硬式野球部

背番号1
――その先に見えるもの――


 8勝6敗1引き分けでリーグ戦を終え、一年ぶりのAクラス入りを果たした本学。「いいゲームをしても勝てない試合が多かった」(坂口監督)という昨年は2季連続5位。しかし、立大は「勝てるチーム」になった。エースとして5勝を挙げた小林(コ3)を軸とする投手陣の安定がその大きな要因であることは言うまでもない。加えて、それを援護する打撃陣の成長。中でも私は加藤(法4)に注目したい。今季、本学の「1番・レフト」は加藤の指定席だった。


 1番打者に求められるもの――それは「出塁」である。

 加藤は今季、59打数14安打。打率は2割3分7厘と奮わなかったが、死四球の数は15。「ピッチャーはきわどい球を見逃されるのが一番嫌だと思う」と話す加藤は、その確かな選球眼を武器に「嫌がられるバッター」を目指している。その結果、3割9分2厘という高い出塁率をマークした。頼れる「1番打者」の活躍で本学に打線の繋がりが生まれた。シーズンを通しての起用に対し、「責任と自信がついた」という。


 中学時代はシニアで野球をし、学校では陸上部に所属していた。今季は11盗塁と俊足を存分に発揮。「チャンスがあれば狙うようにしている」と常に先の塁を伺っている。
「1番打者」の仕事は「塁に出て、ホームに帰ること」と加藤は話す。今季は15得点と本学が挙げた67得点のおよそ4分の1を記録した。本塁に生還した回数を表す得点は、「1番打者」を評価する上で非常に重要な数字である。

 加藤が一度も塁に出なかったのは対慶大3回戦、対明大2回戦の2試合のみ。この2試合はいずれも敗れている。特に対明大2回戦は3−4と僅差での敗戦だった。「1番打者」の出塁はチームの勝敗をも左右する。

 活躍が光った対明大1回戦。自由獲得枠候補の一場(明大)を相手に本塁打を含む3安打を放つ。第一打席では148`のストレートを中前にはじき返すと、守備の隙をついて二塁を陥れる。二打席目は右前打で出塁。0−2で迎えた第三打席。二塁に走者を置き、133`の変化球を右翼席に叩き込んだ。自身初の本塁打は、流れを本学に引き寄せる貴重な同点弾となった。



 本学は今季、開幕戦を6−2と白星で飾った。「先制、中押し、ダメ押し」で確実に点を重ねる試合運びに強さを見た初戦、私は今年のチームに可能性を感じた。まだ、成長途中でもろい部分があることは否定できない。しかし、「勝ち方」を知り、勝てる自信をつけた本学は確実に強くなる。その中で加藤が果たす役割は非常に大きい。最後のシーズンとなる秋にどのような形で4年間の集大成を見せてくれるだろうか。私の目には99年秋以来の「優勝」が加藤の背中越しに見える。


(2004年5月27日・米倉)