立教スポーツ第172号
<6月6日更新>

レスリング部 半世紀振りの快挙 二部昇格

レスリング部 49年振りの快挙 二部優勝

  わき上がる歓声。1959年から半世紀の時を経て、男たちの優勝という夢はかなった――。
 5月10日・11日にナショナルトレーニングセンターなどで、東日本学生2部リーグ戦が行われた。本学は惜しくも1部入れ替え戦で敗れてしまう。だが、2部では圧倒的な力の差を見せつけ、見事49年ぶりに悲願の2部優勝を果たす。さらに主将・播木(はりき=コ4)は2部最優秀選手賞を受賞。勝利だけを信じ、積み重ねてきた努力が今、報われた。


狭き門を破れ

 3年前の同大会、本学は決勝戦まで駒を進めたが、3−4と惜敗し準優勝に終わる。その時を最後に、本学は予選リーグを突破していない。
 予選の壁を打ち破るために部員たちは体を鍛え、技を磨いてきた。「この大会のためだけにやってきた」と語る播木。果たせなかった「優勝」という大きな目標を実現させるべく、全員が一丸となった。
 闘志をみなぎらせ、迎えた予選リーグ。本学は強敵ぞろいのBブロックを戦うこととなる。決勝に進出できるのは4校中わずか1校のみ。たった一つのイスをかけ、激戦の火ぶたが切って落とされた。
 初戦の相手となったのは八1MENP.JPG - 45,320BYTES戸工大。55`級を不戦勝で先制したものの、続く60`級、66`級と連敗を喫してしまう。ここで悪い流れを断ち切ったのは74`級の小林(文1)。1年生ながら貫禄(かんろく)のある試合運びで相手を圧倒し、勝ち星を五分へと戻した。勢いに乗った本学は84`級の播木が完勝し、さらに96`級の森下(観2)は開戦直後に見せた電光石火のタックルで主導権を握る。その後も時間をうまく使い、勝利を収めた。120`級こそ敗北に終わったが、4−3と接戦を制し大事な初戦を物にする。
 2戦目の対東北学大では緊張から解き放たれた1年生の増田(コ1)と、能登(文1)の両名が躍動。互いにフォール勝ちとなり、本学の勢いは一層加速していく。続く小林、播木も順調に相手を下していき、2連勝が決定した。
 こうなると誰にも本学を止められない。3戦目の対国武大では全員が思い思いのレスリングを展開。格下との試合も手を抜くことなく、6−1と圧勝する。苦戦が予想された本学だったが、全勝という最高の形で翌日の決勝戦へと進んだ。


いざ、正念場
 運命の決勝戦、対するは防大である。つらい練習に耐え、厳しいリーグ戦を勝ち抜いてきたのもすべてはこの日のため。「絶対に勝つ」。張りつめた雰囲気の中、共通の思いを胸に、彼らの全身全霊を懸けた闘いが幕を開けた。
 試合は終始本学のペースで進む。林(コ3)、増田はともに攻めの姿勢を崩すことなく勝利を収める。このまま順調に勝ち進むと思われたが、防大が粘りを見せ能登は敗れてしまう。続く今大会負けなしの小林は豪快な技で相手を圧倒し、勝利。一気に本学が優勢となる。次の勝敗によっては念願の優勝が決定する5番手に、主将・播木が登場。試合開始直後から勝利への執念がこもったタックルがさく裂。その後も全く相手を寄せつけず快勝する。結果、本学は5−2で決戦を制し、ついに優勝をつかみ取った。
 昇格を目指し、本学は法大との入れ替え戦に挑む。しかし、1部の巧みな技と速さに本学は歯が立たず、勝利を逃してしまう。1部との壁の厚さを実感する中、播木が主将としての意地を見せる。果敢に攻め込み、法大から唯一の白星を挙げる。「負けられない存在だった」と、試合終了後に彼は自身を振り返った。1部昇格はかなわなかったものの、練習環境が整わない中でも十分1部で通用することを彼は自らの姿で後輩に伝えた。
 唯一の大規模な団体戦である今大会。「優勝しなくてはいけなかった」と、来年チームを率いる林が試合後に胸の内を語った。2部制覇を目標として掲げていただけに部員にのしかかる重圧は並々ならぬものだったのだ。半世紀という年月の果てに手に入れた栄光。その裏には計り知れない努力と、妥協を許さず勝ちにこだわり続けた者たちの姿があった。                                                                (尾形、一力)


強者の原点

 「明日は立教の歴史に名を刻む日だ」。試合前日、播木は部員たちにそう伝えたという。今大会の優勝に懸ける彼の熱意は並大抵ではなかった。
 3年前の決勝戦。当時1年生だった播木は団体戦メンバーに入り、戦いの時を待っていた。しかし出番が来た時、すでに本学の敗戦は決定。悔しさをかみしめながら得た勝利には、むなしさしか残らなかった。自分の力だけではどうにもならない状況。そんなつらさを味わったからこそ、思いはますます強くなっていく。「絶対に優勝したい」と。
 時は流れ、4年生になった播木は主将の名に恥じない力をつけていた。今大会でも実力を存分に発揮し、入れ替え戦を含め全勝を果たす。その活躍が認められ2部最優秀選手賞を受賞。2部優勝の大きな原動力となった。長い歳月を越えて成し遂げた快挙は、播木なしでは実現しなかっただろう。あの日の苦い記憶は彼を、そして本学を大きく成長させていた。                                                                   (尾形)


 


水泳部 明日を拓く新鋭 坂上

 水面を力強くかき進む姿が、新時代の幕開けを感じさせる――。
 4月15日〜20日に東京辰巳国際水泳場にて開催された第84回日本選手権水泳競技大会。北京五輪代表選手選考会を兼ねた今大会は、多くの日本新記録が生まれるハイレベルなものとなった。本学からは3名の選手が出場。中でも女子二百b自由形に出場した坂上(さかうえ=コ1)が1年生ながら準決勝進出と、健闘を見せた。

 

強靭な精神で
 日本最速を決める日本選手権。その女子二百b自由形予選に坂上が登場した。
 「前半は抑えていた」と言うように百bを折り返した後半から、さらに力強い泳ぎで突き進み2分03秒91という好タイムを残す。予選後、順位が電光掲示板に映し出されると、結果はもう1人の選手と同着タイムの16位。これにより準決勝進出を懸けたレース(スイムオフ)が行われることになった。
 開始直後から坂上は徐々に相手を引き離していく。そして百五十bターンで相手を確認できるほど差をつけていた。「勝った」、そう確信した。残りの五十bもそれまでのスピードが衰えることなく、結果自己ベストである2分03秒03のタイムでゴール。同日夜に行われる準決勝の切符をつかみ取った。
 場内の大歓声を背にスタートを切った準決勝。前半は横一線で進むが、中盤百b付近から少しずつ先頭集団が形成されていく。「体が動かなかった」と1レース分多く泳いだ疲労は隠せなかったが必死に粘りを見せると、後半スパートをかけ後続の猛追をかわす。見事予選順位を上回る13位に入る力泳だった。
後がないプレッシャーのかかる場面での自己ベストや、自身初となる準決勝の舞台でさえも「いつものように緊張しなかった」と精神力の強さを示した坂上。堂々とした泳ぎで最後まで泳ぎ抜いた。

 

新時代の予感
 入部して間もないにもかかわらず全日本の場で鮮烈なデビューを飾った坂上。彼女は昨年度末、高校生以下の全国大3MENP.JPG - 68,576BYTES会で優勝した輝かしい経歴を持ち、その実力は間違いなく全国でもトップクラスだ。本年度よりアスリート選抜入試を実施した本学。昨年度まで立大水泳部に所属していた根岸(07年度卒)の前コーチに以前指導を受けていたこともあり、最初に声を掛けてくれた本学に坂上は入学することを決意する。全国区のルーキーが入部し、部の選手層がより一層厚くなった。
 力のある新入生が数多く入部し、女子キャプテンの山本(済4)は「練習の面でも刺激を受けている」と声を弾ませた。さらに坂上については「精神的にも強くみんなを引っ張ってくれている」と語る。「活気がある」と主将の中紙(なかがみ=理4)も新戦力に手応えを感じていた。
 若き力の働きが早速良い結果をもたらした。4月29日に行われた六大戦では女子部が本学初となる2位という好成績を残す。夏に水泳部が一丸となって戦う関東学生選手権に向け、最高のスタートを切ることができた。
 これからの目標について坂上は「表彰台に上がってメダルを取りたい」と笑顔で語った。今回の大会では上位入賞を果たすことができなかったが「夏に向けて、自己ベストを出すために練習を重ねていきたい」と今後への意気込みは十分だ。
 立教に現れた期待の新星。これから水泳部の栄光の歴史を築いてゆく、“主役”への一歩を踏み出した。                                (青山)


少林寺拳法部 同志との夢輝く 男子三段以上の部優良賞

   「賞をとらせてやる」。主将・野村(理4)は部員たちにそう誓い己のすべてを懸けた。5月4日、第45回少林寺拳法関東学生大会が日本武道館にて行われた。昨秋の全日本学生大会では満足のいく結果が出せなかった本学。今大会までの7カ月間、厳しい修練を積んだ彼らは、男子三段以上の部で優良賞、女子段外の部で堂々の最優秀賞を受賞した。この入賞は部員同士が支え合ったからこそつかめた、努力の証そのものだった。

 


努力実を結ぶ

  近年、有段での入賞から遠ざかっていた本学。それを引き寄せたのは、仲間に対する強い思いだった。

 有段者の出場する部門の中で最もレベルが高い、男子三段以上の部。野村・柴田(文3)はこれに出場した。柴田が大会に出場するのは今回が初めて。そのことが彼のプレッシャーとなっていた。そんな彼をそばで支えたのは、共に練習してきた野村だ。彼もまた、後輩への指導を考える上で悩んでいた。けれども、考えていく中で練習に変化が表れ出す。ただ体力をつけるのではなく、自分で考える姿勢を身に付けられるような教え方にしたのだ。このことが二人を成長させていくきっかけとなる。

 迎えた予選。少林寺拳法は技を組み合わせる組演武を披露し、その修得度や表現力を競い合う。野村・柴田組は基本的な技を組み合わせることによって、正確さを重視した演武を見せた。10組中2位で予選を順調に通過すると、柴田は「まだまだいける」と確かな手応えをつかむ。

 本選の演武では「勝てるんじゃないか」と野村にも自信が芽生える。二人は速い動きを見せながら投げ技などを鮮やかに決めた。演武中の正確さと声の大きさが高く評価され、実質3位である優良賞を受賞した。

 念願の入賞を果たした野村柴田組。それまで賞を獲得した経験がなかったこともあり二人には今まで以上に自信がわいた。「今後、自信を持って後輩に指導できる」と二人は口をそろえて語る。大会を終えた彼らは、心身ともに一層たくましくなっていた。

 


きずなを武器に 
   女子段外の部には本学から舛田(ますだ=コ2)・村上(コ2)組が出場した。二人は本番を想定して集中力を高めた練習を積み重ねてきた。
 予選はその成果を存分に発揮し、気迫あふれる息の合った演武を披露した。その技の美しさと正確さが評価され、13組中1位の成績で通過。技にめりはりをつけるという課題を克服した。
 続く本選、「悔いの残らないように全力を出し切った」と村上は話す。力強くのびのびとした演武で最高点を獲得し、見事最優秀賞に輝いた。受賞後、「今までで一番楽しかった。村上と組むことができてよかった」と舛田。村上も「何を言っても受け入れてくれた」と、互いを大切に思う気持ちを語った。その言葉には二人のきずなの強さが表れていた。信頼で勝ち取った価値のある最優秀賞である。
 今回の舛田・村上組の入賞の傍らには、部員たちの存在がある。彼らは二人が持つ課題に対し常に親身になって助言を与えた。「感謝の気持ちが一番にある」と二人は強く語った。
 「自分で課題を見つけ向上することを心掛けてほしい」と話す野村。その思いは後輩たちに受け継がれた。今彼らは着実に力を伸ばしている。次に目指すは、全日本学生大会での全員そろっての本選出場。勢いづいた彼らの躍進は今後もとどまることを知らない。                       (裴、折原)

 


 









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