勝利への強い気持ちを得たのである。そしてそのことが道を開き最高の結果につながった。
待ち望んでいた昇格を手にした本学。だが、彼らはさらなる飛躍を目指している。ただ3部昇格だけを見つめて。 
(土山、上甲)













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