スケート部 アイスホッケー部門
〜氷上の格闘技・アイスホッケー観戦記〜




 昨年10月8日、私は東大和スケートセンターを初めて訪れた。本学のスケート部アイスホッケー部門のリーグ戦の初戦を見るためだ。
 重い扉を開けると、ひんやりした空気が流れてくる。秋なのに暖かい外の気温とは違い、中は冷凍庫のような寒さだ。しかしその寒さがよけいに私の心を躍らせた。またこの季節がやってきたのだ、アイスホッケーの季節が。それだけで私は試合前からワクワクしていた。
 一瞬の静寂を打ち破るように、試合開始を告げるブザーが鳴り響く――。

 本学のスケート部アイスホッケー部門は昨年4部に降格してしまったが、リーグ編成が変わり今年も3部で戦うことになった。まず、1年生が多数加わり戦力もアップした本学の今シーズンの戦いぶりを振り返ってみたい。


 10月8日、対上智大
この試合が1年生にとっての初の公式戦となった。
第1ピリオド開始早々相手に得点を許してしまう。しかしその4分後、初めての舞台ながらもおちついたプレーを見せた大友(文1)のアシストにより、エース・上原(理2)が得点を決めた。第3ピリオドにも本学は主将・夏川戸(文4)一点を返すが結果は2−6で敗北、開幕戦を勝利で飾ることはできなかった。試合後、最終ラインでチームを支える副将・佐藤(理4)は「勝ち負けにこだわって全員で頑張りたい」と最後のシーズンへの意欲を語った。


 10月21日、対学習院大
今期から本学のゴールを守るGK・呉(法3)が好セーブを連発、その中で三和(経4)が先制点を挙げる。本学は大いに盛り上がる。しかし続く第2、第3ピリオドで得点を許してしまう。その後も相手の猛攻は続くが、呉がゴールを死守する。そして試合終了まで残り5分15秒のとき、大友のゴールにより本学はついに同点に追いついた。しかしそのまま試合は終了、2−2という悔しい引き分けだった。またこの試合で相手の選手との衝突により、チームの中核をなす浅香(文4)が戦線を離脱してしまう。試合後「引き分けは負けと同じ」「勝てる試合だった」と選手たちは肩を落としたが、「次こそは勝つ!」と次への期待を感じさせた。 


 10月28日、対武蔵工大
いよいよこの時がきた。第1ピリオドを0−0で折り返した本学。第2ピリオドに大友、第3ピリオドに三和、そして再び大友がゴールを決め、3−2で今期初勝利を挙げた。残念ながら私はこの瞬間に立ち会うことができなかった。しかしその勝利がチームに与えた影響を、次の試合で十分に感じることとなる。


 11月10日、対横浜国大
先日の初勝利の流れをそのままに、選手たちは波に乗っていた。第1ピリオドで上原が2ゴールを挙げる。また第2ピリオドでは瀧(経3)と、夏川戸がそれぞれゴールを決める。今日の彼らは何かが違った。同点に追いつかれてもまた逆転してくれる、そんな勢いが感じられた。相手の38本に対し、総合で17本のシュート数ながらも本学は4−3で勝利した。試合を終えて、「試合には勝ったがまだシュート数などの内容では負けている。これからも一丸となって頑張りたい」と夏川戸は振り返った。



 11月19日、対帝京大
第1ピリオドから相手を上回る数のシュートを放ち猛攻をしかける本学。シュート数では上回ったものの、ふとした気の緩みからか、第2ピリオドでは連続して失点してしまう。その後上原がゴールを決めたものの本学は1−3で敗れた。


 11月30日、対慈恵会医大
第1ピリオドを0−0で終えた本学であったが、第2・第3ピリオドに相手の猛攻にあい、0−5で敗れてしまう。次の試合が最終戦である。流れを引き戻し最終戦で勝利することを選手たちは誓った。


 12月8日、対慶大医学部
ついにやってきた最終戦。4年生にとっては最後の試合だ。上級生として後輩たちに「勝たせてあげたい」という気持ちと、自身最後の試合を「勝ちたい」という気持ちが、否が応でも彼らの気持ちを高揚させた。第1ピリオド4分、上原のゴールにより先制、本学は大いに盛り上がる。さらに続く第2ピリオド開始2分、再び上原のゴールにより2−0となる。その後相手に攻められる場面が多くなるが流れを取り戻し、第3ピリオドを迎える。あと15分耐え切れば勝利だ。しかし、1分33秒と6分12秒に相手に連続してゴールを許し、同点に追いつかれてしまう。残る可能性を信じ果敢にゴールを狙う選手たち。だが、ついに無情にも試合終了を告げるブザーが響く。結果は2−2の引き分けだ。「引き分けは負けと同じだ」「追いつかれるという展開は悔しい」と選手は口々に語った。
 最後の試合を勝利で飾ることはできなかったが、4年生は「力を合わせることの難しさがわかったような気がする」「一人じゃできなかった。みんなに助けてもらった」と4年間を振り返った。


 今季6位という成績で終えた本学。去年は出場しなかった春の大会へ向けてのラストスパートはすでに始まっている。新しく主将に就任した筒井(法3)は「今季は勝ちきれなかったので来季は勝ちにこだわって、今までとは違う、楽しさと強さを兼ね備えたチームにしたい。春の大会は上位を目指す」と生き生きと語った。

 短い期間ではあったがこのチームを見ていて、仲の良さ、そしてホッケーを心から楽しんでいる様子がとてもよく伝わってきた。彼らのこれからのさらなる成長を、ともに見届けていきたいと心から思う。



 3月13日の午後、私は東伏見アイスアリーナにいた。そこではアジアリーグプレーオフ・セミファイナル第2戦、コクド対ゴールデンアムールの試合が行われていた。選手たちは一進一退の激しい試合を繰り広げ、立ち見もでるほど埋め尽くされた観客席には旗や太鼓を持った応援団がいて、小さな子どもからお年寄りまで、まさに老若男女がめまぐるしく移る試合に見入っていた。アイスホッケーは本来、誰でも楽しめる、身近なスポーツなのだ。

 現在、3部に所属する立大スケート部アイスホッケー部門の試合の観客席は、お世辞にもにぎわっているとは言えない。観客が多いのと少ないのとでは、やはり選手たちの気持ちの盛り上がりも違うだろう。だから「アイスホッケーは寒いから嫌だ」だとか、「マイナースポーツだからつまらなそう」という人も、まずはとりあえず自分の目で直接試合を観戦してほしい。実際リンクに足を運んで観戦すると、テレビや雑誌では伝わらないアイスホッケーならではのスピード感、パックの音、選手の息遣いなどをとても近くで感じることができる。それに触れた人はきっとアイスホッケーの虜になってしまうと、私は確信している。

(2005年3月26日・北森)










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