立教スポーツ第180号

<12月3日更新>
   

    
【スケート部スピード部門】  
スケート界注目!2人の19歳
河合 菊池 W入賞
 

  部員不足に悩み続けたスケート部スピード部門に大型新人が入部。国体で河合奏聖(かなみ=文1)と菊池悠希(営1)が入賞を果たした。国内の大会で結果を残し、彼女たちは世界へと羽ばたいていく。

納得の滑り
 河合が埼玉県代表、菊池が長野県代表で出場した今大会。大学からは成年の部に区分されるため、最年少での挑戦となった。
この部門には、国際大会で活躍するベテランがそろう。「少年の部とはレベルが全然違った」と話す二人。しかしその中でも結果を残すにあたりはやはり本物だ。
   500bに出場した河合はスタートに勝負を懸けている。一度前に出たら、あとは自分の滑りをしようと決めていた。この種目は周回が少ないため早くからトップスピードに乗せる必要がある。しかし焦りから転倒する選手も多く、速さと同時に技術も求められる。河合は準々決勝まで1着で通過し、4着に入る。B決勝(5〜8位決定戦)に進み、見事2着で6位入賞を果たした。
   逆に序盤のペース配分が勝負を分けるのが、菊池の得意とする1000bの特徴だ。菊池は先頭集団に加わり、終盤で前に出られるように前半は脚力を温存する。そして残り5周あたりからすきを突いて前の選手を抜き去る。確実に2着までに入り、次ラウンドに進めるよう計算し尽くされた位置取りで順調に勝ち進んだ。準決勝では4着でB決勝に進み 、6位入賞。5位とはわずか100分の3秒差だった。
   河合は高校までスピードスケートを専門とし、ショートトラックは約6年ぶりに再開した。だが目標としていた入賞を果たし「満足している」と喜びを語る。一方の菊池は「できればA決勝に残りたかった」と負けず嫌いな一面をのぞかせながらも、「スケートの楽しさを再確認できた試合だった」と結果よりも内容に満足を示した。全国の舞台で入賞を果たし、両選手はその存在感を強めた。

立教から世界へ
 2年前に80周年を迎えた本学のスピード部門。かつてはトップ選手を数多く輩出する名門校だった。しかし近年は部員不足に悩まされ、活動休止状態に陥る。
この危機を救うためにOBが勧誘してきた二人の逸材。期待通り、入学後彼女たちは日本選手権をはじめ、数々の大舞台で輝かしい成績を収める。「立教」の名は瞬く間に全国に知れ渡り、風前のともしびだったスピード部門には新たな光がともされた。
   選手として第一線を走ると同時に一大学生でもある彼女たち。立教を選んだ理由として、菊池は「競技だけでなく勉強もしっかりできるから」、河合は「夢である教員になるための勉強と競技を両立できるから」と答える。だが、ハードな練習と勉強を両立させることは容易ではない。甘えの許されない厳しい競技生活の中でも高いモチベーションを保つために、二人には必要なものがある。「周りの応援です。一人じゃないと思うと力がわきます』(河合)。「同じ選手である姉など、尊敬できる人との会話を大切にしています。自分も頑張ろうと思えるので」(菊池)。
   二人が目指す場所は一つ、「世界の舞台」だ。そ のために菊池は大学から五輪代表選手も所属する名門クラブチームに入った。河合は3月にアジア選手権に出場。夢への階段を着実に上っており、2014年のソチ五輪も見据えている。主将の新井(法3)も「4年後、2人のどちらかがオリンピックに出てほしい」と期待を語る。日本スケート界の期待を背負い、次世代のエースは立教から世界へ挑む。   
                                          (石田明日香)

     



【少林寺拳法部】   立大史上初の偉業 女子三段以上の部5位


   全国の学生拳士たちが集結した日本武道館。その中で、躍動感に満ちた立大拳士の演武は見る者を確実に引き付けていた。
   齋藤美弥子(現4)・須々木愛優佳(コ4)組は女子三段以上の部で5位、村上有紗(コ3)・和田佳菜子(観2)組は女子二段の部で4位に入賞。日々の修練が実を結び、手にした栄光であった。

全身全霊
 それぞれが強い思いを胸に臨んだ今大会。関東大会から半年、努力を重ねた彼女たちはさらなる成長を遂げていた。
 齋藤・須々木組は女子三段以上の部に出場。二人は2年前の関東大会において、女子段外の部で最優秀賞を獲得した経験がある。「本気でできる相手」と再び組み、学生最後の大会も優勝を狙いにいった。予選では前半に技を失敗する場面もあったが、コート内5位の得点で通過。迎えた本選は「持てるものすべてをコートに置いてくる」という須々木の言葉通り、持ち味のスピードを生かした彼女たちらしい演武を見せた。最大限の力を出し、結果は5位。学生大会最高の部門での入賞という立大史上初の功績を挙げた。
  また、女子二段の部では村上・和田組が健闘。学年も段も異なる二人だが、先輩の村上がリードし呼吸をそろえてきた。予選をコート内2位で勝ち進み、本選へ。大きな動きを交えた迫力のある演武を披露した。「今までで一番楽しくできて、やり切ったという感じがした」と二人は口をそろえる。満足のいく演武で4位に入賞し、自 信につなげた。
  全日本の舞台でも輝かしい結果を残した立大拳士たち。頭角を現す後輩を、4年生は「結束の強い代」と評し大きな期待を寄せている。さらなる高みに向かって、少林寺拳法部は一丸となって突き進んでいく。

経験で得たもの 
 学生生活最後の大会で見事有終の美を飾った齋藤と須々木。大学から少林寺拳法を始めた二人にとって、ここまでの道のりは決して平たんなものではなかった。だが、その分得たものは大きい。それは「人との出会い」だと彼女たちは語る。
 須々木は入部後初の大会から連続で入賞を果たしたが、以後結果を出せない時期が続いた。周囲の期待に応えられず、部における自身の存在意義や少林寺拳法をやる理由を見失ってしまった。一時は退部も考えたが、そんな時に自信を取り戻すきっかけとなった言葉がある。「拳士は心も技術も黒帯でなければいけない」。少林寺拳法を通じて知り合った人にそう教えられ、技術ばかりにとらわれていたことを知る。精神面も同時に鍛えることの大切さに気付き彼女本来の動きができるようになった。
 一方、警察官を目指し強くなるために入部を決意した齋藤。少林寺拳法から身につけたものは強さだけではなかった。幅広い年齢層の人々との会話を通して、人と関わる上で何が大切かを学んだ。今後警察官として働く彼女は、この経験を職業に生かしていくつもりだ。
   新たな道に進む彼女たちだが、これからも少林寺拳法を続けていく。部の記録を更新するという最高の形で四年間を締めくくった齋藤と須々木。集大成を見せた二人の表情は、とても晴れやかだった。 
                            (中田美華子)

 


 

【卓球部】全日学出場へ 岡田優勝


   卓球部のエース・岡田由紘(理2)がさらなる高みへの切符を手にした――。  圧倒的な強さで会長杯Bブロックを制し、部にとっては8年ぶりとなる全日本学生卓球選手権大会(以下全日学)への出場を決めた岡田。快挙の裏にはシーズンを通して味わった悔しさがあった。

 

いばらの道
 昨年の会長杯ベスト32から大きく躍進した岡田の今シーズンは、決して順風満帆なものではなかった。
 春季リーグ戦では優勝決定戦まで進出したものの、シングルスで岡田が挙げた一勝のみでチームは惜しくも敗れてしまう。秋季リーグに向けて「個人個人の力を上げていきたい」と岡田はチーム全体のレベルアップの必要性を訴えた。
  厳しい練習を乗り越え迎えた、全日学への出場が懸かる関東予選会。3回戦で敗れはしたが、1部校選手の力にじかに触れ、「技術的にはさほど差がない」と肌で感じ取った。ひたすら練習に励んだことが大きな自信となっている。負けた悔しさもあったが、彼の目にはすでに秋季リーグ戦が映っていた。
 岡田の「絶対に3部に昇格する」という気迫のこもったプレーが原動力となって、秋季リーグ戦でチームは4部校の頂点に輝いた。しかしリーグ戦の勢いそのままに挑んだ入替戦代表決定戦では、試合を優位に進めたものの、逆転負けを喫する苦い思いをした。「気を引き締め直す事ができなかった」と精神面での弱さを痛感した。
 リーグ戦を通じて経験したことを糧に、勝利を追求する岡田。全日学出場へ向け、今季最後の公式戦にすべてをぶつける。

 

証明された努力
 全日学出場のわずか一枠を懸け、会長杯争奪卓球大会の火蓋(ひぶた)が切られた。主将の米山(済3)とともに、岡田はダブルスに挑んだ。

 危なげない試合運びで決勝へ駒を進める。相手は秋季入替戦代表決定戦で惜敗した因縁のペア。試合は一進一退の攻防を繰り返し、手に汗握る展開で最終ゲームまでもつれ込んだ。しかし白星を挙げることはできず、惜しくもダブルスでは全日学への出場権を逃してしまった。
 気持ちを切り替えた岡田は、立大のエースとしての誇りを胸に、シングルスに挑んだ。決勝までわずか2ゲームを取られるのみと、力の差を見せつける。決勝でも相手に付け入るすきを一切与えず、ストレート勝ち。「負ける気はしなかった」と余裕の表情を見せた岡田。他を寄せ付けない力で、部として9年ぶりの会長杯を勝ち取り、全日学への出場を決めた。
 岡田は「ベスト8に入りたい」と気合い十分に目標を語る。1・2部の強豪校を相手に勝利するためには「サーブレシーブの質を高めること」と自身の課題を見つめた。量より質を重視し、「一本一本100%の力」で練習に励む。10月に控える大舞台に向けて、岡田のチャレンジが今まさに始まった。

                                         (工藤祐之介)

 


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