立教スポーツ第219号

<10月5日更新>
   

    
【モーターボート・水上スキー部】  
魅せた!回った!跳んだ!泣いた!
インカレ アベック優勝
3年ぶり男女王座奪冠!!
 


   モーターボート・水上スキー部が3年ぶりに男女で全国制覇を成し遂げた!自由を削り水上スキーに懸け、手にしたのは最高の仲間たち。初日から続いた慶大との接戦は最終局面に。全員でここまでやってきた。苦難の涙がようやくうれし涙に変わるーー。オレたちの立教が一番だ!



4年間と3日間

  勝利への執念がチームを一つにする。歓声が一帯を包む。感情を出し切ったかに思えた3日間。それでも涙があふれてくる。やはり、この景色は最高だった。
  立大は3年前にアベック優勝を達成するも、一昨年は男子のみ、昨年は女子のみ。歓喜に立ち会った世代がラストイヤーの今年。勝負のインカレが始まる。
  水上スキーは3種目の合計得点で競う。女子は幕開けから圧巻だった。トリック・荒川(文4)が復路を自身最高難易度の技で始める”攻め”の演技で1位に。さらにこの記録で驚異の日本新記録を達成。最高の流れを作った。
  スラロームでは江面(えづら=法4)が「自身最高の滑りができた」と2位に食い込む。優勝を目前にすると、勢いそのままに他を圧倒する女子2連覇を達成した。
  男子は慶大に次ぐ2位につけ、最終種目・ジャンプにアベックVを託す。主将・土屋(社4)の滑走で首位を奪取すると、勝負の行方は慶大の最終滑走者に。皆で肩を組み、結果を待った。
  肩に置いた手が自然と離れる。辛くも逃げ切りに成功。重圧から解放され、歓声で水面が揺れる。泣きながら男女全国制覇の喜びを分かち合った。
  水上スキーにどっぷり浸かった四年間だった。時間があれば練習拠点の一つ・琵琶湖に泊まり込み。家にいることも少ない。大学生らしい生活など送ってこなかった。それでもVへの軌跡は肌に黒々と刻まれている。あらゆる日々を越えて日本一のチームへと成熟していった。
 

また紡がれる

  毎夏行う共同生活では昼夜笑い合い、応援は熱く楽しく。インカレ最終日、慶大にリードを許していた時ですら「面白い展開じゃねえか」と監督はニヤリ。逆境をも笑って超えるのが彼らだ。
  しかし、一時期「楽しいのが立教なのに笑えていなかった」(土屋)。部内で密かに不平不満が溜まり続け、知らず知らずのうちにチームは不安定に。ついには5月に行われた試合・CS 1で敗北。チームと向き合うことを余儀なくされた。
  開いたミーティングは数知れず。時には陽が昇るまで続いた。「4年生を勝たせたいチームじゃない」。 コーチ陣も愛のムチを振るう。泣きながら帰路についたこともある。部はどん底にいた。
  そんな中、意外な選手が転機を生む。内堀真綸(観4)。 インカレのメンバー選考で漏れた唯一の4年生だ。夏合宿最終日に行う本番の予行演習で現役最後の滑走を終えた。目の当たりにし、皆感じる。四年間はこれほど重みがあるのかーー。あれほど衝突を繰り返したのに、一つの円になって泣きじゃくる。中心にはその日のヒロインがいた。
  後輩の後押しも大きい。インカレ前日には色紙を贈り、4年生を大泣きさせた。伝統ゆえに、バレバレのサプライズだ。それでも江面は「このチームでよかったと思えた」と目を細める。誰もが復活の立役者だった。
  試合後に行われた引退のあいさつ。日本一の主将は泣き腫らした顔を上げて胸を張る。「どこよりも楽しいのが、立教だろ」。     (小西修平)  
 

 





【水泳部】
一泳入魂!!瑞奈スマイル弾ける!
石森 インカレ女子100m自由形 銅


  石森瑞奈(観2)がついに表彰台に上った! インカレ百b自由形において第3位。「ベストを更新して、メダルを取る」。春のスランプを乗り越え、何度も口にしてきた目標を遂に達成! これまで度々紙面に登場してきた彼女が、メダル獲得に喜びを爆発させた。     

 

孤影

  
   ガッツポーズが出た。自身に、そして立大の仲間に向けて。本来、石森はレース後に感情を表に出す選手ではない。「本当にうれしい」。言葉通り、喜びに満ちた瞬間だった。
  石森にとって2回目となるインカレ。前回は7位入賞もタイムは伸びず、「満足度は20l」。同世代の中で戦うためにスクールから大学へと拠点を変えた。
  立大での練習は量や内容が違い、自主性が求められた。環境の変化と強豪校との圧倒的な練習量の差。一人で抱え込んでいた不安をコーチに話すと、安堵(あんど)から涙があふれた。「やるしかないんだ」。己を信じ、腹をくくった。2度目の挑戦が始まる。
  前日の二百b自由形は決勝5位。順位こそ良かったものの、彼女の思うようなタイムは出なかった。「もしかしたら…」。メダルへの自信は薄れていく。 
  翌日の百b自由形。予選を4位で通過し、決勝進出を難なく決める。レース直前、互いに励まし合う他大の選手が目に入る。3日間の大会を通じて立大から決勝に残ったのは石森一人。心細く感じていた彼女の元に同期が励ましに来てくれた。共に練習をしてきた仲間の心強い言葉に、張り詰めていた緊張がほぐれた。

晴朗

  選手から一番近い応援席に水泳部の仲間がいた。手を振り、スタートの瞬間を待つ。目標は自己ベストを更新しメダルを取ること。
  合図が響き飛び込んだ。
  得意の前半は4位も、自己ベストを0.2秒上回る好ペースで折り返す。後半でどれだけ粘れるか。最後の50bに全てを懸ける。
  普段は苦しい後半も「ふわふわした感じ」だった。周りが気にならないほど集中していた。ペースを落とさず、力強くゴールの壁を叩く。一年でどれだけ変われたのか、結果が楽しみだった。電光掲示板を見るより先に仲間の歓声が届く。
  「もしかしたら――」。2度目は的中した。振り向くと上から3番目に石森の名前が映し出された。100分の1秒。4位とは“タッチの差”だった。念願のメダルと4年ぶりの自己ベストをマーク。有言実行してみせた。さらに、立大記録の付いた結果に「満足度は100lです!」。
  泳いでも泳いでも自己ベストからほど遠く、苦しんだ時もあった。「泳ぎたくない」と練習が身に入らない時もあった。数カ月前の自分に今、声をかけるならば――。「楽しんで泳いだ方が結果は出るよ」。曇りない心からの笑顔が表彰台で輝いた。(池田真由香)

 




【ソフトテニス部男子】
遅咲きのハードヒッター“守り”習得で覚醒だ!!
東インカレシングルス 石川史上初3位


  団体戦のエース石川仁貴(現3)が第60回東日本ソフトテニスシングルス選手権で3位入賞! 3年間個人タイトルのなかった男が、大番狂わせを巻き起こした。前人未到の記録の裏側には1年かけて変えた戦い方、団体戦での屈辱があった。     

 

変革の年

    
  石川がついに、待ち焦がれた個人での成績をたたき出した。団体戦の勝ち頭として3年間戦い昨年は2部優勝に大きく貢献。だが、そこまでの道のりは決して華々しいものではなかった。1部との入れ替え戦で大金星を挙げる実力者であるにも関わらず、個人戦では1部の主力選手たちの前に敗れ続けてきたのだ。
  全国から名だたる選手が集まる世界に苦戦を強いられていた男は監督にこう告げられる。「打つだけじゃ勝てない」。 その言葉の意味が当時1年生の彼には理解できなかった。強打で打ち負かすのが高校から貫いてきた戦い方だった。
  変わらなければ。そう思うようになったのは2年生の春のこと。石川が最も尊敬する先輩である高橋(15年度卒)の一言だった。「打つだけじゃ上には通用しない」。 1年前、監督に言われたことと同じ。攻め一辺倒だった男はプレースタイルを変えることを決意した。
  打つだけの単調なリズムの中に、高い軌道の球で緩急をつけて相手のタイミングをずらす。それが鋭いストロークの決定力を上げる。試行錯誤の1年が始まった。

 

新・石川流

 
  今春のリーグ戦は、まさかの3部降格だった。昨秋の2部優勝の立役者は、3部との入れ替え戦で格下に勝ち星を許し降格を決定づけてしまったのだ。雪辱を果たすため、東日本インカレに懸ける思いは熱かった。
  シングルスでの過去最高位はベスト64。これを超えるには鬼門の4回戦を突破しなくてはならない。今回も3回戦までは圧勝、正念場はここからだ。立ちはだかるのは、昨年度インカレ個人準優勝の安藤(早大)。 敗れ続けた1部の主力選手の一人だ。団体戦の悔しさを乗り越え、守りのプレーを取り入れた。1年かけて完成させた新たな石川流が安藤を前にようやく花開く。繰り返されるデュースを粘り勝ち、死闘を制した。
  大番狂わせの男は葛藤の中にいた。安藤を下して満足感は十分、さらに棄権を考えるほど体力は限界。それでも気持ちは落ち着いていた。「ここからは気楽にやろう」。 快進撃は終わらない。
  5回戦まで勝利し、準々決勝へ。マッチポイント、石川渾身(こんしん)の打球が相手のコートを2度跳ねる。立大史上初となる3位入賞。個人タイトルのなかった遅咲き男が大仕事をやってのけた瞬間だった。 (三平敬太)  
 

 





【剣道部】
勝負師の一閃
52年ぶり 関東学生男子団体3位


  剣道部男子が半世紀ぶりに3位入賞という快挙を成し遂げた! 同時に3年ぶりとなる全日本出場権も獲得した。個の強さとチームワークを生かし、ついに上り詰めた準々決勝。命運を託されたのは、気丈で気さくな一人の勝負師だった――。     

 

大将の気概

  
  静まりかえる武道館。その一本で、勝負が決まる。大役を担ったのは、澤田(営4)だった。長丁場の末の代表者戦に、会場にいた全員の熱い視線が注がれていた――。
  7人で挑む団体戦。勝利数・取得本数を競い合う。引き分けた場合、時間無制限・一本先取の代表者戦が行われる。
  準々決勝で対するは、因縁の大東大。昨年度初戦で当たり、代表者戦で惜しくも敗れた相手だ。
  この日の形勢も芳しくはなかった。先鋒(せんぽう)から副将までの6戦すべてで、両者一本も譲らない互角の展開。迎えた大将戦、ついに試合が動いた。開始1秒で放たれた面と、敵陣から上がる大きな拍手。痛手と思われた一打。だが、この一本は今村(文4)の気負いを消した。
  「どうせなら見せ場を作ろう」。 負ければ敗退が決まるこの局面。残り40秒で勝負を仕掛ける。放ったのは、リスクの高い逆胴。守りが手薄になる上、有効打突とされにくい大技だ。同時に相手も面を打つ。訪れた束の間の静寂。制したのは、捨て身の覚悟で挑んだ今村だった。
  主将の底力で、勝負の行方は代表者戦へ。手に汗握る一戦。この戦況を食い入るように見つめる1人の剣士がいた。

副将の決意

  副将・澤田。「代表者戦になったら俺が行く、だから取り返せよって思っていました」。大将戦後のミーティング。計り知れない重圧を、一手に受ける覚悟を決めた。
  練習でのストイックさは、人一倍。筋力トレーニングを徹底的にやりこみ、難しい技の練習も行う。主将から「勝負師」と評される彼。その性格は、負けず嫌いを絵に描いたようなものだ。
  臨んだ天王山。互いに手の内を探り合いつつ、試合は進む。ぶつかり合う二剣士の気迫。にらみ合いは12分にも及んだ。
  熱い闘志とは裏腹に、その戦いぶりは落ち着いていた。打たれないことを第一に。相手の一瞬の隙を見逃さず、得意技のこてを放つ。一斉に上がる白旗。息をのむような雰囲気は、この瞬間に歓喜の渦へと変わった。
  「相手とは自分が一番合うかなって思っていました」。土壇場でも冷静に相性を見極める。揺るがない判断力が奏功し、チームを半世紀ぶりの大躍進へと導いた。
  そんな彼も、面を外せば三枚目。ピンチすらも楽しんだ。試合後、「基本能天気なんで」とお茶目に語る。しかし、その額には大粒の汗。爽やかな笑顔の中に、勝利への底知れない情熱が垣間見えた。 (久保田美桜)
 
 

 





【テニス部女子】
打って舞!攻めて未来!共打で快進撃だ!
インカレダブルス8強


  エースが最強タッグを組んだ!橋未来(法3)と村橋舞(文2)がペアとしての全国デビュー戦でベスト8。結成から1年足らずだが結束力は固い。2人の連携プレーが強敵をも打ち砕く!     

 

着実

  
  橋が多彩なボレーで相手を欺き、村橋が射抜くようなストロークを放つ。これが2人の勝利の形だ。正反対の持ち味が合致する瞬間、彼女たちはどんな強豪とも渡り合える。
  インカレ出場権が懸かる春の関東大会。しかし緊張感から初戦で敗れ、敗者復活戦へ。最初から上手くいくことなどない。気負わず地道に勝ち抜いた。インカレ予選へ駒を進めて以降も「絶対いける」。自信を持って2戦とも攻め切った。周囲の声援を背に本戦への切符を得る。
  ついに猛者が集う憧れの地へ挑む。1・2回戦は快勝し、3回戦。敵の巧みなラリーに応戦できず第1セットを奪われる。流れを変えたのは日没によるコート変更だった。気持ちを切り替える契機となり一気に点を重ねる。第2セットを奪取した。 
  第3セットはタイブレークに突入。あくまで普段通りを意識する。後衛が鋭いショットで相手の球を浮かせ、前衛がスマッシュで決定打。豪快な一振りは敵をおののかせる。黄金パターンで8強にまで上り詰めた。
  橋がボレー、村橋がストローク。得意の戦法がはまると、「2人で点を取ってる感じがする」(橋)。この功績は個性が掛け合わされた結晶だった。

信頼

  
  昨年の秋。部内で組みたいペアの希望を取ると、互いが互いの名を挙げた。勝負所では絶対に引かない強気な選手同士。攻めのペアの誕生だった。
  橋は昨年数々の好成績を残しているダブルスの名手で、村橋より1つ先輩だ。新しい相方に、「去年のことは関係ない。一緒に一から頑張ろう」と伝えた。自分の持てるダブルスの極意を徹底的に教え込んだ。
  一方の村橋も、その姿勢に懸命に応えた。元々ダブルスが苦手だった彼女。基本の位置取りや分析の仕方は「一から未来さんに教わった」。全てを吸収しようと必死に食らいついた。
  感情の起伏が多い橋とクールな村橋。当初その対極さを不安視していた橋は、距離を縮めるべく積極的に話しかけた。他愛のない話から部活の悩みまで多くを語り合ううちに「舞は心の内に秘めているタイプ」と知った。苦楽を共にする中で互いの強さも弱さも見せ合った。
  性格も得意技も正反対。だが共通する豪快さは不思議と人を魅了する。ミスしても無理に励まさないのが2人らしさ。「どこ打ってんの!」と軽く笑い飛ばす。その絶妙なバランスに惹きつけられる。ファンができるのも納得だ。 (森下友紀子)
 

 



 

 


 
 



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