「和」〜All Rushers Family〜


 2011年1月3日『第11回フラッグフットボール日本選手権』が東京ドームにて開催された。立教小学校ラッシャーズ、そしてRushers Football Club Junior(中学生クラブチーム)が出場した。

東京ドームにて行われた


フラッグフットボールとは?
 アメリカンフットボールは激しい身体接触があるため、一般的には「"見る"スポーツ」として親しまれ、「"する"スポーツ」からは遠いものであった。フラッグフットボールは、アメリカンフットボールで行われる「タックル」に代わって、プレーヤーの腰の左右につけた「フラッグ」を取って守備をする。また接触プレーが無く、3人から5人など少人数で男女共に楽しめることができる、まさに「"する"スポーツ」である。


試合
〇Rushers Football Club Junior vs 草津リトルパンサーズ●

 5年ぶり4回目の出場のRushers Football Club Juniorの選手たちの体つきは、もはや中学生とは思えなかった。練習ではタックルの代わりにタッチをするアメフトの練習がメインであり、フラッグフットボールの練習は試合前に少しやるという。
 前半を20−6が終わられたのが大きな鍵だった。フラッグフットボールは立ち上がりが重要なスポーツである。RFCJの先制点に対し、相手もTDを決め、1点差というせめぎあいが続く。そんな中、QB山本智也(中学3年)の選択は次々とヒットし、連続で得点を重ねていく。攻撃権が相手へ移るも、WR鈴木理央(中学3年)らのボールが吸い付くようなキャッチでインターセプト。ディフェンスの動きもばっちりだった。ゲームは46-19で終了し、見事優勝!川部監督は「イメージはある程度できていた。試合が始まる前の本人たちは緊張してが、始まったらのびのびとやっていた」と、選手たちへ信頼をおく様子だった。

試合を終え、少し緊張がとけたRushers Football Club Junior


 「勝てるだろうと思っていた」と、まだまだ余力があるようだった選手たち。普段は"タックル"を"タッチ"に代えたアメフトの練習がメインで、試合前に少しだけフラッグの練習を行っている。フラッグフットボールではタックルなどの行為が禁止だが、「時々タックルが出ちゃいそうになる」と言うように、試合でファールをもらうシーンもあった。今大会に出場していた相手チームより、レベルの高い練習に励む彼らにとって優勝は当然のことだった。

◎今日のMVP
♯8 QB 山本智也
立教教新座中学3年(立教小学校)
 今の高校3年生が小学6年生のときのフラッグフットボールの全国大会の試合を観て、刺激を受けたのをきっかけにフラッグフットボールを始めたという。試合中は落ち着いたプレーでチームを優勝へと導いた。「高校生になっても、もちろんアメフトは続ける。タックルもあって、すごく楽しみ」と無邪気な笑顔をみせた。高校での彼の活躍に期待はふくらむ。




〇立教小学校ラッシャーズ vs マッスル長糸●
 6年ぶり2回目の出場となった立教小学校ラッシャーズは、QBが大人顔負けのロングパスを放ち、タッチダウンを決めるビッグプレーが何度かあった。しかし一瞬スコアは離れるが、スキをつかれ追いつかれてしまう。1TD(+TFP)差という状況が続いた。手軽に楽しめるだけに、気を抜いてしまうとすぐに得点へとつながってしまう。試合前の緊張した表情とは裏腹に、試合に集中した姿からは口には出さずとも「絶対に勝ちたい」という思いの強さが感じられた。その結果、32-24で見事優勝!日本の頂点を手にした。キャプテンは「今まで戦ってきたチームにいろいろなことを学ばせてもらったので、そのおかげで勝てた。みんなに感謝したい。」と話してくれた。酒向監督、野村コーチたちは「勝ったというのは一瞬のこと。この勝利によってうぬぼれた人間にならないように。感謝の気持ちを忘れないことだけが一番大切。そんな人間に成長して欲しい」と望みながら今後も指導を続けていく。

プレッシャーに負けず立派に戦った立教小学校ラッシャーズの選手たち


こぼれ話
 立教小学校ラッシャーズの監督にチームのキャプテンは誰ですか?という質問をしたところ「今までは毎回じゃんけんで決めていたんです。一人ではなくチームワーク。6年生全員に責任感を持たせて、自分のやるべきことを自分たちで見つける、チームとしてのチーム力をあげようとしました。今日の試合のキャプテンは、メンバーの中で話し合わせて決めました。」と答えてくれました。


立教Rushers
 2011年は良い幕開けでスタートだ。6年前にも小学校と中学校が共に全国大会へ出場し、優勝することが出来た。観客席には約800人の小中高大Rushers、OB、保護者や関係者などの応援者が来たという。立教小中で出場し、ダブルで優勝した立教Rushersの裏側には、一心同体の関係があった。

 立教フラッグフットボールチームは今の大学1年生が小学校2年生のときにスタートした。小学校から大学までに渡るRushersの結成は、阿部重一元総監督、伊藤雅敏氏、木村雅一氏を中心とした立教のOBからなるものだった。仕事が忙しいのにも関わらず、休日などには学生へ教えに通っていた。

吉羽真治立教小学校同窓会長  「フラッグフットボールは見てわかるように、とてもトリッキーな競技。これは経験したものでないと指導することは出来ない。小学校から大学までなんとか繋げたいという熱い思いがあったからこそ、実現できたことだ。」
 アメフトの生みの親ポール・ラッシュの思いを継ぐように、アメリカンフットボールの普及活動に励む立教RushersのOB。立教高校を卒業し、他大学に進学してアメフト部に所属した選手でさえも、立教に戻って指導をしに来るという。立教大学の現役選手たちは、シーズンが終われば自ら指導に通い、中学校時代の講師たちと再会し、懐かしさにひたる。
 2007年には日米フラッグフットボール交流なども開かれ、世界選手権を経験したアメリカのフラッグフットボールチームと熱戦を繰り広げた。

阿部重一元総監督
 「本当に嬉しいこと。他のスポーツでも(小学校から大学まで繋げたスポーツ活動を)やってほしい。」
 全ては愛校心からなる。仲間を大切にし、不滅なきずなが彼らにはあった。仲間と一緒にアメフトを楽しめる喜びは、学生時代のかけがえのない思い出や経験があるから味わえる。それが立教Rushersの強みだ。


(2010年1月13日:大瀬楓)



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