立教スポーツ第218号

<7月6日更新>
   
     

    
【野球部】  
ミスター長嶋御前試合で59年ぶり歓喜
栄光のV戦士RIKKIOを全国に轟かす!!
日本一
 

  物語には続きがあった。六大学を制した立大がとうとう日本一へ。51年ぶりに出場の全日本選手権で、59年ぶり4度目の栄冠をつかみ取った。翌12日のパレードは、日本一パレ―ドに格上げ。池袋の街が沸きに沸いた。2017年春、巻き起こした立大旋風は、人々の記憶に深く刻まれた。       

日本一の三本柱
  自分だけが世界を経験していない。共にしのぎを削ったライバルたちは皆世界に羽ばたいていった。「自分と彼らは何が違うのだろう」。いつしか彼は自分自身に劣等感を抱いていた。
   優勝決定後のインタビュー。開口一番、胴上げ投手中川が初々しく笑う。「大げさですが、今日は人生最後の試合だと思ってマウンドに立ちました」。紫一色に染まった三塁側スタンドの大歓声を、黄金ルーキーが一身に受けた。
  若き投手陣が導いた。田中誠・手塚・中川で4試合を投げ抜きわずか7失点。六大学1位の防御率をたたき出した力は本物だった。 
  初戦の対富士大戦、準々決勝の対天理大戦ともにビハインドから逆転し白星をつかんだ。準決勝は、初回に奪った1点を守り切り東海大北海道に0封勝利。
  国武大との決勝戦も、先制を許す。だが直後、打線が爆発した。大東の3ランなどで一挙5得点。投げては手塚から中川への継投が成功し、投打で圧倒する。9回表、二死。中川は最後の打者を投ゴロに抑えると、両手を強く突き上げる。ナインはマウンドに駆け寄り、日本一の喜びを分かち合った。
 

規格外のルーキー
  勝負にこだわる。今までのスタイルに限界を感じた大貫は、基本に戻って練習を始めた。試合を意識し集中して打つことで、課題であったメンタル面の弱さも克服。確かな自信を胸に、試合を迎えた。
  中川にとって、中学3年次以来の全国。それでも、堂々たる投げっぷりで次々と猛者を斬った。圧巻は対天理大戦。3点を追う4回途中から登板すると、完璧な投球で流れを呼び込む。延長10回、タイブレークによる一死満塁のピンチにも動じない。4、5番を仕留め、逆転勝利につなげた。     
   「彼じゃないとあんなに平然に投げられない」と指揮官は最敬礼。さらに準決勝、決勝も好救援し、決勝を観戦した長嶋氏には「素晴らしい」とまで言わしめた。3試合で13回1/3を無失点に抑え、1年生ながら最優秀投手賞に輝いた。
  強いメンタル好投を支えている。もはや、緊張は“好物”。「ピンチの方が力を出せる」と胸を張る。これが、中川の神髄だ。
  先輩の環境づくりも大きい。「ライバルというよりは、互いに高めあう仲間」と田中誠。リーグ優勝後に手塚を加えた3人で、祝勝会として焼肉を食べた。試合では先輩から常に激励の言葉を受け、力に変えてきた。そして最後、良き弟分は歓喜の中心で輝いた  
 

秋には“続編”
  勝負にこだわる。今までのスタイルに限界を感じた大貫は、基本に戻って練習を始めた。試合を意識し集中して打つことで、課題であったメンタル面の弱さも克服。確かな自信を胸に、試合を迎えた。
   しかし、左腕の兄貴分はその陰で素直に笑えなかった。「悔しい。決勝で投げたかった」。田中誠は正直な心情を吐露した。今大会2試合に先発し自責点0。準決勝では、つぶれたマメの痛みを我慢しながら110球を投げ込んだ。投球、見せた気概はエースそのもの。それでも決勝で登板できなかったことを悔やむ。「リベンジしたい」。
   右腕の兄貴分も不完全燃焼だった。準々決勝と決勝に先発した手塚は、2試合とも5回をもたずに降板してしまった。後輩に救われる結果となり、「今大会は50点。秋はもっと頑張らないといけない」と冷静に先を見据える。 
  「神宮大会も優勝できるように頑張ります」。優勝インタビューの最後、中川が強く宣言した。テッペンを獲っても、男たちはさらなる成長のため腕を振り続ける――。物語は、まだ終わらない。 (浅野光青)

 





【準硬式野球部】
“強気”が織りなす結束力、六大学王者誕生 立教の時代 春季リーグ33年ぶり


  12年越しの悲願叶えた! 関東でその強さを証明した立大。リーグ戦では幾多の接戦を制し見事優勝を決めた。次のステージは全日本。主将・三好佳太焉i社4)が中心の新チームが、今度は全国にその名をとどろかせる!     

 

接戦乗り越え

  
   対戦相手は神奈川大。昨年、勝敗数の差で惜しくも2部昇格を許した因縁の相手だ。しかし立大の選手たちは2部を経験した相手を前にしても、臆することなく勝利の一点のみを見つめて挑む。
   第1試合を落とすも2連勝し、第4試合の中條・宮崎(コ4)ペアが決めれば悲願の昇格へ。2人は4年間の思いを秘めてコートに立つ。2年の冬から主将を務める中條は、今までの思いを羽球に込めプレーをする。仲間のために、また自分自身のために。相手のアウトを誘い勝利した瞬間、これまでの苦労が走馬灯のように駆け巡る。“昇格”が決まり、緊張の解れた頬に一粒の涙が伝った。
  最後のカードは東大戦。もはや、ここまで激戦を制し続けたナインに隙は無かった。三好の奇襲をきっかけに初戦を獲ると、同日勝ち点で並んでいた明大が敗北しチャンスが訪れる。
  運命の2回戦、王者に相応しい試合を見せた立大に遂にその時が来た。最後の打者の打球が三好のグラブに収まると、グラウンドは歓喜に包まれた。
  何度も優勝を逃し続けて来た立大。だが今年は違った。それは主将を務める男の努力の他なかった。

主将の背中
  
  最後の優勝から12年の月日が経っていた。昨春こそ2位と健闘したが、秋は5位。「全部変えるぐらいの事をしないと勝てない」。新主将に任命された三好は危機感を覚えていた。
  彼は始めに部員の意識改革に取り組んだ。自らの態度で示すため、就職活動を最小限に抑えた。「優勝のために削ってるから」。                                                                                                                         
  今でこそ信頼される主将の三好。だが大学で主将を務める気は無かった。野球は実力社会。大学3年間の主将は全員甲子園出場者。その中で彼は上に立つことに不安を覚えていた。
  「でも実際主将になったら実力なんて関係ないって思った」。 主将の自覚が彼を突き動かし、立大を最高の結果へ導いた。
  「優勝はうれしいけど、これで満足じゃない」と選手たちは口々に語る。次に六大学の覇者を待ち受けるのは全国の舞台。準硬式野球部を変えた立大ナインのさらなる挑戦はまだ始まったばかりだ。(伊藤康平)

 




【陸上競技部】
新主将劇的勝利だ! 関東インカレ 井口 男子2部110bH 
V努力のヒロイン復活ランだ!! 女子1部10000b 2位


  年間を通して行われたロードレースカップシリーズ最終戦。本紙前号、クラス2昇格を取り上げた橘田(きった=コ2)や澤部(済3)が出場した。強敵を寄せ付けぬ激走で橘田がクラス1に昇格した!     

 

逆風抜けて

    
   陰りが見えた。2月に急性胃腸炎により入院を余儀なくされた出水田。体調不良でも次々と迫るレースをこなさなければならなかった。練習不足から生まれた不安が付きまとう。苦しい冬に彼女は冷静に自身を見つめ直した。  
   「状況を把握して、最低限の走りをしようと思った」。出水田の強さの秘けつは自分を持つ力と地道な努力。目線は最後の関カレに移した。積み重ねた練習の分だけ自信を取り戻していく。
  勝負のときがきた。出水田は落ち着いた様子でスタートに着く。号砲と共に勢いよく先頭に躍り出ると、集団を率いてレースを作った。中盤でも2〜3番手をキープし、ラスト1周の鐘が鳴る。先頭での競り合いは最後の直線へもつれ込み、2位でフィニッシュ。僅差で1位には届かなかった。しかし表彰台には、暗雲を断ち切った彼女の晴れ晴れしい姿があった。  
  「レベルが高い中での2位なので自信になった」。出水田は久しぶりに頬を緩ませた。さらに、先日発表された台北ユニバーシアード代表者にも名を連ねた。出水田イヤー再来の予感だ。復活だけでなく、進化を目指す。もう、誰の背中も見たくない。

 

追い風力に

 
   新主将の鮮烈なお披露目だ。男子110mHに出場した井口は声援を背に決勝のスタートラインに立った。最後のハードルまで先頭で跳び越えるもラストに猛追を受ける。2人同時にフィニッシュへ飛び込んだ。電光掲示板の1番上には井口の名前が。「4年生に優勝を約束していた」。上級生への感謝とともに喜びを噛みしめた。  
   予選・準決勝を2位で通過した井口。「調子は良いのにタイムに繋がらない」ともどかしそうだった。ここで力になったのは部員の後押しだ。「一人だと固まって終わっていた」。チームで戦う雰囲気が高まっている近年の立大。決勝まで気配りや声掛けを欠かさない。周囲のサポートが井口の歯車を噛み合わせた。優勝の瞬間、井口は支えてくれた応援スタンドに向かって力強く拳を突き上げた。
  今大会をもって主将の座は井口に受け継がれた。彼は部内随一のムードメーカー。「あいつはどこかおかしい」と監督に笑われるほどだ。そんな彼だが部に対する姿勢は人一倍真剣。「お互いに思い合い、成長し合えるチームにできたら」。ひょうきんな新リーダーが、誠実に陸上競技部を前進させていく。     (小西修平)  

 



 

 


 
 






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