準硬式野球部 
〜白球の追憶 流れを引き寄せた明大戦〜



 今季2位という好成績を残した本学準硬式野球部。最終戦を終え、私は主将・川内(文4)に今季一番印象に残った試合について訊ねた。すると川内は「明大との1戦目」と答えてくれた。

 開幕して間もない9月11日、本学は多摩一本杉球場で明大との試合を迎えた。明大の先発は昨シーズン最優秀選手に輝いた柳野。しかし、この強敵に本学のナインは臆することはない。「まずは一勝」。決意を胸に相手に挑んだ。

 二回表に二死二塁から森(経4)が右前に安打を放つと、二塁走者の築島(経2)は本塁を目指し一気に駆け抜ける。相手の好返球に阻まれ惜しくもアウトになってしまったが序盤から積極的に攻めていく。その後も本学は犠打や盗塁などの機動力を生かした攻めを見せるが、不動のエース・柳野の前に中々チャンスを生かすことができない。

だが本学の先発・上原(経3)も要所を締める投球で相手に得点を与えることはなかった。スコアボードには互いに「0」が並び、息の付けぬ展開が続く。そしてついに両校無得点のまま延長戦を迎える。上原の投球数はすでに130球近くになっていたが、集中力を切らせることなく十回表、十一回表、十二回表と三者凡退に打ち取る。だが明大も春の王者としての意地を見せ、互いに一歩も譲れぬ展開が続く。

 均衡が破られたのは十三回表、本学の先頭打者・上原が自身を助ける二塁打を放ち、さらに相手の暴投で無死三塁となる。続く打者が倒れ、一死三塁で犠打に定評のある桐澤(社2)が打席へと向かう。ここまできたらもはや勝利あるのみ――桐澤は柳野の放った101球目をスクイズで仕留め、本学に待望の1点をもたらした。その後上原は最後まで投げきり、1−0で本学は5季ぶりに明大から白星を得た。

 川内はこの試合を「しっかり守備をこなし最小失点に抑え、スクイズなどで確実に1点を取るという立教らしい勝ち方だった」と振り返る。また「メンバーを変えたが、出した人がそれぞれの役割を果たしてくれた。特に(決勝スクイズを決めた)桐澤は地味な選手だが練習に一生懸命取り組んでいるので、結果を出してくれて嬉しい」と語った。

 確かに本学には他大の様な長打で大量得点を取る派手さはない。だからこそ守備や犠打などの基本を大事にし、チームが一つになることが出来た。まさに全員で掴んだ勝利――夏の気配が残るあの日、私は本学の飛躍を確信した。

 

 

(2005年1月6日・古屋) 







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