立教スポーツ第204号

<10月2日更新>
   

    
【モーターボート・水上スキー部】  
男子は完全優勝 女子は19年ぶり悲願!!
水の覇者、復活 インカレ V
 

 立大の水スキ最強時代が再来した! 第59回桂宮杯全日本学生水上スキー選手権大会において、モーターボート・水上スキー部が男女共に団体総合優勝を成し遂げた。王者・慶大と女王・学習院大を破り19年ぶりの快挙。涙と笑顔の入り交じった応援歌が大空に響き渡った。

結実の一冠
 おお覇者ぞ、聞け立教の勝ち歌を――。秋田の地に部員たちの凱歌(がいか)がこだまする。立大が王者に返り咲いた瞬間だった。  
  水上スキーはトリック、スラローム、ジャンプの3種目で構成され、この合計点が争われる。大会は立大得意のトリック種目で幕を開けた。男女共にここで差を広げられるかがカギだ。
  まずは女子。難しいひねり技を飯村(社2)が次々に決め、1位を獲得。その活躍もあり、立大は下馬評通り好スタートを切った。
  一方の男子も、1番手の浦田(済3)が難易度の高い技をそろえ満点をたたき出す。4番手は、杉山(済4)。前哨戦ではミスのあった最後の大技も成功。主将自らチームを鼓舞する納得の滑りで、拳を突き上げた。滑走者全員が高得点を並べ、一歩リードを得た。
  続くスラローム。苦手種目だが、難しい条件下での練習を重ね強化してきた。女子は2位の学習院大に差を詰められるも、まずまずの滑りで健闘。男子は慶大有利の予想を覆し首位を獲得。追い風を吹かせ、最終日へ弾みをつけた。
  そして、女子は最後の種目、ジャンプを迎えた。故障していた3番手・北(済4)は久々の大舞台。2本の失敗にも「強気でした」と3本目は着地を必死に耐え成功させる。これがチームに勝利をもたらす大きな跳躍となった。
  女子は逃げ切り優勝が確定。19年ぶりの栄冠に「やっとつかめたというか、夢のよう」と松崎(社4)。もう一つの夢、アベック優勝まであと一歩に迫った。

鐘は二度鳴る
  最終日、運命の男子ジャンプ。立大勢は次々と好記録を連発する。2番手・田中(文3)は出られない4年生の分までと、思い切りよく踏み切り、宙へ。「みんなで取った35・8b」と自己ベストを大きく更新。最後は副将・有田(観4)が40bを超える大ジャンプで締め、全競技を終えた。
  応援で声をからした部員含め、全員が自分の持てる力を出し尽くした3日間。ライバル・慶大の最終走者の飛距離がアナウンスされると、ついに歓喜の瞬間はやってきた。全員で肩を組み、第一応援歌『行け立教健児』3番の大合唱。次々と川に飛び込む部員たち。笑顔と涙が水面(みなも)に目いっぱいはじけた。
  「ただただ恩返しがしたい」(杉山)。部員たちは普段、江戸川を拠点に練習を行い、長期休みには琵琶湖や河口湖、海外などで合宿を張る。そのため、金銭面や環境面での苦労は絶えない。その中で、杉山の言葉は、1年間部員全員が強く思い、共有してきた気持ちだ。OB・OG、先輩、後輩、家族――。関わる全ての人たちへの感謝と恩返し。まさにその思いが実現させた日本一だった。
  だが、これはモーターボート・水上スキー部の新たな挑戦へのスタートでもある。「アベック2連覇を目指します」。次期主将・長友(営3)は力強く言い切った。「自信を持って駆け抜けていってほしい」と女子チーフ・松崎。共に頂に立った後輩たちが4年生の思いを受け継ぐ。王座を死守する戦いは、すでに始まっている。(原田祐枝)





 

【陸上競技部】
東京五輪へ突っ走れ!! 出水田 世界ジュニア 5000m 6位


次世代の陸上界のエースがジュニア最高峰の決戦で躍動した! 第15回世界ジュニア陸上競技選手権大会において出水田眞紀(いずみだ=コ1)が女子五千bで6位入賞。気迫あふれる力走で世界と渡り合い、次なる舞台へ大きな弾みをつけた。

対アフリカ
「最低限入賞、できれば6位」。出水田は世界の舞台で目標を達成し、自らの実力を証明した。それでも彼女の前には長距離界の強豪であるアフリカの選手たちが立ちはだかった。
  前日に行われた男子一万b。アフリカ勢の入りが遅く、「自分たちも同じ展開になるだろう」と予測。もう一人の日本人選手、木村(大東大)と相談して交互に1000bずつ前に出る作戦でレースに臨んだ。
  最初の1000b。2人は戦略通り先頭に位置付けて通過する。しかし、「予想よりも早く出てきた」とその後、アフリカ勢がスピードアップ。2000bを過ぎると前に飛び出され、3000b時点では200b近く離された。
  想定通りにいかない中で出水田は、上位を狙うため自分が引っ張る予定だった4000b目は木村の背後でレースを展開。戦友に申し訳なさを感じながらも入賞を目指して走り続けた。
  迎えたラスト1周。約100b前にいるケニアとウガンダの選手に追いつくべく、猛烈なスパートをかける。ゴール寸前でとらえるも0・09秒差で競り負け、6位でフィニッシュ。「もう少し早く追いかけ始めていたら」と悔しさを残し、レースを終えた。「アフリカ勢と駆け引きができる力をつけていきたい」。入賞を果たすも、冷静に自分を見つめ、世界で通用する走りを求め続けていた。

覚悟
 日の丸のプライドを持って競技に挑んだ出水田。今大会、日本代表チームは過去最高の入賞数を獲得し、世界に成長した姿を見せつけた。出るだけで終わらずに全員がメダル獲得へ意気込んで臨んだことが、前例なき結果を生み出した。
  しかし、メダルを獲得したのはほとんどが短距離。しかも、その全てが男子選手という結果に。「今一番力をつけなければいけないのは長距離と女子」。世界からの遅れを感じた出水田は、シニアの舞台で自分が結果を残す決意を固めた。
  世界で勝つために――。出水田は積極的なレース展開を課題に挙げた。「もっと自信をつけないといけない」。誰かの後ろにつくのではなく、前に出て勝負をかける走りをしていくことが出水田をはじめとする日本人選手に求められる。
  「自分が引っ張っていかないと日本の陸上界も上がらない」。シニアの大会でメダルを狙えるのは、短距離よりも長距離だと言われている。次に目標とする国際大会は来年行われるユニバーシアード。大学生の頂点を通過点に、さらなる高みを見据える。
  2020年に行われる東京五輪。今のジュニア世代が主力選手として活躍することは間違いない。自らレースを引っ張ることが勝利のカギとなる。次世代のワールドスターへ。彼女は再び走り出した。(藤井俊)

 




【ローラーホッケー部】
黄金世代ここにあり!! 全日本女子 連覇


今年も立教はロラホが熱い! 昨年、史上初の学生による全日本制覇を果たした立大女子。その勢いはとどまることを知らない。社会人の強豪チームを破り、連覇を達成。部の最終目標である4冠達成に王手をかけた。

 

磨き上げた絆

 日本ローラーホッケー界に新たな歴史が刻まれた。史上初の学生による全日本制覇から1年、前回王者のプライドを見せつけ、立大が再び頂へと登り詰めた。  
  今シーズン掲げられた目標は4大会制覇。すでに東日本で行われた2大会では優勝を果たした。全国のチームが頂点を争う今大会は、4冠達成への最大の山場だ。  
  厳しい試合を乗り越えるため、大会前に毎年行っている強化合宿。練習による技術向上だけでなく、寝食を共にし、より強い絆を育んでいく。それは他のチームにない大きな武器となる。“1人はみんなのために、みんなは1人のために”。ベンチメンバーも含めた全員の思いを原動力に大会に臨んだ。
  初戦の日大戦は順当に突破。さらに続く準決勝でも貫録を見せつける。対する社会人・GFクラブは堅守が特徴だが、波に乗る立大はその牙城を崩す。岡部(法4)らの得点で3点を奪い完勝。意気揚々と決勝へ駒を進めた。
  日本一への最後の関門となったのは社会人のMJクラブ。海外遠征を行うなど並々ならない熱意で優勝を狙う強豪チームだ。公式戦では勝ったことのない強敵を前にしても、選手たちから焦りの色は少しも見られなかった。しかし、試合開始直後にその表情は一変することになる。


"革新の体現者"
 前半開始2分、主将の原(観4)の目にパックが当たるアクシデント。ベンチに下がらざるを得ない事態に。大黒柱の離脱で、残された選手たちに動揺が走った。  
  しかし、原の代わりに出場した山口(観3)を筆頭に全員が一枚岩となり、必死に相手の猛攻を防ぐ。アクシデントから2分後、まぶたに湿布を張った状態で原がコートに復帰。だが、チームに漂う嫌な雰囲気を変えることはできず、先制点を献上してしまう。
  後半も主導権を相手に握られる。そんな中、5分に山口からのパスを根本(観4)が合わせて同点に追いつく。その後は立大が誇る守護神・原田(文3)がスーパーセーブを連発。延長戦でも決着はつかず、勝負の行方はフリーシュート戦に持ち越された。  
  両チーム共にゴールを決めることができないまま、立大は5人目の根本に全てを託した。「佳奈(=根本)なら決めてくれる」。全員の思いを乗せて放ったパックはゴール左隅に吸い込まれた。「やったー!」。勝利の瞬間、満面の笑みの根本を歓喜の輪が囲んだ。  
  全日本連覇の余韻に浸る間もなく、10月中旬のインカレが迫る。長年の黄金期をけん引した4年生にとって最後の大会。今期三つのタイトルを獲得している彼女たち。前人未到の4冠まで「あとひとつ」。(高山統志)

 




【ボート部】
受け継がれるRIKKYO PRIDE 舵手付きペア 舵手なしフォア インカレ ダブル銀


真夏の太陽が川面に照り付ける中、今年も学生のボート魂がぶつかり合った。舵手(だしゅ)なしフォアと舵手付きペアでW準優勝。インカレでの4年ぶりのメダルは立大ボート部の追い風となって背中を押していく

 

全てを懸けて

 「インカレ優勝」。それは主将・樋口(観4)が1年間掲げてきた部の最大目標だった。立大で戦う誇りと、リーダー意識。この二つを全員が持つことで強くなれる。樋口はその信念を「立教プライド」と表し、部員の意識改革に取り組んできた。全てはこの夏、光り輝くために――。  
  12年ぶりのメダル獲得を果たした舵手なしフォア。予選はライバルの明大に約5秒の差をつけ、今大会最高タイムをたたき出す。地道な努力が花開いた瞬間だった。決勝では明大に王座を譲ったものの、互角の戦いを展開。「悔しさもあるが、ベストパフォーマンスは出せた」(樋口)。ライバル相手に実力を示しての銀メダル獲得だった。  
  順位だけでなく、タイムにまで貪欲にこだわって肉体を鍛え上げてきた彼ら。どの大学よりも漕(こ)いできたという自負は、やがて4人の揺るがぬ自信となり彼らを準優勝へと導いた。  
  「やってきたことは正しかった」と樋口。1年間、この日のためだけにひたすら十字のオールを引いてきた。4年前は単なる憧れだった決勝の場で、全力を出し切れた喜びは誰よりも大きい。  

 

見えた光
 「もう2番はいい」。表彰台でメダルをかけられても、悔し涙を流した舵手付きペアの3人。インカレ初出場にして準優勝という結果にも、向上心の高い彼らの心が満たされることはなかった。  
  予選では群を抜く速さで他大学を圧倒。後続を大きく引き離し勝利を挙げる。艇に乗り始めてわずか1年半の2年生漕手(そうしゅ)2人の成長ぶりに、舵手・船渡(異4)は大きな期待を寄せる。一方で、「船渡さんは最後のインカレ。絶対に決勝に進みたい」と先輩を慕う後輩2人。1着でゴールすると、最高のガッツポーズを見せた。
  決勝は強豪ぞろいのハイレベルな戦いとなる。スタートからリードを奪い、立大優勢の展開に。しかし、絶対王者・日大がそれを許さなかった。日本一の力を間近で感じた3人。王者の壁は想像以上に高かった。  
  来年は一番高い所で一番輝くメダルを――。準優勝という好成績にも満足せず、さらなる高みを目指す彼ら。確実に「立教PRIDE」は後輩たちの心に芽吹いている。
  勝利への道は大きく開けた。樋口が夢見た「強い立教」の復活はそう遠くない。(佐々倉杏佳)


 




【空手部】
継承 成就 男女団体 和道会W優勝


空手部が新たな歴史を紡いだ! 四大流派の一つである和道流の全国大会において、男女共に団体種目で優勝。部全体が団結して勝ち取った史上初の快挙だった。

 

次世代の台頭

 見事に3連覇を果たした女子。部の方針で主力の4年生は出場せず、絶対的な選手はいない。だからこそチームの一体感を大切にしながら戦い抜いた。  
  準決勝までは危なげなく勝ち進み、頂点まであと一歩。対するは敬和会。今年度インターハイに出場した選手を擁する強敵だ。  
  先鋒(せんぽう)の山浦(文1)が落ち着いた試合運びで勝利するも、中堅の塚本(文3)はなかなか技が決まらず敗北。勝負は大将・茂木(観3)に委ねられた。「思い切って試合をしよう」。キレのある動きやテンポのいい攻撃。相手に1点も許さない盤石の試合で優勝を手繰り寄せた。  
  勝ったときにはたたえ合い、苦しいときには励まし合う。お互いに声を掛け合うことで、いい雰囲気の中試合に臨むことができた。選手のまとまりを武器につかんだ金メダルだった。
  地位を守った女子とは対照的に、悲願の初優勝に挑んだ男子。準決勝で3連覇中の明大と対戦した。張り詰めた空気の中、先鋒・宮武(コ3)が蹴り技で先取し逃げ切る。次鋒の希代(文1)も試合を制し、あと一人勝てば決勝。中堅の染谷(文3)は突き技で確実に得点し、白星を飾る。主将・飯村(済4)の出る幕すらない会心の勝利に、選手たちから笑顔がはじけた。 

 

“快進撃”
 波に乗る男子は決勝戦でも躍動した。先鋒の染谷が怒とうの突き技で圧勝。次鋒・宮武は気迫ある組手で残り20秒から劣勢をはねのけ、引き分けに持ち込む。形勢が立大に傾く中、中堅の希代が華麗な上段蹴りで勝利。一気に流れを引き寄せた。そして勝負は副将戦へ。試合を締めくくったのは、やはり主将の飯村だった。最後は会場もどよめく圧巻の上段裏回し蹴り。豪快な一撃で優勝を決めた。  
  試合後の礼を終え、選手たちの周りにできる歓喜の輪。それは、すでに優勝を決めていた女子選手や応援席にも広がっていく。塚本も自分の事のように喜びを語った。「めっちゃうれしい」。その姿は彼らがいかに優勝を切望していたかを物語っていた。まさに立大空手部が一致団結してつかんだ男女W優勝だった。
  戦力の底上げが見られたことも大きな収穫だ。女子を引っ張る矢野(済4)が「少し心配だったけど、練習が生きた」と手応えを語れば、飯村も「後輩が試合を決めてくれてうれしかった」と後輩の成長に顔をほころばせた。  
  男子、女子。上級生、下級生。全員が自然と一つにまとまって試合に臨める雰囲気が、そこにはある。握りしめた拳のように強く堅い絆は、何にも代えがたい財産だ。(糸瀬裕子)  


                          

 



 

 


 
 






Copyright (C) 立教スポーツ編集部, All Rights Reserved.