陸上競技部
−バトンに込める想い(後編)−
 4×100mリレーの素晴らしい結果に沸いた本学。そして、4×400mリレーでもドラマを作り上げた。
エース・岩国が初日の4×100mリレーの予選で故障。そのため、本学は予選で予定していたオーダーを変更せざるを得なくなった。ルーキーの澤田(営1)を1走に置き、2走から4走に遠藤(社3)、後藤、平井(理3)と3年生を並べ予選に挑んだ。タイムレース上位8位までが決勝へと進める中、「この4人で予選は通る」と遠藤が語るように、堂々とした走りで予選を通過した。
そして迎えた大会最終日。大会の最後を飾る4×400mリレー決勝に、本学は澤田・遠藤・平井・岩国のオーダーで臨んだ。「勝つのが当然」。1走・澤田はその想いを胸にスタートを切る。力強い走りでトップとなり、2走の遠藤へバトンを託す。遠藤は快調にとばすものの、300m手前で他大の選手と接触し、走りのリズムを崩してしまう。しかし、「400mブロックを引っ張ってきた」という意地を見せ、2位でバトンパス。3走は予選でアンカーを務めた平井。「自分の走りができれば(大丈夫)」と、リラックスして前を追う。ラスト100mで接戦となりながら、バトンは4走・岩国へ。万全とはいえぬ状態で、ひたすら前との距離を縮める。1位との差も徐々に詰まっていき「いくしかない」とラストスパート。「応援を後押しにした」という岩国が、3′13″89の立大記録で栄光をつかみ取った。
アクシデントを乗り越え、見事優勝した本学。岩国は怪我をしてからまったく走れず、医者にも出場を止められる状況にあった。だが、「気持ちで乗り切った。意地もあった」と岩国は振り返る。そんな彼を奮い立たせたものがもう一つある。それは、他のメンバーの存在だ。「みんなを信頼して走れた」と岩国は語り、澤田、遠藤、平井も「怪我をした岩国が走った不安と、岩国が走る安心があった」という。仲間がいる。それだけ、メンバーの間には絶対的な信頼があった。
両リレーとも「全員でつかんだ」優勝。この強い絆を糧とし、本学陸上競技部の激走は続く。




                               
(2007年7月6日・桜井)