立教スポーツ第194号

<10月4日更新>
   

    
【陸上競技部】  
主役は渡さない!! 3連覇達成!!
インカレ 10000mW 学生女王 岡田
 

 今年も立大が誇る競歩の女王は健在だ。第81回日本学生陸上競技対校選手権大会において岡田久美子(社3)が女子一万b競歩で3連覇を達成。世界の舞台を目指す彼女が聖地・国立競技場でまた一つ金字塔を打ち立てた。

激戦制し
 
  「まだついてくる」。これまで数々の大会で優勝を飾ってきた岡田。学生では敵なしと評され、"独歩状態"で勝ち続けてきた。しかし今大会は西日本チャンピオンの前田(立命大)と競り合った。
  スタート直後から先頭に立ったのは岡田と前田だった。岡部(埼玉医大)、 保坂(福岡大)もそれに続き後続の集団を大きく引き離す。優勝は4人に絞られる展開に。その後、1600b、2000b過ぎには保坂、岡部が相次いで先頭集団から離脱し、勝負は残された2人の一騎打ちとなった。
  6000b通過後も前田は離れる気配を見せない。後ろを見ながら相手のペースを確認する。「テンポを抑えて、自重しながら運んでいった」と岡田はタイムではなく勝つことを選択。課題だったフィジカル面を補強したことで、冷静に腕を振れた。
  徐々にペースが落ちていく前田に対し、岡田は自分のリズムを保つ。7000bを過ぎたところでフォームに対する警告を受けるも動揺することなく、ゴールに向かった。
  ラスト100b。50b以上後ろに前田を置き、岡田の優勝は目前。ホームストレートを進むにつれ観客席から見守る部員たちの声援が大きくなっていく。そして、ゴールラインを越えた瞬間、思わず両手の指を3本突き上げた。「優勝できてほっとしている」。 激戦をものにし、見事大会3連覇を達成した。

世界への歩み
 
  夜の国立競技場に、盛大な音楽が響き渡る。「第1位は…」とのアナウンスに「誰だー!」と表彰式に駆けつけた部員たちが声を張り上げる。持ち前の明るい笑顔で歓声に応える彼女の姿からは、学生女王の貫禄がうかがえた。
  しかしこの「学生一」は通過点に過ぎない。世界の強豪たちと競い合い、そして勝利すること。それが最大の目標だ。
  今年2月に行われたロンドン五輪代表選考会。思うような結果を出せず、惜しくも五輪出場を逃した。出るはずの舞台に自分はいない。岡田は画面越しに試合を見ることになった。
  そこで彼女は世界のレベルの高さに圧倒された。優勝は世界新をたたき出したロシアのラシュマノワ。2010年の世界ジュニアでも優勝している20歳だ。同大会で岡田は3位に入賞しているが、ライバルはすでに世界王者となっていた。テレビの前でくすぶる自分と世界との距離。「置いていかれている」と実力差を思い知り、自分の位置を痛感した。
  海外の選手と戦うためには、国内の強敵に勝たなければならない。「まずは日本一を目指す」とすでに目標は明確だ。今大会は10`だが、社会人も交えた日本一を決める大会は20`。距離だけでなくコンディションや駆け引きが勝敗の鍵を握っている。10月下旬は全日本競歩、来年2月には日本選手権が控えている。世界で輝きを放つその日まで岡田の歩みはこれからも続いていく。 (地代所正)






【水泳部】
誰よりも速い「立強」へ 自由形時代 到来!! インカレ 眞弓 女子 100m 自由形 3位 女子 400m リレー 4位


  シーズン最後に最高の笑顔が輝きを放った!! チーム一丸で結果を残したリレー。最終日には、眞弓祐子(コ3)が立大を感動の渦に巻き込んだ。今期のスローガン、「大躍進」を体現したインカレとなった。

 

最後だから
 
  全国の学生スイマーが最も力を注ぐ大会、インカレ。「大学対抗」の「団体戦」であることこそが他の主要な大会と一線を画す理由だ。特にリレーにおいては、その色は最も濃く出る。種目ごとに大学に加算されるポイント。その中でもリレーは個人種目に対して倍のポイントが入る。だからこそ選手たちのリレーに懸ける思いも強い。  
  初日、四百bリレー。メンバーは山本(文1)、 眞弓、岡澤(コ2)、 そして最後のインカレで大黒柱の土橋(済4)だ。「土橋さんの最後の大会を飾りたい」。 その気持ちが全員を結束させ、予選を通過した。  
  決勝。各校の応援団は立ち上がり声を張る。辰巳は異様な熱気に包まれた。その中で訪れる一瞬の静寂。会場にスタート音が響き渡る。お互いがお互いを信じてつなぐ。アンカー・土橋はデッドヒートの中、全力を尽くしゴールをタッチ。結果は4位。表彰台に届かなくとも並み居る強豪と熱戦を繰り広げた。  
  「チームのみんなが大好きで一緒に戦えて良かった。4年生のプレッシャーもみんながいたから頑張れた。このインカレが一番思い出深い。後輩には水泳を楽しんでほしい」。 そう語った土橋の頬には一粒の涙が伝っていた。あの日彼女がプールで見せた勇姿は誰も忘れない。  

 

譲れない

 
  高く上げた拳には5年越しの思いが込められていた。「表彰台に立ちたい」。その一心で練習に励んできた眞弓。だが、その願いは中学時代を最後にかなわずにいた。  
  「百b自由形は一番元気な人が取る」。インカレ3日間で泳ぐレースは10本。最終日、眞弓の体力は限界だった。だが、予選を3位で通過し迎えた決勝。入場してきた彼女は疲れを感じさせないほどの笑顔だった。  
  「スタートは出遅れた」。50bのターンは最下位。それでも表彰台は譲れなかった。後半眞弓は4人の選手を差し切る眞弓。3位争いはラスト5bにもつれ込む。「とにかく必死だった」。そのままの態勢でフィニッシュ。誰もが電光掲示板に目を向ける。  
  100分の2秒。4位とは紙一重だった。自己ベストに立大新のおまけ付き。彼女は疲れた身体を懸命に動かし、満面の笑みで手を上げた。インカレ9本目のレースは立大スタンドを感動の渦に巻き込む泳ぎだった。  
  念願の表彰台の上で眞弓は立大応援団に手を振った。「応援してくれるみんなにちょっとは恩返しできたかな」。感謝の思いと達成感が胸に込み上げた。  
  代替わりして女子主将となる眞弓は来年へと気持ちを切り替えた。「一番高いところ目指して頑張ります」。 (川村亮太)  

                          

 



 

【モーターボート・水上スキー部】
見せた!圧倒的な強さ 17年ぶり 男子 団体総合 インカレ V


 全員がこの時を待っていた! 立大男子が17年ぶりにインカレで総合優勝を成し遂げた。主将・溝間祐輔(コ4)の下、この瞬間のために徹底した練習を積み重ねてきた選手たち。そんな彼らの努力が、最高の形となって実を結んだ。

手にする栄冠
 
  今年こそリベンジを果たす時が来た。昨年、立大は優勝にあと一歩まで追い上げるも強豪・慶大に4連覇されてしまう。だが、ついに勝利が彼らに訪れる。  
  男子は最初のトリック種目で、8月に立大記録を更新した長美(観3)がトップに躍り出る。それに引き続き溝間が2位に、そして杉山(済2)が4位と2年生もプレーでチームに貢献し、活躍が目立つ。さらに大会記録を塗り替え、団体1位と絶好のスタートを切った。  
  第2種目のスラロームも勢いを落とすことなく団体1位。2種目が終了した段階で慶大に大差をつけ、大一番の最終種目ジャンプに臨む。トップバッターで滑走した有田(観2)をはじめ兵動(済3)と長美も30bを超える飛距離を出し、勢いを加速させる。全ては溝間に「気持ち良く飛んでもらうため」(長美)。  
  トリを務める溝間の、学生生活最後の競技に向かう姿勢はき然としていた。最終滑走で、前に飛んだ2本より飛距離を伸ばし、37・0bの大ジャンプを見せ、この種目も団体1位に。そしてその瞬間、団体総合優勝が決定、立大は待ち望んだ栄冠を手にした。  

黄金時代の扉
 
  全ての種目で団体1位、そして団体総合優勝。彼らは17年越しの歓喜の瞬間をようやく迎えた。  
  チームを日本一に導いた主将の溝間。男子で唯一4年生の彼は、ラストイヤーを優勝で飾った。そんな彼は今年のチームを「最高のチーム」と称賛。競技が終わった後、これまで戦い、支えてもらったチームメートの一人一人と熱い抱擁を交わした。ここまでチームを引っ張ってきた主将の姿に、3年間共に歩んできた長美は「溝間さんは師匠」と兵動は「頼れる主将」とそれぞれ尊敬の念を語る。  
  3度の敗北の経験が印象に残ると話す溝間は「常にその時の(優勝した)チームを目指しこえ越えようとしてきた。その結果、自分の満足できるチームになった」とこれまでの選手生活を振り返り、達成感に浸る。  
  溝間が引退した後、新たなチームへとバトンは渡され、再びゼロから歩むことになる。「来年は当然、連覇。そしてアベック優勝。アベック優勝が部の最大の目標」と伊藤監督(04年度卒)は話す。今年だけの優勝で終わりではなく、すでに先を目指している立大。彼らは新しいスタートラインに立った。(須賀裕貴)




【馬術部】
聖武との愛で快挙を果たす 川添 関東 障害飛越 2位


  主将が見せた!立大馬術部をけん引してきた川添翔太郎(法4)がエース馬の聖武と障害飛越で2位を勝ち取った。全国レベルの選手が名を連ねる関東学生大会。厳しい戦いの末につかんだ快挙の裏には、川添の努力と聖武との絆があった。

 

4年目の意地

 
  「今までいい結果を残していなかった分、大事な大会と位置付けていた」。川添にとっては今年がラストイヤー。だからこそ、今大会に対しても強く意気込んで臨んだ。  
  障害が設けられたコースを走行し、タイムと減点の少なさを競うのがこの障害飛越という競技だ。  
  予選では2回走行する。川添は1走行目を減点0で終え、2走行目も障害でのミスを最小限にとどめ決勝に駒を進めた。  
  10人の選手たちが進出した決勝のコースは、130aの高い障害が設けられている。第1走者が減点0で競技を終え川添にプレッシャーをかける。だがそのことが川添の「減点0でいきたい」という気持ちを強くする。  
  彼の思いに相棒・聖武も応えた。川添は速さよりも障害を確実に跳ぶことを重視。決勝に臨んだ彼らは最後まで障害を一つも落とすことなく駆け抜けた。減点0で競技を終えたのは3人のみ。タイム差で川添は見事2位に入賞した。  
  「こんなにいい結果を出したのは4年目にして初めてなので満足している」。川添の努力によって築かれた聖武との強い信頼関係。彼らの絆がついに結果につながった。 (深山恵里)  

 

駆ける想い
 
  川添は常に馬との信頼を大事にしてきた。昨年の5月にケガを負った愛馬・聖武。川添は普段からの練習で疲れていた彼を休ませることに力を注いだ。同年6月の同じ大会にギリギリで間に合ったものの結果は19位。全日本学生でも結果を残すことはできなかった。  
  だが、川添はパートナーへ愛情を注ぎ続けた。今年の1月からは聖武へのマッサージをメインに行った。「ストレスがたまらないように」。そうして相棒との信頼関係を築き上げた。聖武と組んでから1年半。たゆまぬ努力がようやく実を結ぶ時が来た。  
  最も重要な大会である全日本学生に向けても視界は良好だ。川添は高校時代、日本一を経験している。それだけに懸ける思いは人一倍だ。「ラストチャンス。そこでなんとか」。 彼が主将としてチームを率いて戦う団体戦でも早川(現3)や高橋(社2)などの成績も上がって来ている。そこからも部員個々のモチベーションも高いことがうかがえる。  
  全日本学生は立大で過ごした4年間のはなむけにふさわしい大舞台だ。彼は相棒に目をやり、仲間に笑いかける。そして胸を張って上を向いた。「監督を胴上げしたい」。(川村亮太)  

                          

 




【柔道部】
柔の道、ここに在り 全日本学生 女子団体 史上初 ベスト16


  また柔道部の三人娘が快挙を成し遂げた! 武道の聖地・日本武道館で行われた全日本学生。立大からは小宮真実(コ3)、黒澤直子(コ2)、小林慶子(コ2)が出場し、女子団体3人制で創部史上初のベスト16入り。昨年に続く2度目の出場で躍動し宿敵を撃破。強豪ひしめく東京で経験を積んだ彼女たちが、全国に爪痕を残した。

 

まず“一勝”
 
  再び立った全日学の大舞台。くしくも1回戦の相手は、昨年敗れた中京大。その中にはもちろん昨年と同じ選手もいる。雪辱を果たす一戦となった。  
  リベンジに燃える先鋒(せんぽう)・小宮が先陣を切る。相手の攻めに耐えるも、大内刈りを決められ一本負けに。後がない状況で入場した中堅・黒澤。対するは昨年一本負けを喫した因縁の相手だ。指導を受けるも、ポイントを相手に与えることなく終了。引き分けとして、次へとつなげた。大将・小林慶は開始1分足らずで大外刈りを決め一本勝ち。1−1で勝敗は代表戦へと持ち越された。  
  休む間もなくエースの小林慶が畳に上がる。開始1分に内股で技ありを取り、一気に流れを引き寄せた。中盤には足払いで有効を奪いポイントを重ねる。終盤、相手に技ありを取られるも小林慶は最後まで攻めの姿勢を崩さず逃げ切った。結果は優勢勝ち。全日学での初勝利を収め、1回戦突破を決めた。  
  次に当たったのは今大会の優勝校である鹿屋体大。0−3と及ばず2回戦敗退となるも、初の16強。東京学生に続き、また部史に新たなページを加えた。  

 

三人娘の絆

 
  今大会の予選となった東京学生では準決勝敗退。以来それぞれがレベルアップを図ってきた。中でも大きく飛躍してきたのが黒澤だ。東京学生では指導を受けた焦りからの敗戦。苦い思い出となった。そこからどんなに強い相手にも負けないよう、自分を追い込んだ。特に力を入れたのが組み手。自身でも一番成長した部分だと感じている。その結果の「引き分け」がチームの勝利を手繰り寄せた。  
  そしてつかんだ16強。しかし彼女たちはまだ満足していない。「目指していたところはもっと上」(小林慶)。今取り組んでいるのは「女子の柔道に慣れる」(小宮)ことだ。  
  立大は女子選手がこの3人のみ。そのため普段は男子との稽古となる。だからこそ得られるものもあるがやはり女子と男子では戦い方も違ってくる。そこで今夏の合宿は女子選手の多い平成国際大と行った。女子に慣れるため、ひたすら練習。最近の試合では「いざ試合で組んだ時でも焦らなくなった」(小宮)と、既に効果も出始めている。  
  しかし人数が少ないからこそチームの絆は強い。女子選手が1人の頃を乗り越えてきた小宮は、「今3人でやれていることが幸せ」と笑う。彼女たちの思いは一つ。「このチームで優勝したい」。 (寺門奈緒)  

                          

 


 
 



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