立教スポーツ第178号

<7月2日更新>
   

    
【陸上競技部】  
立大史上初の偉業 岩国三連覇
 

 大観衆が見守る中、国立競技場に岩国(文4)の勝利の雄たけびが上がった。
 彼は個人で男子2部四百bハードル、チームとして4×四百bリレーで三連覇を果たし、男子2部最優秀選手(以下MVP)の称号を手にする。これまでエースという立場で部を引っ張ってきた岩国。関東にその名をとどろかせ、主将として最後の大会を最高の結果で締めくくった。

50秒間の激走
 豪快な走りと、リズムよくハードルを飛び越える正確なステップ。もう彼には栄光のゴールしか見えなかった。
 男子2部四百bハードルで岩国が本学の選手としては、関カレで初となる三連覇を達成。ラストイヤーを飾るにふさわしい「記録と記憶」に残る走りを見せつけた。
 予選はこれまでの豊富なレース経験を生かし、全体1位で危なげなく通過する。そして小雨が降りしきる中で1.JPG - 110,795BYTES迎えた決勝。岩国はスタートを告げる号砲とともに一気に飛び出すと、フォームを崩すことなく快走する。最後は食らい付く後続を振り切って50秒92でフィニッシュ。立大史上初となる快挙に、スタンドからは大きな歓声がわき上がった。
 岩国は本学に入学すると、1年目から同大会の同種目で3位という好結果を残す。翌年に優勝すると、昨年は連覇を決めた。そして3連覇が懸かった最後の関カレ。優勝候補の筆頭と注目され、試合が近づくにつれて焦りもあったという。それでも他の選手を寄せ付けないレース運びは、日ごろの努力のたまものだろう。「期待に応えられて、ひとまず安心した」という言葉が王者・岩国の心情を表している。
 同種目では藤原(コ2)も決勝に進出し、3位入賞を果たした。昨年は思うような練習ができずに予選落ち。「今年こそ」という覚悟で臨んだレースだった。「二人で表彰台に上がると約束していたので、本当にうれしい。3位入賞は岩国さんがいてくれたから」と笑みをこぼす。岩国の背中を追い掛けてきた藤原も大会を通じ大きく成長。この種目の4連覇に向けて視界は良好だ。新たな歴史の扉は開かれた。

3分間のドラマ
 四百bハードルに続いて、本学短距離陣の存在感を周囲に知らしめたレースだった。男子2部4×四百bリレーで岩国がアンカーとして3連覇に大きく貢献。MVPに輝いた主将の力走がチームを優勝へと導いた。
 1走を務めたのは山田(コ1)。個人では不満が残る成績だっただけに、リレーに懸ける思いは強かった。「先輩に迷惑を掛けられないので緊張した」と振り返るも、後半に見事な巻き返しを見せ、バトンをつなぐ。
 「三連覇のプレッシャーを強く感じた」と言うが、2走の田村は一気にトップに躍り出る。岩国から主将を引き継ぐ男の力走がチームに弾みをつけた。
 3走の藤原も流れに乗る。「去年はスタンドから見ていて感動した。今年は感動させる側になりたい」という強い決意で臨んだ。順位を落としたが2位をキープして、絶対的エースにチームの命運を託す。
 その岩国が仲間への感謝を胸に最高の走りを披露する。昨年までの連覇を経験しており、まさに四年間の集大成となるような追い込みだった。最後の直線でトップの平成国際大を抜き去るともはや行く手を遮る者は誰も居ない。3分13秒31の好成績で金字塔を打ち立てた。プレッシャーから解放されたメンバーは一様に安堵(あんど)の表情で、「(三連覇は)岩国さんのおかげ」と口をそろえる。一方の岩国は会心の走りに「仲間を信じた。MVP
はみんなに取らせてもらったもの」と喜びをかみしめた。
 今大会、本学は入賞者を多数輩出。40点もの対校得点を獲得し、総合順位も男子2部7位と前年に比べて大幅にアップした。長年の目標である1部復帰も見えてきている。岩国の偉業は後輩たちの心にしっかりと刻まれたはずだ。来季への期待は、大きく膨らむ。                                       (伊藤(龍))

無限の可能性
 女子1部4×四百bリレーで7位に入賞した本学。昨年に続く決勝進出で安定した実力を示した。「仲の良さや元気が伝わるような走り」(多々見・営4)でトラックを駆け抜ける彼女たちからは、「R」のエネルギーが感じられる。
 中でもひときわ存在感を放っているのが、女子1部四百bハードルで5位に入賞した赤司(法2)だ。「(昨年の7位という結果を)まぐれと言われたくないから、今年も決勝に残りたかった」と語るように、決勝進出を目標に調整を重ねてきた。強豪ぞろいのレースを想定し、前半のみハードル間の歩数を昨年の17歩から16歩に減らした。これが功を奏し、後半も粘り強く追走。見事シーズンベストを記録した。
 赤司の活躍で本学は活気づいている。「立教らしく」走り続ける彼女たちの勇姿に注目だ。                        (相馬)

 

原田監督に聞く
 
主将の岩国は、陸上に打ち込む姿勢や、競技者としての振る舞いが立派でした。そんな彼の姿が周囲に刺激を与え、ここまでチームを育て上げてくれたと思います。
 岩国だけでなく、4年生が個々の役割を意識して動いてくれました。短距離パートチーフの井上(法4)は皆のお兄さん的存在。磯(いそ=コ4)は周りに気を配れる人で女子部員をまとめ上げてくれましたね。
 これからはアスリート選抜入試による入部者がさらに部を盛り上げてくれるでしょう。ただのお題目だった1部昇格が今は現実味を帯びてきたと感じています。立教大学として箱根駅伝出場も目標。まずは関東学連選抜チームに継続的に選手を送り込みたいですね。とにかく選手を信じて頑張っていきます。



【バレーボール部】 この快進撃に終わりなし 3部昇格


 25点目のスパイクが決まった時歓喜に包まれる会場の中心にいたのは本学の選手たちだった。
 リーグ戦優勝、その後入れ替え戦でも勝利を収め昇格を遂げた彼ら。4年生がまとめ上げたチームで下級生が力を示した。中でも、有望な1年生の加入が皆の勢いに拍車を掛ける。この隆盛が悲願を達成する源となった。

 

勇往邁進3.JPG - 91,733BYTES
 狙うは全勝優勝、そして3部昇格。4部のコートに立つのは初めてながら彼らの志は高かった。
 しかし初戦で敗北。全勝の望みは露と消えた。それでもこの無念さが彼らを奮起させ、残る6試合は無敗。勝敗数で並んだ神奈川大をセット率で上回り優勝を物にした。
 満を持して臨んだ入れ替え戦の相手は大東大である。緊張から思うようなプレーができずにいた第1セット序盤。相手の攻撃に押されながらもリベロの真貝(しんかい=コ2)が粘り強くボールを拾う。それに応えるように伊ア(済2)が苦しい位置から見事にトスを上げると、蕪木(かぶらぎ=コ4)が力強くスパイクをたたき込んだ。長いラリーを制し、顔をほころばせる選手たち。これで波に乗った本学は流れを引き寄せ、25−15で第1セットを先取する。
 ブロックに定評のある田上(コ1)の守備に支えられ、開始から10−1と大差をつけた第2セット。最後は大井(コ2)のクイックが決まり、25−14と第2セットも制した。昇格を目前とした本学だったが、ここで相手も意地を見せる。終始劣勢のまま第3セットは19−25で落としてしまう。
 前セットを失ったことで第4セットの集中力はひときわ高まった。中盤までは競り合うも、清水(文1)が攻守にわたり奮闘。18−15からさらにリードを広げあっという間に24−16とマッチポイントを握る。そして蕪木がダイレクトスパイクを決めた瞬間、コート内外が大歓声で沸いた――。

 

飛躍は続く
 ついに3季連続の昇格を果たした本学。主将・新妻(済4)は「最高。今までの苦労がすべて報われた」と破顔した。前二度の自動昇格とは異なり、3部校を下してつかんだ喜びは特に大きい。
 新妻ら4年生が入部した当初、本学は14部中8部に所属。部員も少なく上位リーグに進めるような体制ではなかった。自分たちの力量を思う存分発揮できないもどかしさ。自分たちでチームを強くしようという意気込み。これらが勝利への渇望を増長させていった。
 そうはいっても、辛酸をなめてきた彼らにとって、3部はあくまであこがれでしかなかった。現状の厳しさを痛感していたからだ。それを未来としてより具体的に描き始めたきっかけは、アスリート選抜入試の導入である。才能溢れる人材が続続と集まり、若い力は上級生の持つ貪欲(どんよく)さと直結。チームは瞬く間に強大になり、発展を続けている。
 個性豊かなチームを個人技の寄せ集めで終わらせないためには、雰囲気づくりも大切だ。その点で新妻は「コートにいる全員の声が出ていて、一つにまとまっているのを感じた」と入れ替え戦を評価。結果はもちろん、結束を強めたことも今季の大きな成果である。
 3部で勝ち進むことは決して容易ではない。彼らも今のままでは力不足だと自覚している。だからこそ日々練習に励み、技術力・団結力に磨きを掛けるのだ。視線の先にあるのは2部。夢はかなうと知る彼らならもっと強くなれる。          (太田(佳))

 

新エース現る
 
入部から3カ月にもかかわらず早くも部内で一目置かれている清水(上写真)。今大会の全試合に出場し、得意の強烈なスパイクで相手を圧倒。チームの中で最も得点を決め攻撃の軸となった。苦戦を強いられた入れ替え戦の第3セットでは、勝負どころで切り札のジャンプサーブを繰り出し敵のミスを誘う。そんな彼の活躍は第39回春の高校バレー優勝校で主将を務めた実力を十分に見せつけるものであった。
 「チームを引っ張っていけるような存在になりたい」。そう彼は堂々と話す。また「3部で対等に戦えるように、気取らず自分のプレーをする」と、エースとしての目標も語った。今後さらなる飛躍を見せるであろう清水。秋季リーグ戦でも、彼の勇姿は輝くはずだ。              (宮下)

 

 


 

【射撃部】 関東団体3位


  彼らの躍進は止まらない。常に上を目指し、成長を続けてきた。
 新体制で臨んだ今大会、本学射撃部は男子がAR(エア・ライフル)種目である10bS60で、女子がSB(スモール・ボア・ライフル)種目の50b3×20の点数を伸ばし共に3位を獲得。総合団体では男子が7位、女子が5位に食い込む。昨年の2部優勝に続き1部の場で、その力を見せつけた。

挑戦者たち
 「自分のできる最高の射撃をする」。1部という舞台で、彼らが一つ一つの弾に込める思いは強い。
 昨年男女で2部優勝を成し遂げ、確実に進歩してきた本学射撃部。今大会の前に部制が変更され、自動的に1部となった。「実力で昇格していないが、数段上の大学を打ち負かす気持ちはある」と、主将・西(コ4)が語るように、昇格が部全体の士気を鼓舞していた。加えてアスリート選抜入試で1年生3人が入部して、若い力が上級生を後押しする。
 その中でも、大和田(法1)は高校時代SB種目で全国4位の実績を持つ有望株だ。昨年度同じくアスリート選抜入試で入学した内田(法2)から話を聞き、本学を活躍2.JPG - 56,822BYTESの場に決めた。「目標は個人、団体共に全国1位」と語る大和田に、上級生も「頼もしい」と期待を寄せる。
 経験者が入部したことで学年を越え芽生えたのは、お互いがライバルという意識。「危機感もあるが、後輩を引っ張っていけるようにしたい」と石井(法4)も刺激を受けている。さらに、今回SB種目に出場した根本(文4)は「これまで積み上げてきたものをしっかり思い出して、全力でやりたい」と、試合への意気込みを見せた。
 一人一人が己の課題と向き合い、互いに意識を高めてきた。その挑戦の場となる今大会に、彼らはそれぞれの思いを的に撃ち込む。

成就した思い 
 どんな変化が起きようと実力を出し切ることに変わりはない。戦う時は一人でも、心には共通するものがあった。「チームに貢献したい」。その思いが彼らを突き動かす。
 男子SB2種目では石井がいずれも高得点を記録。50b3×20では自己ベストを更新し、練習の成果を発揮した。またAR種目には早川(現3)、内田、大和田の三名が出場。合計1723点で3位に輝く。2位の明大に5点差と迫り、この種目で関東の頂点に近づく勢いを見せた。結果3種目合計5010点で総合1部7位。8位の早大と30点以上の差をつけ、石井は目標であった「早大に勝つ」という念願をかなえた。
 女子のSB種目は4年生三名のチーム。1年生の時から変わらぬメンバーで戦ってきた。人数不足のために、女子団体が成立しない時期も経験している彼女たち。「最後までこの3人でSBを戦いたい」。悔しさを知っているからこそ試合に対する気持ちは誰よりも強かった。
 結果は合計1644点でこの種目初の入賞となる3位。根本は自己最高得点でSB種目個人7位に入賞。また西もSB、AR両種目で自己新記録をマーク。AR種目での下級生の活躍もあり、見事総合で1部5位という成績を残した。
 1年生から4年生まで全員が力を合わせた今大会。常に男女一緒で着実に成長を遂げてきた。共に歩んできた道にもまだ先はある。後ろを振り返ることなく、彼らはまた一歩前へと進んでゆく。          (田島、村松)

 
 






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