立教スポーツ第217号

<6月1日更新>
   

    
【準硬式野球部】  
立大伝説開幕!
共“投”で掴んだ15年ぶり快挙!
関東選手権 4強
 

 関東に立大あり!新生・準硬式野球部が関東の舞台で名乗りを上げた。昨年リーグ2位に導いたスタメンの半数がチームを引退。弱くなったとは絶対にいわせない――。エースの思いがチームを勝利へと導いた。勢いと自信を携え、六大学リーグも制覇する!

鍛錬の冬、躍進の春
  自分だけが世界を経験していない。共にしのぎを削ったライバルたちは皆世界に羽ばたいていった。「自分と彼らは何が違うのだろう」。いつしか彼は自分自身に劣等感を抱いていた。
  接戦をものにした充実感がエースを包み込んだ。勝利の瞬間、森田(観3)は山村(文3)ら投手陣とガッチリと握手を交わす。延長11回完投勝利。東都リーグ1部の強豪・東海大を、エースが気迫のピッチングでねじ伏せた。
   相手打者のバットはことごとく空を切った。先発した森田は9回まで1失点、11奪三振の快投をみせる。援護を得られず延長に入ってもマウンドを降りる気は一切なかった。「これ以上森田に負担はかけられない」(柴=コ3)。延長11回、1死満塁のチャンスで4番が初球を振り抜いた。上がった打球は右翼手のグラブへ。快足の三塁走者・福田(コ3)には十分すぎる飛距離だった。サヨナラ勝利のホームインに大歓声が湧き上がる。ここまで135球のエースの奮闘に華を添え、山場の4回戦を突破した。
  「もう自分のためだけに戦う大会じゃない」(森田)。副将に抜てきされた森田は、結果と同時に投手陣全体の底上げも求められていた。例年よりも投げ込む量を増やし、各々の投球スタイルを身体に叩き込む。冬を経て、彼らの放る球は勢いを増していた。
  ベスト4をかけた国士大世田谷戦は山村が先発。試合中、森田は一度もブルペンに姿を見せなかった。「緊急登板する不安は一切なかった」(森田)。そこには同僚への絶大な信頼が表れていた。試合は濱崎(コ3)との盤石なリレーで相手を寄せ付けず、勝利。15年ぶり、見事関東4強に躍り出た。

大黒柱の矜持
  勝負にこだわる。今までのスタイルに限界を感じた大貫は、基本に戻って練習を始めた。試合を意識し集中して打つことで、課題であったメンタル面の弱さも克服。確かな自信を胸に、試合を迎えた。
  最優秀防御率のタイトルを獲った・片山(16年度卒)と、投手陣の信頼厚い女房役でもあった旧主将・榛葉(しんば=16年度卒)の引退。昨年春リーグ2位に導いた主力の多くがチームを去った。そんな中、残されたエースの自覚が森田を奮い立たせていた。
   思い起こされるのは昨年秋に行われた清瀬杯。9年ぶりに出場した全国大会だ。負ければ終わりのトーナメント戦で先発を任されたのが当時2年生の森田だった。チームの期待を一身に背負う重圧の中、1つの失投に動揺しリズムを崩してしまう。5回5失点であえなく降板しチームも敗北。屈辱と先輩への申し訳なさで涙が止まらなかった。「俺は後悔してないぞと榛葉さんに言ってもらって。それから絶対0点に抑えるっていう意地が芽生えたかな」(森田)。
  もうあの時声をかけてくれた榛葉も、兄貴と慕う片山もいない。これからは自分たちが投手陣を引っ張っていく時代だ。だからこそ去年よりチーム成績が落ちたといわれるのは絶対に嫌だった。ピンチでギアを上げ、闘志あふれる全力投球のエース。そこには昨年以上に、マウンドで気持ちをむき出しにする森田の姿があった。
  「森田のケツはいつでも俺らが拭いてやる」(山村)。後を投げる山村らへの安心感が、森田の躍進を支えているのだろう。ひたすら先を駆ける森田はいつでもチームの原動力だ。「チームが勝てればそれでいいからさ」(森田)。これぞまさにエースの本懐である。(山田 裕人)  

 





【女子バドミントン部】
全力羽球!宿願叶い歓喜の涙 春季リーグ 2部 昇格


  立大女子バドミントン部が29年ぶりに偉業を成し遂げた!4年生の夢への熱い思いと新戦力の活躍が功を奏し、リーグ戦全勝。入れ替え戦ではどこにも負けない団結力で念願の昇格を果たした。明るい未来へ彼女たちは突き進む。     

 

道標

    
  「3部優勝、2部昇格」。毎シーズン口にしてきたこの言葉を、ついに現実のものとした。実に四半世紀以上ぶりの昇格を、チーム全員でつかみ取った。
   立大が所属するのは3部Bブロック。5試合のリーグ戦は、1校につき3シングルス2ダブルスの団体戦だ。鍵となったのは昨季敗北を喫した東海大戦。第4試合に中條(済4)・堀内(済4)ペアが登場。二人が決めると試合を制する重要な一戦だが、7−11と追う展開に。「ここを一番に頑張らないと」。自分に言い聞かせ、頭を切り替える中條。後に続く後輩に負担を残してはならないと意地を見せ勝利。リーグ戦全勝でのブロック優勝を遂げる。目標達成へと大きく前進した。
  そして、Aブロック首位との3部優勝決定戦。ファイナルゲームまでもつれ込む白熱した試合が続く。勝敗の行方は、最後のシングルス・有川(文1)に託された。
   上坂(済4)とダブルスでも出場する彼女。そのときとは違い、一人で背負う重圧は計り知れないものだ。そんな彼女の背中に仲間からの声援が降り注ぐ。疲れ切った極限の体をのけ反り、全力のスマッシュで貴重な1点を奪う。21−19で試合を制すると、ほっとした表情をつくった彼女たち。運命の入れ替え戦へと駒を進めた。

結実
  
   対戦相手は神奈川大。昨年、勝敗数の差で惜しくも2部昇格を許した因縁の相手だ。しかし立大の選手たちは2部を経験した相手を前にしても、臆することなく勝利の一点のみを見つめて挑む。
   第1試合を落とすも2連勝し、第4試合の中條・宮崎(コ4)ペアが決めれば悲願の昇格へ。2人は4年間の思いを秘めてコートに立つ。2年の冬から主将を務める中條は、今までの思いを羽球に込めプレーをする。仲間のために、また自分自身のために。相手のアウトを誘い勝利した瞬間、これまでの苦労が走馬灯のように駆け巡る。“昇格”が決まり、緊張の解れた頬に一粒の涙が伝った。
  4年生が入学した時、「絶対2部に上がれる」と即戦力として期待された。しかし毎回あと一歩及ばず、悔しい思いをするばかり。最後のチャンスに賭けていたからこそ、試合後に流した涙はあふれ出た積年の思いを意味していた。
   3部降格してから29年、歴史を変えてみせたマドンナたち。今大会、全勝を飾りチームに大きく貢献した遠山(済2)はこう語っていた。「絶対に4年生を2部でやらせたい」。先輩と後輩の絆が深い所も部の魅力の一つだ。秋はこのチームで2部に挑む。昇格は、決してゴールではない。ここからが本番だ。   (松下咲貴子)

 




【自転車競技部】
クラス2昇格から早2戦ひたすら前へ高速エース クラス1昇格 橘田


  年間を通して行われたロードレースカップシリーズ最終戦。本紙前号、クラス2昇格を取り上げた橘田(きった=コ2)や澤部(済3)が出場した。強敵を寄せ付けぬ激走で橘田がクラス1に昇格した!     

 

神宮への想い

    
  東京のど真ん中で行われる神宮クリテリウム。クラス2以上の選手が3人出場し、大学対抗で競い合う。クラス2の最上位になると、クラス1へ昇格することができる。  
  立大からはクラス2の橘田と澤部、クラス1の関谷(観4)が出場した。全選手62人のうち、クラス2の選手はたったの17人。今大会は橘田と澤部にとって、またとない昇格のチャンスである。立大でクラス1の選手は関谷ただ一人。彼らの昇格はチームにとって、非常に大きな戦力となる。事前にコースも調べ、この大会に挑んだ。  
  神宮で昇格することを目標にしてきた橘田。クラス2以上でないと神宮は出場できない。半年前から、ピークを合わせるために、トレーニングを重ねる。練習データを数値化することで、効率よく練習量を増加。2月の合宿でさらに自分を追い込み続けた。そのかいあって、大会直前に出場権を得る。一方、澤部は思うような走りができておらず、クラス2で結果を出せずにいた。  
  結果を残したい。それぞれの思いが交錯する中、レースが始まる。橘田は理想の走行ラインを走ろうとするが、取り合いになる。途中、澤部の援護も受け、集団の中で体力を温存する走りを続ける。すべてはゴールスプリントのため。澤部と共にペダルを回し続けた。

 

到達とその先

   迎えたファイナルラップ。半数近くの選手は脱落した。クラス2の選手は橘田と澤部を含めた数人。集団のスピードが上がるが、橘田は今まで溜めていた力でついていく。前を走るクラス2の選手は残り一人となった。「絶対に勝たなければいけない」。 橘田は闘志を燃やし、ペダルをさらに強く踏み込む。狙いを定めて、運命の最終コーナーに差し掛かった。  
  同じ内側のラインを走っても追い抜けない。橘田はコーナーの立ち上がりに賭ける。あえて外側を走り加速。先行するクラス2の選手は、内側でもたついた。狙い通りアタックできた橘田は、ついに追い越しに成功する。トップスピードまで加速し、そのままゴールラインを駆け抜けた。
  「正直ほっとした」。 走り終わった橘田の順位はクラス2の1位。果たせた神宮での昇格。念願が叶い、彼は笑顔を浮かべた。澤部は惜しくも昇格は逃す。しかし、クラス2の6位でゴールを通過し、実力を見せつけた。  
  昇格後、他大の選手からのプレッシャーも感じるようになった。その中、橘田はクラス1の初陣で入賞を果たす。入学早々、クラス2へ部内最速昇格をした北井(営1)をはじめ、チームメイト達は橘田の背中を追いかける。「名ばかりのクラス1ではいけない」。 橘田は真のエースとなるために、ペダルを回し続ける。目指す先はクラス1の表彰台。彼の加速は、もう止められない。 (東海林航平)  

 



 

 


 
 






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