硬式野球部

神宮の主役達 番外編
上重新主将に聞くB
 〜リタイアから得たもの〜

 99年秋以来の天皇杯奪還に向けて、11月7日から早くも新チームが始動している硬式野球部。そのチームを束ねる02年度の新主将に、上重聡投手(コ3)が選出された。 投手の主将は、本学では53年以来49年ぶり、東京六大学でも97年の川上憲伸投手(明大=現中日投手)以来5年ぶりのことだ。しかも甲子園を沸かせ、六大学一の人気と知名度を誇る上重の主将就任は、大きな注目を集めている。
(取材:坂本・久野、構成:坂本)

リタイアから得たもの

上重は今季、初めてベンチ入りを外れた。多田野に続く主戦投手のリタイアで、チームは低迷を極める。自身も1年間通して乗り切れないまま、大学3年目を終えようとしている。

―学生やファンは、上重さんのけがのことや今の状態が気になっていると思うんです。
もう大丈夫です。まだ恐怖感が多少ありますが。

―秋季リーグはどんな感じで投げていたんですか?
6月に盲腸をしてからいっぱいいっぱいで仕上げてきたので、やはり無理が出てしまいました。明大戦で内転筋を痛めてしまって。早大戦も痛かったんですけど、無理して出て。外野での出場もあって、内転筋をかばうようにしていたら両ひざも痛めてしまって残りの試合には出られなかったんです。結局は内転筋よりも、ひざのけがの方が試合に出られなかった理由としては大きいんです。やっぱりひざが痛いと何もできないんで。

―では、リーグ戦中はウエイトトレーニングとかをしていたんですか?
走り込みもウエイトもまったく何もできなかったので、ノックを打ったりとか裏方に回ってました。もしかしたら、それで主将に選ばれたのかもしれませんね。

―今季はスタンドから試合を見ることが多かったと思いますが、何か感じたことはありますか?
同じ野球部でもグラウンドにいる人とはだいぶ違うなと思いました。何のためにここにいるのかとマイナスに考えてしまったりもしました。ほかのメンバー外の選手でも納得した上でその場にいるならいいとは思うんです。でもそのためにはみんなが練習を一生懸命にやらないと。その上で全員が納得しているメンバー、メンバー外じゃないといけないなと思いました。

―新人戦の時に羽田野(経2)がいい打撃を見せてくれましたが、なんでも上重さんが打撃フォームのアドバイスをしたと聞きました。
教えるのが得意、というよりは好きなんですよ。例えば自分が打撃投手やっている時に、打席に立っている選手のフォームとかについて何か感じることがあったら、間違っててもいいから黙っているよりも言ってあげた方がいいかなと思っているんですよ。で、アドバイスしたら「あらら、打っちゃったよ」って感じで。

―高校では八番などを打っていたと思うんですが、大学に入ってどうして打撃が良くなったんですか?
PL(学園高)の八番に入ってた時なんて、秋から甲子園まで32打席1安打とかで、なんでこんなに打てないのかってくらいにホント駄目だったんですけど、大学では気楽に打席に立てるようになりました。周りは打たなきゃという中で、自分は適当に打てるので、それが良かったんだと思います。

―では、今年を振り返られて、どんな1年でしたか?
物足りない1年でした。春はねんざでいっぱいいっぱいで投げて、秋はひざを痛めてしまって。自分の出せる力が、あっ、そんなに大した力ではないんですけど、結果として出せなかった。

―ついてないなとか思われたりは?
うーん・・・宝くじが当たるわけじゃないですし・・・。けどまぁそうですね。そういえば振り返るとそんなにいいことがあんまりないですね。いやけど次にいいことがあると思ってやりましょう!

―大学3年間の満足度というのは?
30lくらいですね。しかもその30lという数字はすべて完全試合ですね。1年の秋に優勝をを経験したんですけど、何もできなかったんで。投手としていっぱい勝ちたい、そしてチームの勝利に貢献したいと思っていたんですけど。そんなに甘くはなかったという感じですね。

―大学での成長したなと思う点は?
考え方が変わったということですかね。高校まではがむしゃらがすべてだったのが、大学に入って冷静に物事を判断して、いろんな角度から物事を考えられるようになったと思います。大人になったといえば大人になったんでしょうね。
(第4弾に続く)