第六回「主将・平野和憲」

取材:ボクシング部担当  記事:野口一郎



  「立大ボクシング部キャプテンとして恥じない男になる!胸を張っておれがキャプテンだと言えるように。同期の選手が1人だからキャプテンではなく、おれだからキャプテンと言われるように!」立大ボクシング部主将・平野(コ3)が昨年7月の代替わりの際に述べた決意だ。

長身・低脂肪率のスポーツマン体型
  彼をキャンパスで見かけた人はパッと見て「イケメンスポーツマン?」と思うのかもしれない。180p近い長身で体脂肪率は一桁という典型的な高身長・低体重。たしかに典型的なスポーツマンではある。中学では市内陸上大会の走り高跳びで8位になったこともあり、小2から高校まで取り組んだサッカーでは高校で主将も務めた実力者だ。
鼻筋の通ったイケメン
  ただ、彼が人並み外れた闘争心を持つボクサーであることはパッと見ではわかるまい。筆者はスポーツウエルネス学科の同期で平野とは友人だ。普段はひょうひょうとして、つかみどころがない。しかし、リングの上では一変する。闘志をむき出しにして渾身の右ストレートや左ボディブローを打ち込むボクサーだ。

闘志をむき出しに渾身の右ストレートを放つ
  大学からボクシングを始め8勝(3RSC)3敗。本人は「コメントしづらい。強くも弱くもない」などと自嘲するが、その戦績は重厚だ。8勝の中には全国レベルの格上もいるし、3敗の相手はプロボクシングのA級ライセンスレベルな1部校のレギュラーや、格上校の主将が名を連ねる。ハイレベルな戦績と言ってよいだろう。昨年の3部昇格を懸けた入れ替え戦では持ち前の長い手をいかした左ジャブで相手を完封。自身がベストバウトと満足するように完璧に近い戦いぶりで、部の4年連続昇格に貢献した。さらに「1年前よりも倍は強くなっている」と手応えを感じている。彼は着実にボクサーとしての階段を上ってきた。
  彼は3年間ボクシングに真摯(しんし)に取り組んできた。良い後輩であり、良い先輩として――。仲間内であっても彼から部の文句どころか愚痴すら聞いたことはない。「○○先輩はマジすげーんだよ!」とひたすら先輩を尊敬していた。後輩に対しても暖かな目線で接し続けている。「あいつは○○がすごい!」と後輩一人一人の特性を見抜いてきた。

長い手をいかした得意の左ジャブを繰り出す
  自身をリーダーシップの無い人間と評する。後輩からすると厳しいタイプではなく「おれ、ゆるキャラじゃね?」などと冗談を言う。しかし、単に甘いわけではない。そこには後輩に対する大きな期待がある。「大学生は自分のことは自分でやらないと。指示待ちではだめ。」部員を大人扱いしているからこそ、口うるさく言わないのだろう。

  そんな彼は作り上げたい部の理想像をしっかり持っている。「私生活は大事。ボクシング部のスウェットをはいている時には自覚を持つべき。そういう姿勢が競技につながらないわけがない。日常生活がダメで強くたって単にセンスが良いだけの話。スポーツマンシップにあふれた自分からあいさつや片付けができるような、対戦相手から「立大ボクシング部は強いな!」って思われるような、迫力のある部にしていきたい」
(第六回・2012年2月15日)


Copyright (C) 立教スポーツ編集部, All Rights Reserved.