ホッケー部男子

「エース篠原ここにあり」

 
 最悪のスタートだった。本学ホッケー部きってのスーパースター、篠原の体調不良による入院などで、秋季リーグ第1戦、第2戦を大黒柱不在で臨むことを余儀なくされた本学。そしてまさかの2連敗。重苦しいムードが漂う中、そんな空気を一掃してくれたのが第3戦だった。(写真上=言わずと知れた”2部のドン”篠原(理4))

 前半、退院直後ということもあり、体力的な心配のあった篠原を左サイドにおくも、攻撃に精彩を欠き、0−1で折り返す。だが後半、満を持してエースを本来の中央へ戻すと、ベンチの監督からの「よくなってきたよ〜!」という言葉どおり、本学らしいプレーがよみがえる。そして後半16分、「今まで篠原さんに頼りすぎていた。(篠原さんを欠いた)あの2試合で、自分たちだけでもゲームを作ることができて自信につながった」と語ってくれた阿部(経3)が、相手GKを交わす、技あり同点ゴールを決める。こうなれば流れは一気に本学。夏から練習を積んできたという右サイドからの攻撃を中心に、多彩なホッケーをくり広げる。そして28分、復活した大エースが相手DFを蹴散らす豪快なシュートをたたき込む。そのまま逃げ切り秋季初勝利。マネージャーの目には大粒の涙が溢れていた。(写真右=値千金の同点ゴールを上げた阿部)

 この試合を通して痛切に思い知らされたのは、やはりエース篠原の存在感だ。これまでの試合でも阿部が語る通り、形にはなっていたが、どうしても決定力に欠いていた。だが篠原一人が入っただけでまるで別のチーム。この日も1得点1アシストと全得点に絡む活躍でチームを勝利に導いた。次の試合まで幸い時間はたっぷりある。それまでに体調を万全にし、再び華麗なプレーを見せほしいものだ。GK山中(法2)の活躍も忘れてはならない。本学ホッケー部の誇る最後の砦がこの日も見せてくれた。持ち前の積極性で、とにかく前へ前へ出て攻撃の芽を摘むんで行く。あの神がかり的な好セーブの連発が何度チームを救ったことか。「残りの試合は無失点に抑えたい。とにかくがむしゃらに勝ちにいく」と述べたその表情は、名実ともに守護神に成長したという確かな自信に満ちていた。新戦力の台頭も著しい。小久保(法1)が希薄あふれるプレーで相手DFをかき回し、チームを盛り立てれば、桑原(社1)も堅実な守備で貢献する。「いっぱいいっぱいだった」とは言うものの、共に1年生とは思えない堂々としたプレーを見せてくれる。小久保は1年生ながらすでに前線の軸として、桑原は大きな可能性を秘めた成長株として監督の期待を一身に背負う。今季で引退する篠原の穴を埋められるよう、より一層の成長を願う。(写真右=果敢にゴールを狙う小久保)

 今年は新入部員が7人という大豊作の年。ポジション争いも可能となり、チームは活性化している。しかし、やはりまだ大事な場面であせりからくる単純なミスが目につくのも事実だ。課題は多い。だが勢いは充分。あと2戦、死に物狂いでなんとしても勝利をもぎとってほしい。そして今度は「勝利」の涙のみにとどまらず、「昇格」の涙で我々を魅了してほしい。
(阿部)