立教スポーツ第184号

<10月7日更新>
   

    
【陸上競技部】  
世界に残した足跡
岡田世界ジュニア銅
 

  立大から世界のメダリストが誕生だ!!世界ジュニアの女子一万メートル競歩で岡田久美子(社1)が3位入賞を果たした。世界のトップアスリート相手に実力を発揮。岡田の強さが結果となって現れたレースだった。

憧れの表彰台
 ゴールの瞬間、岡田は満面の笑みを浮かべ両手を高高と上げた。それはレース中から考えていたものではなく、うれしさから自然と出たガッツポーズだった。

  彼女にとって本大会は高校時に続き2回目。2年前は8位だった。その時に見た、表彰台でメダルをかけた3選手の姿に感動したという。「次に出られたらメダルを取りたい」と夢を持ち練習に取り組んできた。
  「世界だと失うものがない」と岡田は大会を振り返る。本人はその感覚を「運動会みたい」と言う。それほどリラックスすることができていた。
  レース前の調整は気負わず集中しすぎず行い当日もいつも通り試合に臨んだ。
  スタートの号砲とともに先頭に躍り出たのは岡田とロシア勢。しかし、世界をリードする競歩大国であるロシアの2選手はあまりにも速かった。メダル獲得を第一に考えていた岡田は自分のペースを守り、中国やイタリアの強豪と激しい3位争いを展開。気温30度を超えるコンディションの中、50メートル単位でのスパート合戦が繰り広げられる。岡田自身も決して余裕は無かった。

次はシニアで
  飽くなき向上心を持つ岡田にとって、今大会の栄光も通過点に過ぎない。次の目標を視野に岡田の新たな挑戦がスタートする。
  ジュニアからシニアへ。距離は20キロとジュニア時代の2倍となる。そこに対応するためには20キロを乗り切る体力が必要だ。「大学に入って意識は高くなったが今まで以上に食事に注意したい」と言う。
  技術面では、持ち前の美しいフォームにさらに磨きをかけていく。ロシア勢の動画を見て研究することもあるという岡田。今大会のレース中には技術の差を痛感した。「後半きつくなっても、フォームが乱れないように。ロシア勢のような大きな動きがしたい」と高見を見つめる。その上で、「目標があるのだから、ブレることなく取り組みたい」と決意している。
  まずは来年2月、国内トップを争う日本選手権で20キロに初挑戦する岡田。新たな舞台での戦いを前に「勝ちたいとは思うけど、目標は日本のトップではなく、もっと上」と思いを口にする。今回の好結果にも「達成感はあるが、もっと強くなりたい。今までの結果に自信を持ち、20キロに挑戦したい」と意気込む。
  さらに彼女は自身のことのみにとどまらず、競歩界全体にも目を向けている。「日本がもっと強くなってほしい。自分の活躍で良い雰囲気になれば」と、岡田はその発展を願う。最終目標はオリンピックでのメダル獲得。日本人未到の領域へ。彼女が歩みを止めることはない。(野口一郎)      



【ボート部】   インカレ 男子ダブルスカル 3位


  やってくれると信じてた!男子ダブルスカルに出場した新谷健介(コ4)栗山直樹(済2)ペア。プレッシャーがかかる中でも粘り強い漕(こ)ぎを見せ、3位入賞を果たした。一艇身以上の差を最後の最後でひっくり返す劇的なレースの末に、手にした意地の銅メダルだった。    

驚異の追い上げ

  応援団の華やかな演奏にセミの鳴き声が入り混じる、炎天下の戸田ボートコース。道路と観客席はレースを見守る人で埋め尽くされ、異様な雰囲気に包まれていた。
 
  決勝発艇時刻まであと1時間。立大艇庫にもピンと張り詰めた空気が漂っていた。艇に乗り込む新谷と栗山に、関係者たちの視線が集中する。そして、大きな声援に見送られながら2人は優勝に向かい岸をけった。  
  スタートの合図とともに一斉に動き出した各クルー。水しぶきをあげ、ハイレベルな戦いが始まった。出だしは4艇が横一線に並んだ。しかし第2クオーターに入ると、富山国際大が抜け出し差が広がっていく。立命大と3番手の明大からも徐々に遅れをとり厳しい展開に。だが、2人は落ち着いていた。「自信があった」というラストスパートを早めにかけ、3位を狙いにいく。最高4秒離されていた明大を追い上げ、残り200bでとらえた。そのまま一気に抜き去り、3位でゴール。男子ダブルスカルでは11年ぶりのメダル獲得だった。  
  レース後、優勝もすぐそこに見えていただけに表彰台に向かう彼らの表情には悔しさがにじみ出ていた。しかし、堂々の3位に部員をはじめ多くの人が祝福の言葉と拍手を彼らに送る。銅色のメダルを受け取り仲間たちに囲まれると、新谷と栗山の顔は次第にほころんでいった。

正反対の二人 
「真面目が服を着て歩いているようなストイック人間」新谷と「自由奔放」な栗山。長い間クルーを組みプライベートでもよく遊ぶ2人だが、その性格は正反対だ。周囲からの期待に対しても、新谷は「自分を挑戦者だと思うことでプレッシャーから解放された」と話すが、栗山は「自分は絶対王者だと思いながらやっていた」ときっぱり。
  そんな一見合いそうもない2人が最初に実力の片りんを示したのは、4月に行われた日立明三大学定期戦だった。この大会で12年ぶりに"打倒明治"を成し遂げ、その後の東日本大会でもぶっちぎりの優勝。最終目標のインカレはあと一歩のところで金メダルに届かなかったが、ペアを組んでからの約1年、2人は確実に結果を残してきた。
  4年生の新谷はこれで引退となる。試合後の納会、2人で出場できる最初で最後のインカレを終え、彼らは今の心境を語った。「悔しさは残るけど、全力を出すことができたから」と新谷はすっきりとした表情で振り返る。「夢の続きは栗山に」託し、彼は4年間のボート生活に終止符を打った。そして夢を託された栗山は、自信家な彼らしい言葉で力強く宣言した。
  「今後結果を残せないと今回が新谷さんのおかげだと思われてしまう。オレがすごかったんだぞってことを証明したいので、次は優勝を持ってきます!」 (中田美華子)

 


 

【水泳部】眞弓 インカレ女子200m自由形 インカレ6位


   ストロークの長さと安定した泳ぎ。立大の新鋭が学生日本一を決める大会で堂々とした泳ぎを見せた。眞弓裕子(コ1)がインカレ女子二百b自由形で6位入賞。並み居る強豪たちとしのぎを削り、見事にその実力を証明した。

 

実力発揮
 
  全国トップレベルのスイマーが集う、日本学生選手権。立大スタンドをひときわ盛り上げたのは、入部から右肩上がりの成長を続ける眞弓だった。
  レース前日、不調に悩むエースの土橋(済2)から「裕子が決勝に残ったら、わたしも頑張る」と背中を押された眞弓。「自分が勢いをつけなければ」。エースの言葉が彼女の闘志に火を付けた。そして臨んだ予選では、その実力をいかんなく発揮。2分3秒68の好タイムを記録し、決勝進出を決めた。
  迎えた決勝。大歓声を浴びながら、選手たちはスタート台へ向かう。名前がコールされると、眞弓はまず笑顔で立大の仲間たちに手を振った。緊張しているからこそ、彼女は笑顔を忘れない。高ぶる気持ちを迎えながら、スタートの合図を待った。
  スタート音と同時に飛び込む選手たち、前半は他の選手たちに遅れをとってしまったものの、100bを折り返すと徐々に彼女の本領が発揮され始める。「自分は距離を泳ぐほど、泳ぎが安定していく」と自信を持つ後半、滑るような泳ぎで懸命に追い上げ、巻き返しを図る。ラスト50b。長いストロークを生かし、スピードを上げていく。最後までペースを落とさずにフィニッシュ。ゴールした瞬間、電光掲示板に「6位」の文字が映し出された。

 

眞弓の歩み
 
  「6位入賞という結果はものすごくうれしい」と、素直に喜んだ眞弓。彼女が1年生にしてこの素晴らしい成績を収めるまでには、さまざまな苦労があった。   
  中学3年で全国大会2位、高校1年ではインターハイ7位と着実に結果を残してきた。しかし、高校2年時に肩を痛めてしまい、インターハイへの出場を断念。高校3年時にも部員のインフルエンザ感染が原因で、同大会に出場停止となるなど度重なる不運に見舞われてきた。   
  そんな彼女が立大水泳部の一員となったきっかけは、現4年生からの熱烈な勧誘だった。高校1年以来、インターハイに出場していない眞弓。そんな状況にもかかわらず声を掛けてくれた先輩に彼女は心から感謝しているという。こうして入部した彼女は「みんなが真剣に応援してくれる。一人で泳いでいる気がしない」と立大の雰囲気を気に入っている。また、基礎体力の向上を重視した練習メニューは「基礎体力づくりを怠ると一気にタイムが落ちてしまう」という彼女に最適な内容だ。立大の環境が彼女をさらに成長させたことは間違いない。   
  彼女の4年間の目標はインカレでの優勝と、立大をインカレのシード校にすることだ。2つのゴールに向かって、最高のスタートを切った眞弓。彼女の真っすぐな目は目標の実現を予感させるものだった。(山崎翔太)

 


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