ラグビー部

緑の地平 夢を追いかける場所

 

 
 秋の空はどこまでも澄み渡り、降り注ぐ光は鮮やかに風景を照らし出す。目の覚めるような好天――。天の祝福を受けて、緑のフィールドは始まりの日を迎えた。

 本学富士見グラウンド。体育会員が日々汗を流すこの場所に、それは現れた。ラグビー場が全面、芝に張り替えられたのである。10月4日、竣工・祝別式が行われ、同日練習も開始された。
 芝のグラウンドをつくるということは、並大抵のことではない。芝のホームグラウンドを持つ大学はごくわずか。昨年度対抗戦Aグループの覇者、早大でさえも、今年の夏に芝のグラウンドに移転したばかりだ。ある人は「途方もない計画だった」と言い、またある人は「夢がかなった」と言う。ただ、主将の沼田(社4)の言うように「最高の環境」を得られたことはだれもが認めるところだ。ラガーマンならば皆、芝の上を駆けることを願うだろう。

 式の中では、本学の八木チャプレンによりグラウンドに聖水が振りまかれ、洗い清められた。チャプレンを先頭に、選手、OBをはじめ参加者が連なってグラウンドを一周する。厳かな空気が辺りを包む。喜びと同時にある、緊張感――。こうしてグラウンドの改修がなされるにあたって、OB会などの援助が大きな支えになったことはまぎれもない事実である。それは来年で創部80周年という伝統の強みであり、現役選手に寄せられる期待の大きさをも示している。そして、すべてのものの希望を内包して、門出の日の緊張感は生まれる。

 「夢のグラウンド」に足を踏み入れると、ふかふかと柔らかいのがわかる。思わず手を触れてみる。秋の日差しを浴びてほっこりと温かい。芝の一本一本がしなやかだ。これならば、タックルの練習をしても衝撃が抑えられるだろう。水はけも良いのだろうか。数日前の強い台風で雨に打たれたはずだが、すっかり乾いている。抜群のコンディション。思うにそれは、使うものの真価を如実に映し出す。格好良いプレーは、より格好良く。格好悪いプレーは、より格好悪く。素晴らしい環境を使いこなせるかどうかは選手たちにゆだねられる。「最高の環境」が彼らの躍動を引き立てるだけのものになったとき、彼らはきっとさらなる高みにいる。

 祈とうの後、沼田が祝い酒の乾杯の音頭を取った。現在、Bグループでリーグ戦3戦全勝しているチームを引っ張る主将。グラウンド改修に尽力した関係者への感謝の言葉ともに、念願のAグループ昇格へ向かって飛躍していくことを誓った。
 成し遂げるべきもう一つの夢。それをつかむための準備は整った。今日も紺のジャージーは緑のグラウンドを駆ける。新たな歴史は、ここから始まる。
 
(岩田)