陸上競技部
〜新春の夢へ〜

 中村(嘉)(コ4)が自身2度目となる箱根駅伝出場を目指し、ラストスパートをかけている。10月18日に行われた箱根駅伝予選会の結果、個人53位(1時間1分31秒)に入り、2年連続2度目となる関東学連選抜チーム(以下学連選抜)入りを果たした中村(嘉)。学連選抜は本選に出場しない大学の選手16名で構成される。実際に本選を走るのは10名。この枠を賭けて、熾烈(しれつ)な争いが展開された―。  
 11月29日に行われた10000m記録挑戦競技会。本選を走る選手を選考する重要な大会である。学連選抜に選ばれている16名全員がこの大会の同じ組で出場した。中村(嘉)は前半、抑え気味にも好位置につけレースを展開する。レース後半にペースを上げていく持ち前の走りだ。4000mの地点では12位まで上り詰める。その後も安定した走りを見せてくれると思われたが、この日は何かが違った…。5000mを過ぎたあたりから徐々にペースが落ちていき順位を下げてしまう。トレードマークのサングラスをはずし、最後は気合いの走りでフィニッシュ。結果は30分27秒06という平凡なタイムに終わってしまった。  
 しかし、中村(嘉)は落ち込んではいない。「今月すでに2試合をこなしていて疲れがあった」と不調の理由は明瞭。また、数日前まで膝に痛みもあったと言う。だが、10000mのベストタイムでは16名中2番目と実力は明らか。今後、学連選抜の合宿や合同練習を通してその力を見せつけてくれるだろう。合宿や練習も大きな選考要因となりうる。「(学連選抜)チームを引っ張るくらいの気持ちで臨みたい」と意欲を覗かせた。4年生、そして前回の箱根駅伝出場者としての貫録は顕在だ。最後のアピールの場を控えた彼に緊張や焦りの面持ちは感じられなかった。むしろ、その表情は自信に満ちていた。その自信は必ず結果となって表れてくれるだろう。
 今春、立大選手として40年ぶりの箱根駅伝出場を成し遂げ、本学の歴史に名を刻んだ中村(嘉)。彼の走りは本学にかかわる全ての人に大きな感動と勇気を与えた。あの時からもうすぐ1年がたとうとしている。今年度は本学主将として部をまとめてきた。競技面でも、立大記録の更新や日本インカレでの上位進出など確かな成績を残している。時の流れとともに、大きな成長を見せた彼が、来春、箱根の舞台でさらなる躍進を見せてくれるだろう。
 「絶対、箱根に出ますから!」。最後に中村(嘉)は取材を終え競技場を去ろうとする私たちを笑顔で見送ってくれた―。


                

・※は主将

・予選会上位10名の合計タイムは予選会1位通過の城西大と同タイム(10時間13分20秒)
                               

(2008年12月24日・伊藤(聖))