立教スポーツ第164号
<10月6日更新>

水泳部 激戦の果て 笑顔煌めく

 

「最高の夏にしよう」。皆でそう決意した――。
 8月1日〜3日、東京辰巳国際水泳場にて第79回関東学生選手権水泳競技大会が行われた。各種目の順位点の合計で団体順位を決める今大会。昨年念願の1部昇格を果たした本学女子部は、1部という新たな世界でも堂々と戦い6位。また男子部は、ハイレベルな争いの中で力を発揮し1部4位を守った。
 一年間のすべてを今大会に懸けた部員たち。その背中を後押ししたのは、全員を結ぶきずなだった。
 



花咲き初める
 夢に見ていた1部。本学女子部の挑戦が始まった。
 大会初日、チームを勢いづけたのは1年生の力だった。平山(観1)が大会最初のレースで大幅に自己ベストを更新し、決勝で6位の活躍を見せる。また小畑(営1)も女子八百b自由形で2位となり、本学は波に乗った。ところが初日の最終種目、女子二百bリレーでまさかの失格。明るいムードが一転する。
 そんな雰囲気を振り払うため、より結束を強めた彼女たち。故障を乗り越え、1年ぶりに女子二百bバタフライに出場した根岸(社3)らによって、次々に得点が重ねられていく。
 そして最終日。大会最終種目を前に、本学は7位。6位専大との差はわずかに1点だった。「1点差で負けたくない」。彼女たちは逆転へ向け、女子四百bリレーに望みを託した。
 選手の入場に高まる応援の声。同時に会場内に緊張感が漂った。スタートでわずかに遅れた本学。しかし次第に差を縮めると、息もつけない接戦が続く。迎えたラスト50b。平山がチーム全員の思いを乗せ、スパートをかける。5位でタッチすると、そのタイムは立大新記録。7位でレースを終えた専大をかわし、本学は団体6位の座をつかみ取った。そしてレース後、すべてを出し切った4人の選手たちは、観客席の仲間に笑顔で応えた。


今、成長の証を


 昨年0・5点差で4位を死守した本学男子部。他大の戦力補強で厳しい展開が予想された中、先陣を切ったのは大久保(理4)だった。大会初日、五十b自由形で準優勝を決める。最高のスタートでチームを盛り上げ、続く二百b平泳ぎでは西川(コ4)が4位になるなど得点を稼いでいく。
 総合6位で1日目を終え迎えた大会2日目。エース・松尾(経4)が四百b自由形で自己ベストを出し3位と安定した泳ぎを見せる。また初日に好調な泳ぎを見せた大久保も百b自由形で自己ベストを更新し4位につけた。チームの声援を背に確実に上へと上り詰めていく。
 すべてが決まる最終日、またも松尾が力を見せつけた。昨年は百分の一秒差で予選落ちした二百b自由形で堂々の準優勝に輝いたのだ。彼の雄姿が力添えとなり百bバタフライで鈴木(謙)(社3)が5位。さらに西川は二百b個人メドレーで4位と健闘する。
 そして迎えた最終種目の八百bリレー。会場は最高潮に沸き立った。初日のリレーで男女共に失格となり「絶対取り返す」と誓った本学。メンバーは4年生で組んだ。第一泳者・松尾が1位でつなぎ、その後順位を落とすが4年間の思いをぶつけ結果は4位。5位に昨年を上回る点差をつけ総合4位を決めた。有終の美を飾った彼らは互いに抱き合い、喜びをかみしめた。


志を貫いて

 大会を終え、「今できる最高のもの」と涙をにじませながら語った主将・白垣(経4)。男女共に1部で戦い抜くまでには多大な努力や苦しみがあった。
 2年生の時から得点源として活躍し「強さ」を誇りにしてきた現在の4年生。そのため白垣を主将とした新体制の下、昨年10月から従来とは異なる厳しい練習を開始した。後輩の故障やOBからのさまざまな指摘がありながらも、信念を曲げずに打ち込んできたこの一年間。すべては「強くなりたい」という思いからだった。「自分たちのやってきたことに間違いはなかった」。今回の結果を受け白垣は笑顔でそう振り返る。
 そんな彼らを常に支えたもの。それはかけがえのない同期の存在だった。「家族、友、ライバルであり師でもあった」と互いに評した彼ら。実力のある同期に「負けたくない」という強い意志が自分たちを奮い立たせてきた。また寮生活を送る中で衝突も多かった反面、理解も深められた。
 「一人だったけど一人じゃなかった」と女子部リーダーである植木(経4)は語る。唯一の4年生女子であり多くの重圧を一身に引き受けながらも、彼らに信頼を置き今まで歩んでこられた。1部という大舞台で好成績を残せたことに「一致団結できた」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。最高の夏を胸に刻み、彼らは立大水泳部を後にする。
 主力選手が抜け厳しい戦いが予想される来年。しかし、水泳に対する実直な思いは確実に受け継がれていく。決してたゆまぬ心が高みへと導き、本学は次代へ突き進む。

  (内田、中村) 



陸上競技部 夢へと続く旅路 
日本ジュニア


期待の成長株
 
男子四百bハードルの決勝、岩国は今年最大の目標にしていたレースに臨む。「年間を通してのピークをこの大会に持ってきた」と語る岩国。その言葉通り予選を52秒05という自己ベストタイム、同時に立大新記録で通過していた。
 ピストルの音が会場中に響き渡り、決勝レースの幕は開けた。前半は持ち前のスピードで上位争いを演じる。またハードル技術は完成していないが、長身のためハードルの間の走りには利がある。また走力にも自信を持っており、後半にあまりペースが落ちない。最後のハードルを越えた岩国は残りの力を振り絞りゴールに駆け込んだ。52秒36と予選よりタイムは落としてしまうが、ゴールラインを4番目に通過。東海大や法大など、名門校の選手たちを相手に4位入賞という素晴らしい成績を残した。
 続いて2日目に行われた女子四百bには多々見が出場。「記録会などに出場し今大会に向け、緊張感を保つようにした」と語るように、彼女も日本ジュニアを大きな目標にしていた。まず予選を全国から集まった選手たちに劣らない走りで通過する。そして万を持して臨んだ決勝。最後まで安定したペースを維持することができるという彼女の武器を生かし走り切る。結果は予選とほぼ同タイムの57秒85で8位。それでも「力のある選手たちと走れてよかった」と言うように価値ある入賞となった。
 1年生ながらチームの主力である両選手。彼らにまた新たな勲章が加わった。


止まらない昇龍
 
今大会、目覚ましい結果を残した本学1年生部員。5月に行われた関東インカレでも活躍した岩国は、今大会に向けてハードル技術の練習を繰り返し行ってきた。「調子が良かったこともあり、メダルを狙っていた」と彼は話す。4位入賞という結果に完全には納得していない様子だが、「自己ベストを出し、手応えは感じた。今後も、もっとタイムを伸ばしていきたい」と意気込みを語った。
 一方、多々見は大会前の調整に不安を感じていた。彼女の出身地である北海道に比べて、関東はシーズンの開始時期が早い。だからこそ記録会などに積極的に参加し、コンディションを整えるために工夫をしてきた。今回の8位入賞について、「決勝レースに残れたことはうれしいが、もっとやれたはず」と悔しい表情を浮かべた。この飽くなき闘争心こそが、彼女を突き動かしている。
 さらに、三段跳びには鯨井(社1)が出場。入賞を逃し、「本来の自分を出し切れなかった」と振り返る。彼女はバネが持ち味の選手。課題としているブレのない安定した助走を身につけることができれば、今後の大会では上位選手を脅かす存在となるだろう。
 今回の戦いで見えてきたもの。それは誰もが待ち望む古豪・立大陸上競技部復活の瞬間――。その一翼は、才能あふれるルーキーたちが担っていると言っても過言ではないだろう。彼らは着実に進化をし続けている。フィールドを駆け抜ける勇ましい姿に、これからも注目だ。

(石井、清水)




合気道部 三井優勝 瀬上準優勝 至高の地へ

彼らの活躍が会場内でひときわ輝いていたことは確かだった。
7月2日に第31回学生合気道選手権大会が国立競技場霞ヶ丘室内体育館にて行われた。本学は個人捕技乱取試合の部において、三井(文3)が優勝、瀬上(法3)が準優勝。団体戦はけがで一人が離脱しながらも4位(敢闘賞)に食い込んだ。今大会は自信と強い結束を得るという、大きな意味を持つものとなった。

雌雄相対す
各大学最大2名までが出場できる個人種目・個人捕技乱取試合の部。本学からは三井、瀬上が出場した。
 三井は初戦、自分よりも一回り大きい相手に苦戦を強いられる。それでも彼女はひるむことなく技を繰り出していった。結果、勝利を収め、その後の試合でも危なげなく勝ちを重ねていく。一方の瀬上は初戦を流れるような技で快勝し、勢いに乗った。二人の快進撃を止められる者はいない。見事にそろって決勝戦へと上り詰めた。
 迎えた頂上決戦。会場には張りつめた空気が漂っていた。まずは先攻の瀬上が技を仕掛ける。俊敏な身のこなしで次々に技を決めていった。それに対し、後攻の三井は豪快な投げ技を放つ。お互いに集中力を切らさず、どちらが勝ってもおかしくない試合となった。
 そしていよいよ判定。観客がかたずをのんで見守る中、三井の勝利が告げられる。その瞬間、会場は拍手で包み込まれた。
 試合後、三井は「力が入り過ぎず、落ち着いてできた。技には気持ちが反映されるのでこれからも自信を持ってやっていきたい」と語る。この上ない結果を残すことができた個人捕技乱取試合の部。これから本学合気道部を引っ張っていく3年生が日々の練習の成果を体現できた。だが、二人は決して満足しているわけではない。彼らは心技共にさらに磨きをかけ、次なる目標へと向かっていく。

 
強まった結束

 
「団結力が生まれた」と主将・山口(経4)が試合後に語ったように団体戦では選手が一丸となった。
 シードのために2回戦からの出場となった本学。富山大を相手にして先鋒(せんぽう)・山口、次鋒・新井(文4)が連勝し、順調な出だしとなった。しかし中堅戦で予想だにしない事態が起きる。加藤(法3)が試合中に左肩を負傷。試合続行不能となり、加藤は悔しい敗北となった。2勝1敗で迎えた副将戦。大和田(理4)が華麗な技で相手を破り、本学は2回戦を突破。だが次戦以降、中堅戦が不戦敗となる。この逆境の中、北東京千葉学生会連合との準決勝に臨んだ。
 試合は新井、大和田が着実に勝利して、勝負は大将の清水(文3)に委ねられる。清水は強豪を相手に果敢に攻めるも敗戦。本学は3位決定戦にまわった。
 3位決定戦で対するは北大。先鋒・山口が、引き分けに持ち込む粘りを見せるが、これまで白星を重ねてきた新井に初めての黒星がついてしまう。追い詰められた副将戦は大和田の踏ん張りで勝利。そして、盛り返しを見せる中で始まった大将戦。清水は序盤から積極的に攻めていくが決め手を欠き、逆に合わせ技一本を取られ惜敗。それでも、本学は一敗のハンデを一人ひとりが補うことで4位という結果を残した。
 試合後、山口が「最高の結果ではないが満足した」と語るのは、4年生が最後の公式戦できずなを下級生に示すことができたからだ。このきずなを支えとして、下級生たちはさらなる成長を目指す。
 

(船越、浅岡)













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