立教スポーツ第179号

<10月1日更新>
   

    
【水泳部】  
関東に響き渡る名声 男子1部3位
風格漂う若きホープ 土橋準V
 

 季節は巡り、熱い気持ちを胸に秘め迎えたこの夏。かけがえのない仲間と共に過ごした日々が色あせることはない。
 レベルの高いレースが繰り広げられる関カレ男子1部で、本学は昨年の5位から順位を伸ばし、3位に食い込む。その後のインカレでは土橋(済1)が100bバタフライで2位に入る活躍を見せ、今年の夏を締めくくった。

GO!立教
 主将の平川(営4)は関カレを目前に控え「団体4位・部員全員がベストタイムを更新」と、目標を語った。結果を残すため練習から大きな声を出す。それに呼応するように部員も活気づく。厳しい練習にも耐え実力を付けた選手たちは、「全力を尽くす」、その一心で試合に挑んだ。
 その中でも活躍が際立っていたのが、100b・200b背泳ぎに出場した桜井(現2)だ。100bでは55秒54、200bでは2分0秒88と共に大会記録を塗り替え、決勝を制した。試合後「ベストを出せてうれしい。応援してくれた仲間に感謝したい」と、素直な気持ちが口からこぼれ出た。
 また100b背泳ぎで桜井に続き丹野(コ1)が2位入賞。100b・200b平泳ぎ決勝に進出した虎谷(法3)や山田(コ2)も力を発揮する。彼らの泳ぎは将来の躍進を予感させた。
そして団体戦の順位を大きく左右する400bメドレーリレー。応援にも熱がこもった。仲間の声援を力に変え、選手はレースに臨む。ここでも本学は3分45秒97というタイムで大会記録を更新し、チーム力を示した。
強豪校がひしめく男子1部の中で一つになって 戦った。そこで多くの選手が自己ベストを更新し上位に入賞した本学。3位という好成績を残した彼らに、仲間の祝福が待ち受けていた。ライバルでもあり仲間でもある部員同士の存在が、団体4位の目標を上回る結果へとつながったのだ。
 関カレを最後に代替わりし新体制へと移行するため、今大会は4年生にとって集大成となった。チームの中心に立ち戦い抜いた平川は「最高のチームで、笑顔の三日間を過ごせた」と振り返る。選手は互いの健闘をたたえ、喜びを爆発させる。部員全員が歓喜の渦に包まれる中、関東での戦いに幕が下りた。

STEP
 「インカレで優勝したい」。入学当初から掲げていた目標を達成するため、彼女の新たな戦いが始まった。
 関カレでは2種目を制覇し、勢いに乗る土橋。インカレでも好調をキープし、200bバタフライでは見事、決勝で4位に入る。「リラックスして臨めた」と言う100bバタフライでは予選を2位通過。迫り来る決戦を前に、土橋の気持ちは次第に高まっていく。
 会場が熱気に包まれる中で、迎えた決勝のレース。表彰台の一番上、それだけを目指し彼女はスタートを切る。「自分の泳ぎができなかった」と振り返ったレース前半。思うようにタイムが伸びず、出遅れてしまう。だが徐々にペースを上げる土橋。トップとの差は少しずつ縮まっていった。
 50bのターンでは、一気に加速。ここからが彼女の真骨頂だ。得意とする後半からスパートをかけ、巻き返しを図る。1位の選手との接戦。最後まで勝負の行方は分からなかった。ゴールと同時に、観客の視線が電光掲示板に集まる。タッチの差だった。結果はわずか0・26秒及ばず2位。トップレベルの争いの中で、彼女は快挙を成し遂げる。しかし、この結果に満足することはなかった 。肩を落として、プールを後にする土橋。その姿はインカレに懸けていた思いを何よりも表していた。
 「本当に悔しかった」と土橋は試合後に心境を語った。頭の中で描いていた自分の泳ぎをできずに、終わってしまった今大会。それでも彼女はくじけることなく、前を向いてこう言う。「日本一になりたいから、これからも着実に歩んでいきたい」
 忘れられないこの日の記憶。全国で味わった悔しさを胸に、夢がかなう日まで彼女の挑戦が終わることはない。  
                                            (工藤、倉田)

     



【陸上競技部】 輝きを放つヒロイン 日本選手権入賞赤司


 鮮やかなハードリングと攻めの走り。「R」のエースが、あこがれだった日本選手権決勝のトラックを駆け抜けた。
 ハイレベルな戦いの中、赤司(法2)は女子四百bハードルで7位入賞を果たす。これは本学女子史上初の快挙である。同時に、自身の持つ立大記録も更新。日本一を決めるレースで本学期待の星が真価を発揮した。

 

夢にまで見た日
 「卒業までに日本選手権の決勝に残りたい」。1年前、赤司はこう語った。国内最高峰の大会での入賞など、当時の彼女には夢物語だったのだ。
 立大記録の更新に始まり、赤司はいつも周囲の期待を裏切らない。関カレでは四百bハードルで2年連続入賞。さらに今年は学生個人選手権でも好成績を残している。順調に記録を伸ばし、彼女は自信をつけ始めた。
 そして6月27日、学生のみならず実業団所属者も参加する日本選手権決勝当日。赤司はウオーミングアップ中に足がつるというアクシデントに見舞われた。それでも「ケアで精いっぱいで、逆に自分のことでだけに集中できた」と笑ってみせる。
 号砲とともに赤司は勢いよく飛び出した。中盤まではライバルたちに食らい付くも、徐々に離されてしまう。しかし最後の直線。持ち前の走力で距離を詰めていく。前を走る選手をとらえたのはフィニッシュの瞬間だった。告げられた結果は7位。100分の1秒差で競り勝ったのだ。
 日本選手権での入賞が在学中の最終目標だった赤司。「思いのほか早く達成できちゃった」と砕けた調子で驚きと喜びを表した。そしてふと真剣な顔つきにな るとこう続ける。「だからもっと上の世界が見えてくる。陸上観が変わった」
昨年はトップクラスの選手の中で走ることに気負っていたという。そうした空気に慣れつつある今、赤司は新たな気持ちでハードルに向かう。

 

次のステージへ
 日本の有力選手たちと競り合い、最初の200bは勝負できることを実感した赤司。夏場はスピード力を落とさないよう走り込みを重ね、9月の日本インカレに挑んだ。
 予選は前半から突っ込む積極的な走りでレースを展開。後半も粘りを見せ決勝に進出した。「ハードリングは納得してないけど、走力でカバーした」と予選を振り返る。しかし決勝でもハードルと走りがかみ合わず、悔しさ残る6位入賞。課題が浮き彫りとなった。
 それでも、今季の主要な大会すべてで入賞した赤司。「今年は一年間を通して記録が安定している。目標もクリアできたし充実していた」とシーズンを評価する。
 そんな彼女がチームに与える影響は大きい。周囲の信頼も厚く、四百bハードルのパートチーフを任されることに。今後は日本のトップレベルで戦った経験を部に還元してくれるはずだ。原田監督も「種目を問わずリーダーシップを発揮してほしい」と期待を寄せる。
 「来年は表彰台に上がる」と赤司は意気込む。持ち味のスピードと後半の粘りに加え、ハードリング技術が向上すれば、かなわぬ夢ではない。
これから迎えるオフシーズン。さら なる飛躍の鍵を握る厳しい冬季練習が待っている。今季は一流選手への階段を駆け上がった。来年の春にはどんな赤司を見ることができるのか、とても楽しみだ。
                                      (太田(佳)、伊藤(聖))

 



 

【ボート部】 ボート魂オールに込めて激漕


  熱いレースが続く中、選手たちはすべての力を出し切った。
 本学は男子シングルスカル6位、男子舵手(だしゅ)なしフォア7位、女子舵手付きクォドルプル5位という好成績を収める。今大会に懸けた思いの強さがこの結果を生み、確かな存在感を全国に示したのであった。

新谷の猛追
 インカレに向けて、本学ボート部はこれまで心身のすべてをささげてきた。新谷(コ3)にとってもそれは変わらない。男子シングルスカルの予選で2着となった彼は、敗者復活戦へと出場する。「タイムを狙っていた」と話す通り、今季の自己ベスト記録で準決勝へと駒を進めた。
 集中を保ち臨んだ準決勝。だが、2日間の疲労も影響し2着と惜敗を喫する。この結果、決勝進出を逃して順位決定戦へ進むこととなった。
 「決勝へ行けない悔しさで前日寝付けなかった」という最終日。新谷は抑え気味なスタートを切り、終盤まで他のクルーにリードを許す。しかし得意のラスト500b。他をしのぐストロークで4番手から猛追し、2着でゴール。総合6位となった。「満足のいくレースだった。来年は必ずメダルを取る」とより高みを目指す志も忘れていない。
 レースを重ねるたびに成長を見せる新谷。今後も彼の活躍から目が離せない。

奇跡のスパート 
 「このクルーで出場したことは特別だった」。目黒(現2)は大会4日間を振り返ってそう語った。
 予選を2位で終え、敗者復活戦へ回った男子舵手なしフォア。1艇のみが準決勝へ進めるレースで、見事1着となる。だが続く準決勝は惜しくも決勝に届く結果とならず、次レースでの奮闘を誓った。
 気持ちを前面に出して勝負に挑んだ順位決定戦。前を行く相手に食らい付いていくも中盤に遅れを取り、苦しい展開が続く。それでも粘り、耐えて迎えた終盤。彼らが「奇跡のスパート」と自ら称する追い上げで一気に2つ順位を上げ、3着。総合7位で最終レースを締めくくった。
 「気を抜いた漕(こ)ぎは無かった。悔しさは残るが、これが自分たちの実力」と語る家田(文4)が十字のオールを手にするのは今大会が最後となる。四人の総力を結集しつかみ取った、価値ある戦績となった。

女子も負けじと 
 仲間が活躍する中、彼女たちも負けられなかった。
 予選では思ったような漕ぎができなかった女子舵手付きクォドルプル。だが敗者復活戦を突破し、準決勝では3位に入る。決勝には残れなかったものの、順位決定戦に向けて士気は高まっていた。「絶対に1位になる」。女子部主将の後藤(コ3)は意気込んだ。
 そして順位決定戦。レース前は「緊張していた」と全員が口をそろえたが、それを感じさせない試合運びを見せる。序盤は他のクルーと競り合うも、500b過ぎからスパートをかけて引き離した。そのまま勢いが衰えることなくゴール。2位と約6秒もの大差をつける圧勝だった。
 昨年は体調不良で実力を発揮できなかった難波(社2)も「良いレースができた」と振り返った。それでも「まだ上を目指せる」と後藤が言うように、さらなる飛躍を期待させる。
 全力で漕ぎ抜いた夏。彼女たちからは自然と笑みがこぼれた。
                                                        (山田、倉田)

伝えたい気持ち
 
オールを握り続けた大学生活。その中にはたくさんの思いが詰まっていた。
 今大会で引退を迎えた主将・佐藤(済4)と家田。これまでを振り返るといつも近くにいたのは同期だった。「佐藤がいなかったら辞めていた」。そう家田が話すと、佐藤は照れくさそうに笑う。互いの支えなしでは今の二人はなかった。
練習や合宿所生活を共にした後輩の存在も大きい。「やっぱり後輩はかわいい」と佐藤が言うと、「本当に頼もしかった」と家田も話す。家族のようでもあり、時にはライバルとして過ごした後輩との日々。それは彼らにとってかけがえのないものだった。
そして佐藤は次代を担う後輩に向けて激励の言葉を送った。「強い立教の礎は築けた。これから強くするのはおまえたちだ」。熱き思いを後輩に託して、彼らの四年間は終わりを告げた。                (倉田)

 

 


 
 






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