アメリカンフットボール部

Professional Running Back 〜何故、男たちは走り続けるのか〜



  「1ヤードでも前へ」。すべてのRBがこの思いを胸に、白いラインの向こう側、エンドゾーン目掛け走り続ける。QBと並んでボールに触れる時間の長いポジション、RB。同時に試合中最もボールキャリアーになりうるポジションでもある、RB。オフェンスの中心であり、フィールドを縦横無尽に駆け回るRBは一見華やかに見えるポジションである。しかし彼らが抱えるボール、そして胸に抱く責任はもしかしたらチームの誰よりも重いものなのかもしれない。

QBからハンドオフを受け、ランプレーが始まる
  ランプレーとパスプレーから成るアメフトのオフェンス。その中軸を担うのはQB、WR、そしてRBだ。「QBやWRよりもボールを自分の力で動かせる。チームをプレーで引っ張ることができる」。そう語るのは高校時代QBだったという、#2金子(営4)。パスプレーよりもリスクが低く、確実にヤードをゲインできるランプレーはどのチームでもオフェンスの基礎になる。例えば、雨の中での一戦を想像して欲しい。ボールが滑り、パスプレーは非常に不安定だ。勝負はランプレーに託される。こうしていかなる場合においても、オフェンスの中心でありうるのがRBなのである。

  それでいて、"走る"だけが彼らの仕事ではない。#29吉田(社4)はRBを「バランスが求められるポジション」。だと言う。時にはOLのごとくブロックを行い、他の選手のための道を開き、時にはパスキャッチをすることだってあるのがRB。その上、強靭な肉体を持った相手DFの間を怯まずに駆け抜けるには、フィジカルとメンタルの両方において"強さ"が求められ、もちろん周囲を見渡す視野の広さも加えて必要となってくる。ラン、パスキャッチ、ブロック、フィジカル、メンタル…。RBというポジションは、アメフトの数あるポジションの中でも多くの要素が求められる、いわばオールラウンダーなのである。

  立大RUSHERSには現在、9人のRBがいる。吉田曰く「アスリート揃い」のRB陣は、主将の金子を中心とした身体能力の高い選手で構成されている。

二人の4年生
練習中の金子

  主将である金子は、自らをいわゆる"ゴリゴリ系"のRBだと言う。フィジカルを生かした泥臭いランを持ち味とし、自分自身が走ることで自ら道を切り拓くその姿は俺についてこい!と言わんばかり。後輩からも目標とされるそのプレースタイルは、まさにRBと聞いて人々がイメージするRBに最も近い、RBらしいRBだといえる。「たとえ、OLがあまりよくなかったとしても、俺が走ることでブロックを完成させる」。この言葉からもチームを引っ張っていくという強い意志が感じられる。「気持ちがあれば、ある程度どうにかなる。あまり上手くなくても、愚直に頑張る、1番頑張っているという姿勢を見せていきたい。それで後輩に『あの人は違う』と思わせるようになりたい」。 RBは「人生」だと語る金子。その熱い思いは着実に後輩に伝わっているに違いない。
アップを行う吉田











  そんな金子が「自分と真逆」だと言うのが、もう一人の4年生である吉田だ。吉田の走りの中核となっているのは"それぞれの力が出しやすい走り"。ランプレーを生み出す為にはその道をあけるブロックが必要不可欠。吉田はそのブロックを行う他のプレーヤーがプレーしやすいように、自らの走りを組み立てるというのだ。「自分ひとりの力には限界がある。だからそれぞれの力を出しやすいように走る」。自分自身を、そして周りを冷静に見ることのできるプレーヤーにしか成せない走りだろう。また、主将でありチームをまとめていかなければならない金子に代わり、RB陣を細かに指導するのが吉田である。「自分が後輩たちとつなぐ役割をしたい」と語る吉田はRB陣のひとりひとりを見つめ、その特性や状況を把握している。あくまでも冷静沈着。そんな吉田にとってRBは「ただのポジション」。様々なポジションがあり、どんな人でも活躍できるのがアメフトというスポーツ。「たまたま自分に合っていたのがRBだっただけ」。

プレースタイルから人間性、そしてRBへの思いまでどこまでも真逆な二人の4年生が立大RB陣を支えている。

アスリート揃いのRB

  また、2年の#27田草川(社2)も吉田同様に、味方一人ひとりのブロックをいかに上手に使っていくかを意識して走るRBである。彼も言う。「自分ひとりで走っていても、相手は11人いる。ブロックに道を開けてもらっている」と。そんな田草川のことを、吉田も「完成度が高く、RBというポジションを一番わかっている」と高く評価している。
相手ディフェンスに怯むことなく走る


  「バックで勝つ」と力強く語ってくれたのは3年の#8矢口(文3)だ。周りを巻き込む熱いプレーを目標としている。また一番足が速いと定評のある#36峰尾(法3)は持ち前のスピードを生かしさらなる向上を狙う。#1佐野(法3)はブロックでアピールし、また自ら声を出し積極的にムードメイキングしていきたいと言う。レシーバーから転向した#34天木(観2)はキャッチという長所を生かしつつ、RBの技術を積み上げていければ大成する可能性は十分だ。高校時代はFBだった斎賀は(済1)ブロックに優れ、将来性を感じさせる。

  さらに、高校時代に日本代表に選出された実績を持つ大型ルーキー#35茂住(異1)が加入。春季オープン戦の明大戦では2TDを決めるなど早くもその存在感をアピールしている。彼の存在が立大RB陣に新たな勢いを生み出すことは間違いないだろう。   そんな9人で誰がレギュラーの座を勝ち取るのだろうか。監督の宇野も夏の課題に「エースをつくる」ことを挙げており、誰もがそのチャンスをつかむことができるといえるだろう。来る秋に向け、エース争いは激化の一方を辿る。



チームの勝利のために彼らは走り続ける。全員がその胸にいつも抱くものそれは―― 
「感謝」。相手ディフェンスを退け道を切り拓くOL、相手の得点を防ぐため全力で守るディフェンス陣、選手たちを常にサポートするトレーナーやマネージャー、指導に当たる監督やコーチ、生活を支える家族、そしてRUSHERSを応援するすべての人への。
勝利という最高の結果を残すために彼らができること。1ヤードでも前へ。
(9月9日 佐藤優)


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