野球部

秋季リーグ戦2011 ―慶大戦展望―



  秋季リーグ戦も残すところあと3週。今週末、立大の前に立ちふさがるのは慶大だ。


  数ヶ月前に行われた春季リーグ戦を思い起こすと、一番の見物は慶大と立大が繰り広げた優勝争いだった。結果としては37年ぶりとなる勝ち点5を挙げた慶大が完全優勝を果たしたが、慶大の一戦に、そして立大の一戦に、多くのファンが心を躍らせた。しかし今、あれほどまで神宮を盛り上げたはずの両校に、暗雲が立ち込めている。すでに2つの勝ち点を落としたことで、「優勝」の二文字が遥か遠くにかすんでしまったのだ。

  そうは言っても、やはり4年生にとっては大学生活最後のシーズン。勝利へと食らいつく熱い気持ちは以前のままだ。同じ状況にいる相手だからこそ、負けは許されない。


  慶大のエースとして名を馳せるのは竹内大(3年=中京大中京)。多彩な変化球を巧みに使い分け、相手を翻弄する。明大との三回戦では8安打を許したが、クリーンナップには一切の仕事をさせず、完封に仕留めた。勝負どころでの気持ちの強さは侮れない。また、春からクローザーを任されている福谷(3年=横須賀)は、防御率0.59という成績で春季リーグ戦の最優秀防御率のタイトルを手にした実力者。終盤になってもスピードが落ちない強烈なストレートを武器に、三振の山を築く。今季は法大・明大相手に先発起用も果たし、可能性の大きさを示している。


  打撃面でも3年生がカギを握る。3番打者としての地位を確立させた山崎錬(3年=慶応義塾)への注目度は高く、打席に立つ度にスタンドが沸きあがる。その理由として挙げられる"勝負強さ"は、もはや彼を表す代名詞だ。打率はチームトップの3割5分7厘をマークし、打点は6。後ろには伊藤隼(4年=中京大中京)に伊場(4年=慶應義塾)という強打者も控えている。そうやすやすと好機を作らせるわけにはいかない。

  下級生の成長も著しい。最も注意すべきは渡邊暁(2年=慶應義塾)。春からその頭角を現し、出場機会は6打数とそう多くないとはいえ、すでに打点は2。ここぞというときの代打起用からも、その信頼の厚さがうかがえる。チームに勢いを与えないためにも、何としてでも抑えたい。


  「慶立戦はなにかが起こる」。一部の六大学ファンのなかでは、そんな噂がまことしやかに囁かれている。今春は優勝に関わる大きなエラーがあり、昨秋は20年ぶりとなる5回戦にまでもつれ込んだ。今季はどんなことが起こるのだろう。ある種の好奇心を抱き、神宮を訪れる人も少なくないのではないか。

  もちろん、選手たちはそんなことを気にしてはいられない。チームを牽引し続けてきた4年生の活躍を見られるのは、あとわずか。これまでの練習の成果を発揮し、ひとつひとつのプレーに挑むだけだ。立大が慶大に雪辱を晴らすことを期待したい。

(10月14日・井出明日香)


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