ハンドボール部

チーム
(後編)
そして、終着点へ




 春季リーグでの5部降格、ただ勝つことを目指し練習に励んだ夏、そして迎えた秋季リーグ。この半年、ハンドボール部が歩んできた道は平坦なものではなかった。その道のりの終着点に、まさに彼らは立っていた。

 10月19日、日体大で行われた5部・6部入れ替え戦、対学習院大。全てを発揮する時が来た。「もう負けることはできない」皆、思いは同じだった。


 試合序盤、本学は果敢にゴールを狙うものの得点に結びつけることができない。更に10分間で3人の選手がイエローカードを出される状況になり、本学は試合の主導権を相手側に握られてしまう。
 これまでも、序盤に先制されそのまま追いつくことができずに勝利を逃した試合は多い。しかしこの大一番で本学は、その悪いパターンを繰り返さなかった。
 1−4まで引き離された前半8分、田畑(経2)のシュートを皮切りに本学の追撃が始まったのである。萩原(文4)を中心とした攻撃で本学は得点を重ね、前半26分、主将・細口のシュートでついに逆転・細口は更に追加点を挙げ、本学の勢いは止まらないままに、9−8で前半を終えた。
写真=長いリーチを活かした大城(社3)の追撃のシュート

 そして後半。速攻から逆転を狙う学習院大の攻撃が始まった。点差はわずか1。追いつかれれば流れを持っていかれてしまう恐れもある。
 そのような状況下でも、本学は常にリードを守り続けた。それはチームの結束が導いた成果であった。

 細口は、ディフェンスに関して「意思統一ができていた」と語る。萩原と細口を中心としてポストプレーからの攻撃を防ぎ、さらには新鋭GK山口(社1)が決定的な速攻もものとしない好セーブをやってのけるなど、チーム全体のディフェンスによって本学のゴールは固く守り続けられた。攻撃面でも、細口が相手ディフェンスの一瞬の隙を突き計4点を挙げる活躍を見せ、試合は15−12で後半20分を迎えた。
写真=身を投げ出しながらのシュートで大野(経2)がリードを広げる

 「このままいけば勝てる」と誰もが確信したであろうその時、本学に大きなピンチが訪れた。残り時間10分で、田畑が2枚目のイエローカードにより2分間の退場となったのである。さらにその2分間に、本学は15−14まで追い詰められてしまう。
 しかし彼らは最後まで攻めの姿勢を崩さなかった。
 まず、コートに戻った田畑が「退場してしまったことでの『借りを返す』」という思いを胸に、速攻から貴重な1点を決める。その熱意はチーム全体の勝利への執念となり、さらなる強さを見せた。

 そして後半29分、萩原がとどめのミドルシュートをゴールへ突き刺した。彼にとっては現役最後の試合、このシュートにどんな思いが込められていたのだろうか。

 全員の熱い思いで満たされたコートに、試合終了のホイッスルが響き渡る。
 結果は17−15、本学の5部残留決定。悔しさを噛み締めたあの春の日から続いた彼らの長い戦いは、勝利の笑顔で締めくくられたのである。(=写真)


 立教大学・ハンドボール部。彼らはどんな逆境にもめげない底力と、他のどのチームにも負けない団結力で熱いドラマを見せてくれた。
 幾多の苦難を乗り越え、ともに成長してきた仲間たち。そしてこのチームを1年間引っ張ってきた細口。全てを終え、「本当に疲れた」と語ったときの彼の清々しい表情は、満足そのものだった。
                                                       
(2003年10月24日・津布久)

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