立教スポーツ第193号

<7月5日更新>
   

    
【水泳部】  
関カレVへ! 立大“夏速”!!
後藤 ジャパンオープン 女子400m自由形 6位
 

 初夏の風吹く辰巳にリッキョウダイの文字が躍った!! 五輪選手をはじめとした強豪が数多く集結した今大会。四百b自由形で後藤沙貴(社1)が6位と健闘。激戦の夏本番へ確かな手応えを感じた。

選手として
  「終わっちゃったの?」。そんな言葉を投げられたこともあった。高校1年の頃インターハイ四百b自由形で2位という成績を残した後藤。だがそれ以降大きな結果を残せなかった。葛藤もあり「水泳自体大学で続けようか迷う時期もあった」。 しかし高校3年、転機が訪れる。腰のケガで最後のインターハイに出場できなくなる。「まだ水泳をやりたい」。 彼女は水泳人生を泳ぎ続ける道に進んだ。  
  そうして立大水泳部の扉をたたいた。新しい環境でレベルの高い選手に触れたことにより、エースだった高校時代の「私が引っ張らなきゃ」という重圧から解放され「私も頑張らなきゃ」へと意識が変化。肩の荷が下りた。GWに行われた合宿でも着々とタイムを上げ、万全の状態で本大会に臨めるはずだった。  
  だが、合宿後から体調を崩し、思うような練習ができない。涙を流しながら本数を重ねた。苦しみにもがく中、新しい仲間たちに励まされ試合へと向かうことができた。  
  「泳ぐことが怖かった」と不安を抱きながらの本番。しかし初日の二百b自由形で眞弓(コ3)からの助言もあり落ち着いて納得のいく泳ぎができる。すると気持ちが切り替わり、良い形で二日目の四百b自由形へと向かった。  
  迎えた翌日の四百b予選。決勝の椅子は上位8つ。4分18秒63とボーダーライン上のタイムでゴールする。残りの組が終わるのを待つ。つかの間の静寂が訪れ、電光掲示板に順位が羅列されてゆく。

“挑戦者”
  「8 ゴトウサキ リッキョウダイ」。 電光掲示板に全順位が現れ、決勝への進出が決まる。日本ランキング70位からの快進撃だった。「こういう舞台でファイナルに残れるのが初めてで今までで1番嬉しい」。   
  迎えた決勝。最後方でキックを重ねるが、落ち着いてレースを運ぶ。「最後にギアチェンジをしてスパートをかけられるところが持ち味」。 その言葉通りにラストターンから2人の選手をまくり6位でフィニッシュ。大舞台で確かな手応えを感じた。  
  持ち味を生かした目標通りの泳ぎに笑顔を見せる後藤。どん底の時代を乗り越えた結果だけに喜びもひとしおだ。「水泳続けて良かった」。  
  「私、同期が大好きなんです。一緒に頑張ろう、という気持ちが、自分がつらくなった時に支えてくれます」。 仲間との信頼は彼女の活躍に必要不可欠となった。また「楽しんだもん勝ち」(児玉=済3)という部の雰囲気も結果につながったに違いない。  
  後藤、そして部全体としての次なる目標は関東インカレだ。個人での成績が大学ごとに加算されていく団体戦は部員一人一人が出場種目で好成績を収めなくてはならない。「1年生チャレンジャー」と自らを鼓舞する彼女は大会に向けて重要な戦力になる。  
  関カレ団体優勝へ。今回の結果はチームの士気向上に大きな影響を与える。激しい競争をし合える仲間とさらなる高みへ飛び込んで行く彼女たち。夏は今、大きな輝きと共に幕を開けた。(川村亮太)






【自転車競技部】
ロードは俺に任せろ! 森田 全日本学生個人ロード 7位


  全日本学生個人ロードで森田雅士(文2)が力走! 自信になった初の入賞は、インカレでの大いなる飛躍を予感させる。

 

ワンチャンス
  インカレの次に規模が大きく、選び抜かれた強豪が全国から集う今大会。ハイレベルな争いの中、森田はまたしても結果を残した。  
  大会前の調子は良くなかった。授業があるからと言い訳をしてしまい、練習量が減っていたのだ。だから彼は、一つの意識を持ってレースに挑むことにする。「見極めていこう」。何度も勝負を仕掛ける地足は無い。一度のチャンスを手にしようと考えた。  
  181`に及ぶ過酷なレースが幕を開けた。序盤はメイン集団の前方で、何人かの選手がアタックをかけては集団に吸収される展開が続く。その中で森田は集団の後方でペースを保つ。レース全体が動きを見せ始めたのは中盤。勝ちに行こうと独走態勢に入った選手を追うために、数人が前へ飛び出したのだ。  
  これを好機と見た森田。自分もアタックをかけることを決意した。集団を抜けた日大の選手について勝負を決めようとするが、上り坂で引き離されてしまう。「終わった」。チャンスを逸してしまった森田。その時、後方を走る誘導バイクから声が掛かった。「ここが9位集団!」──諦めかけていた心に火がついた。  

 

全力のその先に

  10位以内となる今大会での入賞。それこそが、ずっと森田が掲げていた目標だった。ここで踏ん張ることができれば、必ず良い結果につながる。気持ちを切り替え、もう一度ペダルを力強く踏み込んだ。  
  いよいよレースは終盤へと向かう。メイン集団を飛び出した選手たちが迫ってきた。森田は最後の力を振り絞り、必死で彼らに食らいつく。「この集団で完走したら入賞」。それしか頭に無かった。そしてラスト1`の坂道。体力は既に限界を超えている。それでも歯を食いしばって登り切った。7位入賞。全力を出し尽くした成果だった。  
  「大満足です」。4月の全日本アマチュアロードレースで手にすることのできなかった賞状。それを手にした彼の表情は晴れやかだった。完走できれば、という気持ちで走っていた去年とはもう違う。自分のペースを忘れず、しっかりと目標を決めて走るようになった。彼はレースを通して少しずつ成長している。
  「これまで以上に気を引き締めていきたいと思います」。いよいよ迫ってきたインカレ。何としても表彰台に登るため、立大の「長距離のエース」は一層の努力を誓った。 (小野錬)  

                          

 



 

【陸上競技部】
復活の“強歩” 岡田 関カレ 10000mW 三連覇


第91回関東学生陸上競技対校選手権大会において岡田久美子(社3)が女子一万b競歩で優勝し三連覇を成し遂げた。また、男子2部では四百bハードルで2位、4×四百bリレーで3位、女子1部では八百bで3位に入賞。その他の種目でも多数の入賞者を出し、監督も納得のチーム力を魅せた。

進化するスター
  「自分弱いな、って思って逆にすっきりした」。岡田は2月の日本選手権後、右太ももを疲労骨折していることが発覚。夢であったロンドン五輪の選考にもかからない状態となってしまったが、彼女は気持ちを切り替えていた。  
  歩く練習ができなかった2ヵ月もの間に、色々な人からアドバイスを受けることができた。その中でも一番の収穫は、けがの原因ともなった歩き方の癖を指摘されたことだという。改善するためのトレーニングを教わると、岡田はひたすら体づくりに励んだ。  
  勝つことにこだわった今大会では、落ち着いた歩みでレースを展開。約2`を過ぎたころにはほかの選手を大きく引き離し、そのまま46分58秒94でフィニッシュとなった。  
  自分の弱点に気付けたことで動きがよくなってきたと話す彼女。けがすらも成長の糧とし、また一歩大きく前進することができた。  
  そんな彼女が目指すのは、20`競歩で世界陸上や五輪の参加標準記録である1時間33分30秒の壁を破ること。目標を失うことなく岡田は常に高みを目指す。彼女の歩みは止まらない。                              (高橋茜)  

二本の大黒柱
  今大会、多くの入賞者を輩出した立大。そのチームを作り上げ率いてきた大黒柱がいた。主将の山田(コ4)と副将の宇田川(コ4)だ。部の躍進は彼らの存在感無しでは語れない。  
  宇田川は練習に対して一切の妥協を許さない。倒れるまで自分を追い込むストイックな姿勢に多くの部員が刺激を受けた。厳しい練習の成果は大舞台でも表れる。女子八百bに出場した宇田川は粘り強い走りで2分8秒61の自己新記録をマークし、3位入賞を果たした。  
  ユーモアがあり親しみやすい性格で部員から厚い信頼を受ける山田。主将としてチームを引っ張ってきた。競技人生の集大成となった今大会、男子四百bハードルで52秒26と大幅に自己ベストを更新し2部2位に。4×四百bリレーの入賞にも大きく貢献し、有終の美を飾った。  
  「高め合っていけるいいチームだった」。宇田川は部の雰囲気の良さを強く感じていた。山田は「陸上競技を通じて自分自身がすごく成長できた」と充実した4年間を振り返る。選手・人として大きな背中を見せてきた2人。彼らが残した勇姿と意志は次世代を担う後輩に受け継がれるだろう。                       (野佑太)

 



 

 


 
 






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