立教スポーツ第189号

<10月6日更新>
   

    
【陸上競技部】  
Restart Here
岡田 インカレ 10000mW 連覇
 

  表彰台の一番上に立ったのはまたしても彼女だった。第80回日本学生陸上競技対抗選手権大会において岡田久美子(社2)が女子一万b競歩で二連覇を果たした。ユニバーシアードでは結果を残すことができなかったが、やはり彼女の"歩く力"は本物だった。

復帰

 「プライドも何もなくなった」。いつも強気な岡田からこんな言葉が飛び出した。今年のユニバーシアードで16位という不本意な結果に終わり、自信をなくした時期があった。
 インカレは彼女にとって「タイムではなく、勝ちにいくレース」。彼女が再度自分の歩みを取り戻すためのものだった。
 スタートから飛び出すと持ち味の流れるような美しいフォームで、他選手を引き離していく。今大会、注意を払ったのはフォームの修正だ。岡田は今までほとんど警告を受けたことがない。しかしユニバーシアードでは、暑さの影響により歩調が乱れた。膝が曲がるベント・ニーという反則を何度も注意され、あと一回で失格のところまで警告を取られてしまった。
 そのため今試合では電子掲示板でタイムを確認しつつ、そこに反射して映る自分の姿を見て、毎周フォームの確認を徹底した。3000bを過ぎると岡田についていける選手はもういない。しかし油断することはなく、最後まで自分のペースを守り抜き、46分48秒76でゴール。
 「確実に成長しているという実感がある」。つらい経験を乗り越えた末に、成し遂げた二連覇。去年と比べて、技術ではなく精神面でも大きく成長した姿をみせた。   インカレで、自信を取り戻した岡田。次は国体に向け、20`の持久力をつける練習を行う。「44分台で優勝。オリンピックにも出たい」。強気な岡田が戻ってきた。(西田茉央)

また一から
 出場した大会では常に好成績を収め、華々しい競技人生を歩んできた岡田。しかしインカレ前に初の挫折を味わっていた。
 8月19日に行われた、第26回ユニバーシアード競技大会。全世界の学生が集まるこの大会で、岡田は「人生最悪の結果」という16位でゴールする。「競歩が嫌になって、怖くなった」。棄権者が続出する中最後まで歩けたことは大きいが、本人にとっては到底納得できるものではなかった。
 試合後は「気候が悪かったからね」と周りから声をかけられ、気分転換に遊んで来るようにも言われた。こうした周囲の気遣いが、実力不足を感じた彼女にとっては逆につらく感じ、悔しかったという。やけになって、普段は自制しているファストフードも食べた。
 しかしそれから約3週間後。インカレの舞台に登場した岡田は、いつも通りの強さで優勝を決める。彼女が短期間で立ち直った裏には、高校時代から指導を受けているコーチの言葉があった。ユニバーシアードの日本選手団のスローガンである、『Start here』。コーチはその頭に『Re』をつけてみろと言った。「リスタートだよ、またやり直せばいいじゃないか」。
 Restart here 、またここから始めよう。世界陸上での日本人競歩選手の奮闘にも影響されたという岡田。入学当初に語った、自分の活躍で競歩の知名度を上げたいという気持ちも強まった。挫折を乗り越えそれを糧にする彼女には、一段とアスリートの風格が漂い始めている。(安藤瞳)



【水泳部】 帰ってきた笑顔!! 土橋 インカレ 女子100mバタフライ 2位


   頼れるエースの待望の復活劇に歓声が響いた!!土橋知佳(済3)がインカレにおいて女子百bバタフライで連覇中の星(早大)に肉迫しての2位。久々となる彼女の笑顔の裏には応援とチームへの感謝が隠されていた。

 

僅差の争い
 「大学日本一になる」入部以来、土橋はこの言葉を何度も心に刻んできた。今大会もその思いを得意とする百bバタフライにぶつける。
 予選は4位で通過。予選と決勝の間にはメドレーリレーも控えているハードな今大会。しかし、「メドレーリレーで良い泳ぎができたので、決勝は楽しみだった」と、疲れを全く感じさせない笑顔で入場した。
 スタートから勢いよく飛び出す土橋。前半50bを3位でターンすると、し烈なトップ争いが始まる。ラスト25b、4コースの星と並び、ラストスパートをかける。お互い譲らず、一直線に並んだままゴール。声援の響き渡っていた会場が一瞬沈黙に包まれ、タイムが電光掲示板に表示される。59秒71。1位との差はわずか0.09秒だった。
 「本当に悔しくて今にも泣きだしたい気分だった」と振り返る彼女の脳裏には、優勝した星の姿があった。クラブチームが同じで、中学生のころから一緒に練習し、土橋にとって「仲のいい友達でもありライバルでもあり絶対に勝たなきゃいけない相手」だった。それでも表彰台の上で彼女は満面の笑みを見せた。応援してくれた人や、サポートしてくれた人に対する胸いっぱいの感謝の気持ちが、彼女をそうさせていた。

 

仲間のために

 今大会勝ちにこだわった土橋。立大水泳部エースの彼女だが、2年ぶりの表彰台。それはあまりに高く容易には登れなかった。
 1年生でユニバーシアード日本代表選出と鮮烈なデビューを果たすも、2年生になると思うような結果が出ず、もどかしい日々が続く。今年4月の代表選考会では結果にとらわれプレッシャーに押しつぶされそうになった。「自信が持てなかった」と、ここでも納得の泳ぎができずに終わる。「インカレで優勝したい。勝たなきゃつまらない」。インカレに対する彼女の思いは高まるばかりだった。
 3日間の総レース数は10本。「とにかくチームのために点を稼ごうと思って泳いだ」。体力的にも精神的にもつらいはずの彼女を支えたのは「チーム」の存在だった。「自分のために泳いでいた」彼女はもういない。チームを思う彼女の気持ちが今回の成績につながった。
 今大会で4年生は引退、来季からは土橋を含めた3年生がチームを引っ張る。「チームがどんどん強くなるのがうれしい」と心強い後輩に期待を寄せる。今年立大は、シード校になるまであと一歩だった。「インカレでシード校に」。土橋が立教史上最強と胸を張る来年の女子水泳部。彼女たちの躍進はとどまることを知らない。(中村友美)
▼女子四百bリレー8位 ▼女子四百bメドレーリレーB決勝1位

                          

 



 

【モーターボート・水上スキー部】 来季に意思つなぐ インカレ 男女 準V


 死力を尽くし戦った全日本学生選手権大会。立大は男子、女子共に見事準優勝をつかみ取った。昨年の同大会より男子は一つ順位を上げ、女子は昨年の順位をキープ。頂点の座を逃したものの、白熱の試合を戦い抜いた彼らの姿は堂々としていた。

熱闘の末に
 日本一を目指し厳しい練習を行ってきた水上スキー部が男女アベック総合2位に輝いた。しかし、この成績は彼らにとって満足できるものではなかった。
 水上スキーは技の完成度を競うトリック、決められたコースブイを回るスラローム、ジャンプ台からの飛距離を競うジャンプの3種目で構成される。インカレはこの3種目の合計ポイントを大学対抗で争う。今年の立大は男女共に各種目のバランスがよく、総合優勝には大きなチャンスがあった。主将の涌井(社4)も「このチームなら日本一になれる」と手応えを感じていた。
 しかし、試合展開は立大にとって苦しいものとなった。男子は初日のトリックで首位に立ったが、2日目のスラロームで記録を伸ばすことができず失速。最終日を前にライバルの慶大に逆転されてしまった。一方の女子も高得点を出すものの学習院大がそれを上回る記録を連発し、約1000ポイント差の2位で最終日を迎えた。
 最終日のジャンプ。先に競技を行った女子が意地を見せる。エース土木田(営4)が28.0bを記録し、堂々の優勝。男子も涌井が40.0bの大ジャンプで2位に入った。しかし、ライバルとの差を埋めることはできず、総合順位は2位。粘りを見せたものの、立大が頂点に立つことはできなかった。

託したバトン
 試合後に涙を流し、地面に崩れ落ちる4年生。日本一へのこだわりは並々ならぬものがあった。
 インカレ前には1ヵ月の琵琶湖合宿を行い、体力そして精神を限界まで追い込んだ。男子トリック、スラロームで活躍した市川(社4)は「合宿中にこのチームなら優勝できると思えた瞬間が一番忘れられない」とチームの成長を感慨深げに語る。また合宿中に両足首を負傷した片山(済4)も「みんながどんどんうまくなる姿を見て本当にうれしかった」と個々の技術の向上に喜びを感じていた。
 優勝はできなかったものの涌井は「今までで一番楽しいインカレだった」と大会を振り返る。女子チーフの土木田は「他のどの立教生よりも充実した4年間だった」とこれまでの水上スキー生活に満足感を得ていた。マネージャーから選手に転身した井上(観4)も「この4年間に後悔はしていない」と胸を張った。
 4年生の思いは次の世代に託される。「来年は新しい立教で絶対に優勝してほしい」(涌井)。「OBとしてできることは何でもやっていく」(市川)。今大会では兵動(済2)が30b越えのジャンプを見せるなど下級生の活躍も光った。新主将の溝間(コ3)も来季に向け気合は十分。「4年生の思いと自分の悔しさをぶつける」と決意した。
 悲願の日本一に向け水上スキー部が今、再スタートを切った。(古谷駿太郎)

 



 

 


 
 






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