馬術部
〜超えるべき逆境〜

 
 世界にはわれわれが知らないようなものを含め、本当にたくさんのスポーツが存在する。そういったスポーツの中でも、動物と一緒に行うという競技は非常に数少ない。その中に「馬術」という競技がある。一度は耳にしたことがある方もいるかもしれないが、この特殊な競技である馬術部が実は立教にも存在するということをご存知だろうか。

 大学の馬術部で最も有名で最も強いとされているのは明大である。現在関東大会を15連覇中。全日本大会においても12連覇中と、大学界においてはもはや敵なしといっても過言ではない。現に世界大会に出場し、入賞を果たしている選手も存在する。他にも、専大や日大など、強豪校が高いレベルでひしめきあっている。それら強豪大学は馬術競技専門の外国産馬を使用している一方で、本学は競走馬を引退したサラブレッドを使用。馬体こそ差はあるものの、実力的な差はそれほどたいしたことはないように思う人が多いかもしれない。しかし、今までの競走馬としての能力や実績は関係なく、一から馬術競技についてを教え込んで(調教)いかなければならないため、そこに生まれる差は決して小さなものではない。

 だが、本学の馬術部は強豪校の一角を割っていくことが目標である。一昨年、昨年と関東インカレにおいては5位と、彼らとの距離は着実に縮まっているように思える。全日本インカレにおいても、本学の得意とする総合馬術競技などにおいては実績を残している。急激な右肩上がりではないが、確実に上へとベクトルは向いていた。しかしながら、今年は少し様相が違う。部員が、足りないのだ

 馬術部は人間だけでなく、馬と一緒になって行う競技である。そのため、動物である馬の世話も部員がしなくてはならない。現在11頭を抱える本学だが、4年生が卒業し、新2,3,4年生合わせ、6人しかいない。つまり1人が約2頭分の世話をしなくてはならない。1頭の面倒を見ることでさえ十分大変であるのに、そこにもう1頭となると、部員の負担は計り知れない。

 主戦の山本(社3)が主に騎乗するファーストレコードや、気性にやや難があるが秀でた実力を持つハネダダーバンなど、本学には高い能力を持つ馬が揃う。馬の力を最大限に引き出すには、競技においてだけでなく日頃の世話からしっかりとした管理をしなければならない。しかも相手は命ある動物である。ぞんざいな扱いは決して出来ない。馬術部における部員不足というのは、かなりの痛手となりかねないのだ。

 だが逆に、1人でも多くの部員が入部し、1人あたりの馬の世話の負担を減らすことが出来れば、その分練習に時間を割くことができ、部の実力の底上げを図ることが出来るのではないだろうか。その実力向上は、すなわち強豪校へ近づくことを意味している。

 その逆境は決して簡単に打開できるものではない。部員の数が少ないというのも、馬術部に限ったことではなく、本学体育会の全体が抱える問題である。しかし、目標である「強豪の一角を割る」ためには、それは必ず越えなければならない壁であることには違いない。そして、その壁を越えることは決して不可能ではないはずだ。本学の馬術部には相応の力が備わっている。あとは結果に結びつくのを待つだけだ。

○ 本学馬術部webサイト
 http://www.rikkyo.ne.jp/sgrp/horse/
 

 

(2006年4月19日・上野)







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