取材雑記@

ボート部「お花見レガッタ」

 4月8日。今年度最初の取材。ボート部「お花見レガッタ」を見に行く。
 今まで(と言うよりもこの2年間)無為に取材を続け、紙面になるものだけが当然の事ながら形になった。
 今年で三年生になる。つまりは立スポとしては最後の現役生活である。「最後だから」というわけではないのだが今年は紙面になるのとはちょっと違った趣で取材を「形」にしていこう――ということを二、三ヶ月前から考えていて、今、戸田公園駅に向かう電車の中でこの文章を書いている・・・。
 9:20 赤羽。今日は少し早く起きる。他の部員よりとりわけスポーツに関心もなく、何故立スポに入ったのか、と問われれば「なりゆき」としか答えることのできない自分が早起きしてスポーツを見てさまざまな感情をめぐらせるのは不思議な気分だ。そんな自分の想ったこと、感じたことを伝えていけたら・・・と思う。9:25 浮間舟渡。戸田公園は近い。
 ボートコースに着く。いつも思うことだが戸田ボートコースの気温は高い。実際高いのかどうかは知らないが、ともかく陽射しが強く暑い。上着を脱ぐ。 風が少し肌寒いのが熱せられた肌には心地よい。桜は満開の時期を少し過ぎた頃である。土手にも小さな花々が咲いている。その土手を下りて川辺に立ちレースを待つ間、水面をちらと観察してみる。桜の花弁は応援席に舞っているのに川面には花の欠片一つ見つからない。 そんな事を考えているうちにレースが始まっていた。艇の集団がやってくる。 周囲の声が一段と高くなり艇が過ぎるのと同時に声も過ぎ去っていく。残念ながらそのレースは最下位。しかしレース云々よりもその美しさに心を打たれる。漕ぎの規則的な動き、そしてオールが水を掻く音、選手の吐息。全てが一つとなって体に染み込んでくる。
今日はこのレースのみ。5分間の間に全てが決まる。
 インタビュー。女子ダブルスカルの小島と皆川。二人とも初のインタビューらしく少々緊張した感じは受けたが、
「昨日(予選)の反省を活かすことができなかった」「技術面がまだ不足している」「スパートは良かった」「レートに気を使うことに集中した」・・・
など様々なことを聞くことができた。反省点は多い。反省点が多いということは成長する糧がその分あるということである。しかし「新人戦(昨年10月)に比べたら大分良くなってきた」という二人。そんな二人が「最大の目標」とするのは6月に行われる東日本大学選手権での優勝。とは言うものの、いずれこの二人が全日本の顔となる日も来るのかもしれない。新しい力を見ると先のことにあれこれ思いを巡らせて、胸が高鳴る。
 ともかく、楽しみだ。
(篠原)