硬式野球部

 3季ぶりの天皇杯奪還を狙う本学にとって、その実力をはかる格好の舞台となるのが春季オープン戦だ。3月7日〜4月9日にかけて武蔵野新座グラウンドを中心に15試合が行われ、その中から本紙は3月21日の国学大戦、28日の青森大戦、4月7日の国士大戦の詳報をお届けする。いずれの試合も昨季をけがで棒に振った左腕・持永(経4)が登板。3試合ともに結果を出し、貴重な左腕は復活ののろしを上げた。

春季オープン戦 vs国士大

4/7  13:00〜 武蔵野新座グラウンド 晴れ

国士大 000000003  3 木城、近沢、●八筬、村山‐辻
立  大 000100111x 4 持永、佐藤、○小林‐今村

 開幕まで2週間と迫り、オープン戦も残すところ3試合。開幕前最後の登板となった持永(経4)が昨秋の故障からの復活に向けて、満点回答を出した。
 登板するたびに威力を増す直球が、今村(観4)のミットに吸い込まれる。球速は135`も出ていないだろう。しかし、その伸びは球速を補って余りあるものだった。「バランスがよく、腕が振れた」というように、高めの吊り球で三振を奪うなど直球で押す。九回に2長短打と四球で1点を失ったものの、八回までわずか2安打の好投。直球がいいだけに変化球も効果的で、国士大打線は本学バッテリーの術中にはまり凡退を繰り返す。八回までわずか91球だったことからもわかるように、ストライク先行で付け入る隙をまったく与えなかった。試合後、好投にも「たまたまです」と語り、「まだ調整は7・8割」とリーグ戦に向けて余念はない。今後は直球の制球と、ヒジを痛めたこともあり封印していたスクリューの出来が課題となりそうだ。
 打線も調子が上がってきている。一番に入った渡辺が2盗塁。八番の阪長(経2)とあわせてプロ注目の捕手・辻から3盗塁と機動力を発揮し、塁上をかき回す。国士大の2番手・変則下手投げ左腕の近沢に対しては徹底して右打ちをするなど打線に意識の統一が見られ、これが七回の今村の右前適時打につながった。また五番の松倉(経3)は好調を維持しており、サヨナラ打を含め3安打2打点の活躍だった。
 しかし、同点の九回裏、無死一塁から二番に入った内田(コ4)が犠打を失敗(三振)して肝心なところで走者を送れない。斎藤監督も打順にはまだ頭を悩ましており、打撃力、走力、小技のうまさなどを勘案しながら、まだしばらく模索し続けることになるだろう。
 ケガ人が多いのも監督の頭が痛いところだ。長距離砲・清水(経3)と福井(歓2)、手塚(法1)が依然戦列を離れている。渡辺も肩痛を抱えており、負担の少ない二塁に入るなど万全ではない。これにより内田が遊撃に入り、内野守備にもひずみが出ている。エンドランの打球に好反応を見せたようにソツなくこなしてはいるが、「守備範囲を考えると」(斎藤監督)と不安が残る。
 全体的に調整は順調に進んでいるとはいえ、2週間を残して課題も多いと言えそうだ。
(坂本)

春季オープン戦 vs青森大

3/28 13:00〜 武蔵野新座グラウンド 晴れ

青森大 100000000  1 雁部、●千代谷、豊澤、他‐細川享
立 大  01000323× 9 ○持永‐今村

 昨年の全日本大学選手権ベスト8の強豪・青森大相手に9回150球を投げ抜き、1失点に封じたのは、多田野(観3)でも、上重(コ3)でもない。第3の男・持永(経4)だった。
 150球という球数からもわかるように、内容は決してよくなかった。初回先頭の工藤に四球を与えると、二死二塁から四番・細川享に右翼線への適時二塁打を許し先制される。その後も計6四球と制球に苦しむが、それでも1点に抑えられたのは、丹念に低めを付いていく持ち味を失わなかったからに他ならない。最終回に本塁打性の当たり(中越え二塁打)を打たれるなど詰めの甘さも見せたが、悪いなりの投球で東北の強豪を封じ込めたことは、シーズンに向けて大きな自信となっただろう。
 一方、低調だった打線にもここにきて復調気配が見えている。ヒザを痛めていた和田(コ3)がスタメン四番・三塁手で出場し、3打数2安打2打点と快復をアピール。全日本から復帰した主将今村(観4)も犠打を連続して決めた後、バスターエンドランで決勝点を挙げるなど、しっかりと役割を果たした。
 右肩を痛めた松倉(経3)と渡辺(経3)がそれぞれ指名打者、二塁手と本来とは違うポジションに入るなど、万全ではないが役者がそろってきた本学。二番手左腕の千代谷の内角へ食い込む直球にてこずったが、疲れの見えた六回裏に4連打とスクイズで一挙3点を挙げたようにつながりも出てきた。
 また日替わりだった左翼手も徳田(観2)に固定されそう。本職は捕手だが、得意の打撃を生かすために転向し、今日はスタメン三番で、追い込まれながらも中前に弾き返すなど非凡なところを見せている。
 七・八回と相手投手の6四死球の乱調で間延びし、両校とも集中が切れるシーンがあったのは残念だが、本学にとって、得点差以上に収穫のあった試合といえるだろう。
(坂本)

春季オープン戦 vs国学大

3/21 12:10〜 武蔵野新座グラウンド 晴れ

 国学大 031200000 6  ○上岡、原田、大木、梅津‐皆川、片岡
 立  大 001100000 2  ●川島、佐藤、持永‐徳田、横山

 開幕を1カ月後に控えた本学だが、その調子は「極めて悪い」(斎藤監督)。最大の原因は、相次ぐ故障者にある。主軸が期待される清水(経3)、和田(コ3)、加えて期待の新人手塚(法1)まで戦線を離脱。打順も固定できず、日替わりメンバーでの戦いを強いられている。
 その打線は今日の試合でもつながりを欠いた。全体に振りが鈍く、選球眼もいまひとつ。どうにか2点を取ったものの、復調の兆しは見えていない。一方の投手陣もベンチ入りを狙う川島(経3)、佐藤(経3)の両右腕が序盤で大量6点を失い試合を壊してしまう。制球が悪く四球を出し、カウントを取りにいっては打たれる悪循環。
 だが、五回から登板した持永(経4)は違った。5回を被安打1の無四球、すべて3人で抑え込む。「コースを狙える段階ではないが、いい球がいっていた」と言うように、若干球が上ずるものの、持ち前の投球術で国学大打線に的を絞らせない。試合後、斎藤監督も「順調だね。リーグ戦経験者は持っていき方を知っている」と絶賛する内容で、昨秋のケガからの復活を大いにアピールした。

斎藤監督「(チームの調子は)極めて悪い。特に打。メドが立たない。(新戦力の起用に)ケガ人が多いからその代わりに出ている。昨日までベンチに入っていなかったのまで使っているぐらいだからね。今年の1年生は(高校での)実績が違うから期待している。ケガ人が戻らなければ1年生の開幕スタメンもあるね。多田野(観3)、上重(コ3)、持永、速水(経3)は70lくらいできている」

持永「故障はもう快復しました。いい球はいってるけど、まだコースを狙える段階じゃないです。フォームも固まっていないですし。(リーグ戦で)自分がどこで投げるかわからないので気持ちを持っていくのが難しいですね。(副将としては)特にこれといってはやってません。1年生に声をかけるぐらいです」
(坂本)