スケート部 フィギュア部門
−美しい群れ−


13年目にして新たな王者が誕生した。2006年12月29日、名古屋市総合体育館レインボーアイスアリーナにて行われた第13回全日本シンクロナイズドスケーティング選手権大会。この大会で神宮IceMessengers(以下、神宮)が第1回大会から12連覇中のライバル東京女子体育大学(以下、東女体大)を抑え見事優勝を成し遂げる。表彰式で優勝カップを掲げ、お互いに笑い合う選手たちの中には、本学スケート部フィギュア部門の米山(文4)と東(あずま=済1)の二人の姿があった。
シンクロナイズドスケーティングとはフィギュアスケート競技の一つで、1チーム16人構成で行われる。氷上のシンクロナイズドスイミングのようなもので、高度なステップや音楽との調和、集団での精密な動きなどが問われる競技だ。回転数の多いジャンプは認められていないが、ステップなどは高度な技術が要求されている。1954年にアメリカで誕生、その後北米や北欧で親しまれ1990年に国際スケート連盟に正式種目として認められた比較的新しい競技だ。世界選手権が始まったのも2000年からで、日本ではまだ認知度が低く国内では数チームを数えるのみである。
そのうちの1チームが今回、日本一となった神宮だ。8年前に結成されたこのクラブチームはメンバーのほとんどが学生。米山は大学から、東は小学校6年生から参加している。特徴は、男性4人を含む男女混合のチームだということ。演目は自分たちで曲選びから振り付けまで行い、そのなかで今年は初めて男性陣をフォーメーションの各所に効果的に配置した。これが躍進の助けとなる。神宮は自分たちで創り上げた渾身の演技で勝利を狙う。
ショートプログラム(SP)のテーマは『祈り』。静かに流れるような演技の最後に祈りのポーズを決め1位となり、フリースケーティング(FS)へ勝利の願いをつなげる。続くFSはSPとは打って変わって『決闘』がテーマ。勢いのある音楽にのり、デュエリストの世界を表現する。SP、FSどちらでもポイントとなったのは4人の男性だった。黒の衣装を着た男性陣が美しい女性陣の中で存在感を示し、全体のアクセントとなる。
シンクロは絶えず周囲を意識し、空気を感じ、仲間と動きを合わせなければならない。それができなければいい演技にはならないのだ。この日の神宮はそれが自然とできていた。FSの音楽が鳴り止んだとき、会場を包んでいたものは感動の拍手だった。神宮は追いすがるライバルを僅差で下し、日本一の栄冠をその手にした。
ずっと追いかけてきたライバルに勝利した。しかし、ここで神宮の演舞は終わらない。全日本で優勝したことで世界選手権出場が決定したからだ。今までにない大舞台に自分たちが立つことについて、東は「よくわからないが、出られるようになってワクワクしている」と話した。
今日から世界選手権が始まる。目標は昨年度の東女体大の15位を越えること。彼らの活躍に期待したい。













写真 米山=上段右から3番目、東=下段1番右
(2007年3月30日・藤谷)