立教スポーツ第208号

<7月2日更新>
   

    
【馬術部】  
創部史上初!!堂々の立大ワンツー
麗しの新女王!!「でるからにはやってやる」
関東学生女子  浦野  V
 

 ニューヒロインが誕生した!浦野ひかり(法3)が第59回関東学生馬術女子選手権大会で優勝。昨年までは出場さえもかなわず、誰よりもこの大会に向けて必死に練習を重ねてきた彼女。地道な努力がついに大きな実を結び、見事憧れの舞台で輝いてみせた。

不屈の志
 「最高でした」。最初に浦野(法3)が口にした飾らない歓喜の言葉。そこにあったのは、これまで歩んできた長く険しい2年間への思いだった。  
  馬場馬術の得点と障害飛越の減点を合わせて競う選手権。心血を注いできた馬場は十分通用する実力を持っている。しかし障害の経験は全くなく、それが足かせとなり選手権への出場機会は与えられなかった。「馬場はできるのに」。負けず嫌いな彼女は思わず唇をかみしめた。
  選手権に出たいという思いが彼女を練習に向かわせる。障害が得意な同期に習い、吸収できるものは何でも吸収した。チャンスをつかんだのは2年の冬。努力が評価されて出場した障害の大会で4位に入賞し、周りからの信頼を確かなものとした。
  しかし彼女に試練が訪れる。選手権直前の試合で、馬が障害を前に2回の反抗を犯し失権。「一発殴られた気分だった」。この失敗を引きずり、不調の波にのまれてしまう。
  「その乗り方じゃだめ」。痛烈な一言だった。憧れの先輩・石栗(済4)からの厳しい激励が、馬任せだった自分のやり方を気付かせる。「馬術は、人と馬の支え合い」。一騎手として成長することの重要性を心に刻み練習に励んだ。頼れる同期の助けも借り、徐々に苦手意識を克服。練習のたびにビデオを確認し課題を一つずつクリアする。大一番を前に重ねた猛特訓が、障害に対する不安を完全に取り払った。

駆闘の果て
 ついにたどり着いた選手権の舞台。しかし大会への思いが硬さを生み1・2回戦16位と苦戦する。その先は今大会特有の貸与馬(他校の馬)での試合。3回戦では全く満足のいく馬場ができず、一度は敗北を覚悟した。しかし相手のミスに助けられ、奇跡の勝利を収めた。
  苦境を何とか乗りきると、浦野の中で大舞台の緊張感を楽しむ余裕が生まれていた。準々決勝では、貸与馬を完璧に乗りこなす「会心の馬場」を披露。12年間の馬場の経験に裏打ちされた、浦野らしい繊細で華麗な演技だった。そのままの流れで準決勝も危なげなく突破し、満を持して決勝戦に臨んだ。
  頂上決戦。相対するのは前回女王の石栗だ。大学に入ってから目標として追いかけてきた一番尊敬する先輩。だからこそ、「絶対に負けたくなかった」。馬場で浦野の正確さ、石栗の大胆さがぶつかりあう。どちらも譲らず、しかし石栗が僅差で先行すると、勝負の行方は障害の結果に委ねられた。
  先攻で出走した浦野。リードされている状況でも楽しむ気持ちを忘れなかった。これまで必死に磨き上げてきた障害。勝ちへのこだわり、築き上げた自信が彼女を前に進ませる。支えてくれる同期のために。先を歩く石栗に追いつくために。そして自分の努力に報いるために、夢の舞台を全力で駆け抜ける。
  決勝にふさわしい大熱戦だった。勝利への執念で2ポイントを上回り、初優勝。誰よりもこの大会に懸けてきた浦野。主役の座はその日一番輝いた彼女のためだけに用意されていた。
  関東女王。新たな称号は大きな自信となる。少し重たく、それでも誇らしい肩書を背負い、彼女はまい進していく。 (唐澤大)

 





【ハンドボール部】
見せつけた異次元の強さ


   立大ハンドボール部が2年ぶりに大舞台へ返り咲く! 新戦力の加入で進化を遂げたチームは、他を圧する試合運びで2部完全優勝。勢いそのままに入れ替え戦を勝利で飾り、ついに憧れの1部昇格を果たした。

 

ゼロから

 積み上げてきた思いがようやく形になった。昨年の秋季リーグでは大きな飛躍を遂げ2部優勝。しかし入れ替え戦で敗れ選手たちは悔し涙をのんだ。この苦い経験が彼らを成長させた。
  新たに掲げたスローガンは<潟xンジ=B春季リーグでの逆襲を胸に誓った。第一に取り組んだのはディフェンスの強化だ。GKを中心に強力なセンターラインを確立。昨年の壁を超えるため、同じ涙を流さないため、強さを追い求めた。 
  リーグ戦が開幕すると立大は順調に白星を並べた。昨秋敗れた青学大にも完勝し、彼らの自信は確固たるものに。最終戦では、主力の下地賢(済4)と下地利(コ1)を欠きながらも、堂々の勝利。危なげなく全勝優勝を達成した。「俺らは、負けない」。 主将・長澤(コ4)は静かに語る。入れ替え戦へ向け、自らを強く奮い立たせた。
  そして迎えた大一番。相手は順大だ。会場全体が緊張感に包まれた。序盤から激しいディフェンスでプレッシャーをかけていく。しかし審判に厳しい判定を受け、退場者が続出。数的不利を強いられた。それでもGK嘉陽(社3)の好セーブで同点に持ちこたえる。勝負の行方は後半のプレーに委ねられた。

先導者たち
運命の後半戦。試合は開始直後から大きく動き出す。相手のパスに下地賢が反応し、ボールを奪取。長澤へとパスをつなぎ得点を奪う。主将の活躍に呼応しベンチは大きく沸き立った。これで波に乗った立大はパスカットを連発。すかさず得意の速攻を決め、順大を大きく突き放す。そして、迎えた決着の時。試合終了を告げるブザーと共にコートに大きな歓喜の輪が広がった。
  ついに成し遂げた<潟xンジ=B際立ったのは最上級生の存在だ。実力ある1年生の加入は戦力?アップの反面、新チーム のかじ取りを難しくもした。その中で部の調和を保ち、個を生かした4年生。雰囲気を一新し、さらなる強さを生んだ。
  加えて4年生には今リーグに懸ける特別な思いがあった。当時1部で活躍する立大に入学した彼ら。2年の春には無念の降格を味わった。「後輩たちに1部の舞台を残してあげたい」(長澤)。その熱い思いが、チームを昇格へと導いた。
  喜びもつかの間、彼らはインカレ出場へ向けて始動する。新たに見据える場所は、4年生の集大成にふさわしいステージだ。その舞台にたどり着いた時、<潟xンジ≠フ先にある未来をつかめるだろう。 (柏本晴也)

 




【陸上競技部】
燃えた!Rの闘争心


   エースの勢いは止まらない!第94回関東学生陸上競技対校選手権大会にて出水田眞紀(いずみだ=コ2)が女子千五百b、五千bで3位入賞。強豪選手が集う中で強さを見せつけた。  

 

安定した力

  出水田がまたも結果を残した。近頃はクロカンやハーフマラソンでの活躍が目立つ彼女だが、トラックでもその実力は健在。昨年に続き変わらぬ力を示した。  
  予選をトップタイムで通過し、万全の調子で挑む千五百b決勝。目指すは日本選手権の参加資格である4分22秒00の突破だ。目標達成を意気込み、いざ決勝のスタートラインに立った。  
  開始直後、攻めの走りで集団の先頭に躍り出る。流れをつくり目標記録を確実に狙う作戦だ。先頭を譲らず迎えたラスト1周。トップ集団がここぞとばかりに一斉にスパートをかけた。  
  目標まであと69秒。標準記録の突破に向け、出水田も負けじと食らいつく。デッドヒートを繰り広げラスト100bへ。飛び出た選手に遅れをとるも、迫る後続を抑える力走。4分18秒83で選手権出場を決めた。  
  勢いそのままに臨んだ五千b。団子状態が続く中、前に出る機会をうかがう。試合が動いたのはラスト600b。一気にペースが上がるも、体がついていかない。「判断ミスで対応できなかった」。結果は3着と昨年から一歩後退した。  
  それでも2種目で3位入賞。千五百bでは大学ベスト、立大記録も更新し輝かしい功績を残す。表彰台には満面の笑みで仲間に手を振る彼女の姿があった。

 

成長への鍵

  2年目の関カレでも実力を発揮し、好成績を収めた彼女。一見、掲げた目標を確実にこなしているように見えるが、まだ越えるべき大きな壁を残している。  
  「ラストで勝てるスピードをつけたい」。今後さらに上で戦うために必要な課題だ。昨年の関カレでの五千b、今回の千五百bと五千bは、いずれも終盤で惜しくも競り負けている。仕掛けどころを見誤るなど最後で決めきれない場面が多くあった。
  今回五千bで3連覇の福内(大東大)や千五百bで初優勝に輝いた小枝(大東大)といった選手は、終盤のスピードを強みに勝利を手にしている。勝つためにはラストを制することが必要条件だ。  
  そこで彼女が志すのは「レースをつくり勝てる選手」。試合をリードする力は、今までの戦いで証明した。これからは流れをつくった上で勝つことが求められる。最後の競り合いを意識し、スピードを強化する練習に努める。  
  来年から高学年として臨む関カレ。年下選手も増え、レースを自ら展開する場面も多くなる。だが今後は引っ張るだけでは終わらせない。「表彰台の一番高いところにのぼりたい」。夢をかなえるために、さらなる成長を誓う。1年後、表彰台に立つ彼女の笑顔は今年以上に輝くものとなるはずだ。 (大島佳奈子)

 



 

 


 
 






Copyright (C) 立教スポーツ編集部, All Rights Reserved.