第一回 頼られる守護神 鈴木宅馬(社2)

記事:野尻

  激しい試合の中で、最後の砦としてゴールに立ちはだかる一人の男がいる。GK鈴木宅馬だ。

  リーグ戦4位。昇格校ながらここまで健闘できた裏には、鈴木の存在がある。彼がいなくては、ゲームが成り立たない。そんな全幅の信頼が置かれている。

  彼は3歳からアイスホッケーを始め、高校は強豪校に入学。だが、高校時代はベンチに入ることすら許されず、厳しい練習に耐える日々が続いた。そして、ついに3年間出番が訪れることはなかった。「悔しかった」。その時の思いが今の彼を突き動かす原動力となっている。大学に入ると環境は一変。チームから頼られる存在となり、ほぼ毎回試合に出場する機会が与えられた。結果に大きく影響する立場になって責任を感じているという。

  小学5年生の時にGKのポジションになる。きっかけは当時のチームにGKがいなかったからだというもの。そんなひょんなことからなったポジションだが、「プレーヤーにやらせても絶対できない」と誇りをもって語る。と同時に「(アイスホッケーは)球技のGKの中で一番難しいと思う」と話す。パックは150kmを超える速さで飛んでくる。それをどの方向からきても、確実にキャッチするのがGKの仕事のため、野球でいうと360°から来るピッチャーのボールを捕るキャッチャーと例えられる。「役割や精神面は先発ピッチャーだけど」とGKの責任の大きさをそう表現する。

  アイスホッケーのことを話す時とは違い、同期のことになると照れくさそうに話し始めた。しかし、その表情は徐々に真剣なものとなっていき、一人一人を冷静に分析し、それぞれの役割や良さを語った。「恵まれている」。そう何度も口にした。6人いる2年生は全員が経験者で、鈴木同様強豪校でプレーしていた部員もいる。そのため1年生の時から主力選手として試合に出場し、プレーを引っ張っていく立場になった。学年は一番下でありながら、チームの先頭に立つということは、やはり苦労があったのだろう。そんな試練を乗り越えていくことによって、芽生えた仲間意識。それが彼らの関係を支えているものなのだ。

  「毎回練習後集まって話している」。この言葉から垣間見えるように、鈴木を始め2年生はアイスホッケー、そしてチームに対する意識が高い。2年後、彼らはチーム全体を背負っていくことになる。その時、彼らはどんなチームを作り上げていくのだろうか。
(第一回・1月6日)





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