ボート部

ナックル選手権優勝

 ゴールした瞬間、五人のこぶしが天に向かって高く突き上げられた。嬉しさの余り、不安定な艇の上で思わず立ち上がる。初レースで初優勝。福島(観1)、本田(社1)、木下(法1)、福原(文1)そしてコックスの花岡(観2)は体中でその喜びを表現した。
 7月8日、快晴。この日の戸田漕艇場は、いつもの大会時とは違うなごやかな雰囲気だった。第5回関東大学新人ナックル選手権競漕大会。この春入部した1年生を中心に、普段はボートを漕ぐ機会のないマネジャーや、大学によっては舵取り役のコックスが漕手として出場したりもする。どこかイベント的な要素も含むこの大会だが、各大学とも1年生漕手たちにとっては自分たちの力量を試す絶好の舞台でもあるのだ。1週間前に行われた全日本軽量級選手権において、男子舵手なしペアが銀メダルを、男子舵手なしフォアが銅メダルを取り勢いづく本学は、先輩たちに続けと優勝を狙って大会に挑んだ。
 本学からは立教A、立教B、立教Cの3艇が出漕。この中で、1年生漕手で編成された立教Aは予選から他校を寄せつけない圧倒的な強さを見せる。続く準決勝では早大理工学部と大接戦を演じ、わずか0.1秒差で決勝への切符をつかんだ。そして迎えた決勝。「練習量では(他大の)どこにも負けていない」(福原)という自信を胸に、初の大一番にも動じる事もなく他のどこの艇よりも速くゴールを切った。堂々の優勝だ。
 大会後、本田は「(練習量から考えれば優勝して)当然といえば当然だった」と冷静に語った。が、コックスとして、4人を鼓舞した花岡は「練習量があっても優勝するというのはたいへんなこと。口で言っても実際は難しい。不安と自信の両方があったが最終的には最高の結果だった」と、健闘をたたえた。
 今年のボート部の新入部員の中で、漕手は5人。このうち優勝クルーの福島、本田の二人は高校時代からのボート経験者だ。木下、福原はそれぞれ野球とサッカーをやっていたがボートは未経験。また今回けがのためもあって優勝クルーには乗ることのできなかった小林(文1)はスポーツをちゃんとやること自体初めてだという。ボートに関するスタートも入部の動機もばらばらだが、5人ともやる気は十分。切磋琢磨して毎日を過ごしているようだ。自宅を離れての合宿所生活について問うと、意外とみんな普通にやっていけているとのこと。小林が「この生活は無理でもなく楽でもなく、自分がいい環境で鍛えることができる」と語るように、充実した毎日を送っている様子だ。
 そんな5人に今後の目標をを聞いてみた.まず現時点での実力はナンバー1と言われる福島は「インカレに出たい。(最終的には)決勝に出たい」と頼もしい。又、大会前にけがをしてしまった小林は『体を痛めないように基本的な体力をつけて、まずはちゃんとした体を作りたい」と意欲を見せる。そして、8月11、12に行われる東日本選手権に出場する木下、福原、本田の三人は大会に向けての豊富を語る。ダブルスカルで出場する木下と福原は「未経験者の2人だから予選突破が目標」(木下)、「ボートをはじめて間もないが自分の力を出し切って予選突破を目標にしたい」(福原)と口をそろえる.シングルスカルに2部で出場の本田は「2部だから成績を残したい.優勝して当然(くらいのきもちで)」と気合十分だ。
 優勝という最高の形でスタートを切った彼ら。秋には新人戦も控えている.今、例年にまして好調な本学ボート部の中で、いろんなものを吸収し成長してほしい。彼らはまだ、秘められた無限の可能性に向かって漕ぎ出したばかりだ。

(野島)