立教スポーツ第177号

<6月4日更新>
   

    
【水泳部】  ユニバーシアード日本代表選出!
      屈強のルーキー土橋 日本選手権4位
 

 本学の未来を照らす、鮮烈なデビューだった――。
全日本レベルの選手が集う今大会。年々選手層が厚みを増す本学から近年最多の13人が出場した。その中でも、土橋(どばし=済1)は3種目で好成績を収め、100bバタフライでは4位という快挙を成し遂げる。これから始まる四年間を土橋が最高のスタートで飾った。

気迫の泳ぎ
 50bと200bのバタフライでB決勝(9〜16位決定戦)に進出し、勢いに乗る土橋だが、「タイムはまだまだ」と決して満足はしていなかった。「決勝で自己ベストを出したい」と闘志を燃やし、彼女は大会最終日の100bバタフライにすべてをぶつける。
 予選レースから快調な滑り出しを見せた土橋は59秒61という自己新記録で全体の3位に食い込み、決勝への切符を手にした。3位という好成績と、自身初となる決勝進出に喜ぶ土橋。そして彼女は、決戦の場へと向かう。
 50bや200bの覇者、日本記録保持者など国内のトップスイマーに交じって土橋は姿を現した。「プレッシャーはない。自分のレースをすれば勝てる」と彼女は自分自身を信じて試合に臨んだ。スタート音が鳴ると選手たちは一斉にプールへ飛び込む。数秒の静寂を破り、選手が次々と水面に浮かび上がる。水しぶきを上げ進み始めるが、土橋はこの時点で最下位。レース序盤、彼女は必死にほかの選手を追い続けた。
 そして、50bのターン。「後半には自信がある」と言うように土橋が本領を発揮するのはここからだ。無我夢中で泳ぎ、じわじわと先頭集団との差を詰めていく。気が付けば体半分以上あったトップとの差は、ほとんどなくなっていた。レース終盤、壮絶なデッドヒートの中で土橋はただゴールだけを目指し力泳する。そして、勢い衰えぬままフィニッシュ。タイムは59秒10と予選に引き続き自己新記録をたたき出した。
 決勝戦での順位は4位。3位との差は百分の一秒であったが、「順位よりも自己ベストを更新できてうれしい」と土橋は語った。素晴らしい結果を生み出した彼女の精神力と粘り強さは並大抵のものではない。

前途洋々
 
「関カレ、インカレを見に行って立教の雰囲気にひかれた」。本学に入学を決めた理由をそう語る土橋。小学生の時から本格的に水泳を始め、当時から泳ぐことが好きだった。今でもその気持ちは変わらず、高校時代スランプに陥っても水泳を続けた。そして、努力が実を結ぶ時が来る。今年3月に行われたジュニアオリンピックで100bバタフライ2位という、自身最高の結果を残したのだ。
大きな自信を胸に、彼女は大学生として新たな一歩を踏み出した。本学水泳部は「文武両道+α」を掲げており、部活と勉強を両立させ、ほかに何か「α」を見つけることを目標としている。水泳だけでなく、勉強もしたいと考える土橋にとってここは最適な場所なのである。1.JPG - 100,370BYTES
3月にはグアム合宿にも参加し、「水泳部の先輩は面白くて、優しい。部活はすごく楽しい」と水泳部にいることで充実感を見いだしている。また「水泳は個人競技だけど、団体競技でもある。関カレや六大戦のような大学対抗戦が待ち遠しい」と語った。
大学に入って初めての試合である今大会。土橋は日豪対抗戦と、ユニバーシアード大会(大学生の世界大会)の日本代表に選出された。そして5月9日・10日に行われた日豪対抗戦で、土橋は100bと200bバタフライ・ユースの部に出場。他の有力選手を抑えて見事2種目で優勝を果たす。日本を飛び出し、世界の大舞台で彼女の実力が証明されたのだ。7月1日〜12日に行われるユニバーシアード大会でも土橋の活躍は大いに期待される。
 今後も数多くの大会が控えている。「まじめに練習に取り組んでいきたい」、そう語る土橋はすでに次を見据えている。彼女の輝く笑顔がまた見られる日はすぐ訪れるだろう。                                             (水田)

変化の兆し
 力ある1年生の入部は個々のモチベーションを高めている。印田(営3)は「後輩を泳ぎで引っ張れる先輩になりたい」と意気込む。さらに山田(コ2)は「自分も頑張らなくてはいけない」と刺激を受けている。後輩に負けまいと、それぞれの意識にも変化が表れた。
 丹野(コ1)の活躍も部の雰囲気を良くしている要因の一つだ。100b背泳ぎでは12位と1年生ながら健闘した。同じ種目に出場した桜井(現2)にとっても、丹野の存在は発奮材料となる。
 50b背泳ぎ予選を桜井は15位で突破。B決勝では自己ベストを上回るタイムでゴールした。「今までしてきたことは間違いなかった」と確かな手応えをつかんだが、自分の泳ぎに納得はしていない。「目標タイムに届かなかったら、自分にとってベストではない」と強い口調で語り、こう本音をこぼした。「焦りを感じた。下の学年に負けたくない」と。
 後輩の存在は桜井を奮い立たせる。「目標をクリアして、次はA決勝に残る」。そう言い切った彼の目には強い意志が宿っていた。  
   (倉田)




【洋弓部】 共に実現させた 快挙


 5月10日入れ替え戦当日。厳しい冬を越えた彼らの下に春の日が差し込んだ――。
 年に1度行われるリーグ戦で洋弓部男子は2部、女子は1部へ昇格を決めた。共に練習し、支え合い、戦ってきた仲間たち。彼らは互いの健闘を祈り、それぞれのステージへ向かった。

 

大望叶う時
 「実感が無い」。昇格直後、選手たちが口にした言葉の理由は4年生唯一の女子部員、中村(文4)が一番知っている。彼女はリーグ戦での勝利を一度も経験したことが無かったのである。
 今年の洋弓部女子にはアスリート選抜入試で経験者が入部。2、3年生も練習を重ね、実力を付け昇格を目標に戦う準備は整った。「今年のチームならいける」と信じて迎えた初戦の相手は成城大。緊張から選手たちは本来の力を発揮できず、わずか18点差で敗北。2戦目の東農大戦も敗れ早くも窮地に立たされた。
 昇格への頼みの綱となる青学大戦。のし掛かるプレッシャーをはねのけ2383点という高得点で見事勝利する。そして昇格のためには譲れない東京理科大戦へ。勝負は最後までもつれたが、35点差で相手を下した。そのため、3校で入れ替え戦出場の一枠を争う順位決定戦が行われることとなった。
 1週間後、男子部員やOB、OGが集結し試合は行われた。この試合で次期女子リーダー・長谷川(文3)は自己の試合記録を更新。60点以上の差で勝利し、彼女は「応援のおかげ」と語った。
 運命の入れ替え戦。中村が選手に掛けた言葉は「気負わずに自分のできることをやるだけ」。この言葉に呼応し竹内(文2)、吉田(現2)が総得点の自己新記録をマークする。全員が全力を出し切り、1部昇格を決めた。歓喜の後に彼女たちから溢れ出たのは、仲間への感謝の気持ちであった。その思いは男子へとつながれていく。

 

喜び噛みしめ
 絶対に負けられない。同日午前に女子部が1部昇格を決めたことに喜びを感じながらも気を引き締める。2部昇格を懸けた戦いが始まった。
 ここまで洋弓部男子は向かうところ敵なしの全勝で、試合を重ねる度にチームは成長を続けた。部員のモチベーションも高まっている中行われた入れ替え戦。日大、帝京大、東京農工大と本学を含めた4校中、上位2校が来季2部で戦う権利を得る。
 試合は50bと30b射的があり、出場選手8人のうち得点が高かった6人の合計点で競う。ここでチームを支えたのが植竹(済3)と小木曽(おぎそ=法2)。植竹は50b射的で、小木曽は30b射的で6エンドすべてにおいて赤字(60点満点中50bは45点以上、30bは55点以上)を出し、それぞれ距離賞を獲得し3.JPG - 109,772BYTESた。
 気温が高く集中力を保つことが難しい中での試合。OB・OG、そして女子部の声援を力に変え最後まで全力で戦った。その結果本学は3560点を獲得。2位の帝京大に70点差をつけ、見事1位で念願の2部昇格を果たした。
 この快進撃の裏にあった本学の強さについて次期主将の山村(済3)は「コーチが就いての新体制が良かった」と語る。また、心の支えになっていた女子部について「同じ目標に向けて練習してきたことで良い緊張感と刺激を受けた」と山村。彼らにとって男女ダブル昇格の喜びは格別で、ほかの何にも代え難い。
 しかし、戦いはこれで終わらない。常に上を見ている彼らは今日も闘志を燃やして矢を放つ。共に1部で戦う日を見据えて。                                    (村松、渡辺(優))


 

【柔道部】 オールミッション1部昇格


   試合終了を告げるブザーとともに、喜びをかみしめる選手たちの姿がそこにはあった。
ここ数年リーグ戦は突破するが、わずかに手の届かなかった目標の地。今年本学は2部全勝優勝の勢いのまま、入れ替え戦でも勝利し昇格を果たす。
強力な新入生を加え臨んだ今大会。彼らを2部制覇、初となる1部の舞台へと導いたのはチームの一体感だった。

王者の貫禄
 昨年までの3年間、あと一歩の結果に終わり、悔しい思いを味わった本学。悲願の1部昇格へ向け、戦いが始まる。
 リーグ初戦の上智大、続く明学大との対戦は新入生に加え控えの2・3年生が活躍。共に全勝とし、変わらぬ強さを見せつける。さらに3戦目の西南学大との試合も、主将の進藤(コ4)が開始わずか10秒で内股を決めるなど、4勝1分けで快勝。最終戦の桃山学大との試合に臨んだ。
 先鋒(せんぽう)は南茂(なんも=異2)。始めから積極的に技を仕掛けていく。しかし、防戦一方の相手にうまくかわされ決め手を欠き、引き分けとなる。先勝したい本学は福長(済2)に2戦目を委ねた。開始2分に有効を奪い、先手を取った福長は残り残り2秒で疲れが見え始めた相手の技のすきを突き、大内返しを決める。この流れを継いだ結城(文1)も1分36秒に大外刈りで勝利。このまま本学は勢いに乗るかと思われた。
 勝利に王手をかけ、続いて挑むのは剱田(つるぎだ=済2)。中盤に足技を掛けて有効とし、逃げ切りを図ったが試合終了直前に追い付かれてしまう。だが、大将の進藤が果敢に攻める相手に対し踏ん張りを見せ引き分け、2勝3分けとした。その結果、リーグ全勝しオールミッション2部4連覇を成し遂げた。
 圧倒的な実力を誇り、集中力を切らさずに無敗で終えた本学。新入生が加わったことで戦力が充実し、目標達成への準備は整った。満を持して彼らはこれまでのさまざまな思いを胸に、決戦の畳へ上がっていく――。

成就した思い 2.JPG - 74,375BYTES
  入れ替え戦の相手は昨年と同じ青学大。因縁の対決が幕を開ける。
 先鋒は剱田。「まずは自分が決める」。その言葉通り果敢に攻め試合開始37秒、内股すかしで一本勝ちを収めた。しかし篠原(文1)はそれに続くことができず、敗戦してしまう。後に控える相手は昨年、本学に痛い黒星をつけた強敵。結城は臆(おく)することなく奥襟をしっかりとつかみ攻め続ける。そのまま試合は時間切れとなるが、この引き分けは大きな価値をもたらした。
 結城の善戦により流れは本学に傾き始める。続く南茂は序盤から激しい組み合いに。中盤になるにつれ徐々に自分のペースをつかみ、相手が仕掛けてきた技をうまく返し一本勝ちを奪った。三将の福長は大学に入学以来団体戦では無敗。実力通り終始圧倒する。試合終了まで残り7秒、大内刈りで確実に勝利を手にした。だが副将の出口(文1)は一進一退の攻防を繰り広げるものの、締め技で一本負けを喫してしまう。この時点で3勝2敗1分けとなり、勝敗の行方は大将の進藤に託される。彼は主将としての意地を見せ、相手の技をしのぎ切り引き分けに持ち込んだ。この瞬間にオールミッション1部昇格が決まり、選手たちは拳を握りしめ勝利の歓喜に酔いしれた。
 試合後、進藤は「チームワークが良くなったおかげ」と話す。部員全員が一丸となって目標に向かい、共に励んだからこその結果である。今大会で得た自信を携え、選手たちは一層精進を重ねていく。       
(菊地、小柴)

 
 






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