〜日本一への挑戦〜


マリーンスポーツと聞いて、多くの人は何を思い浮かべるだろうか。水泳、シンクロナイズドスイミング、ヨット、ボート、少し詳しい人であればカヌーや水球、おそらくこんなところだろう。 しかし、大学ならではの熱いスポーツが立大体育会には存在する。それが水上スキーだ。いわゆるマイナースポーツであるがその歴史は長く、全日本学生水上スキー選手権大会(以下インカレ)は1960年に行われ、今年で51回目を迎える。種目はトリック、スラローム、ジャンプの3種目で構成されている。
 簡単に各種目を説明しておくと…

トリック…競技コースを1往復し、片道20秒ずつの中で回転や、ロープをまたぐなどの演技を行いその得点を争う。
 スラローム…水面上のコースブイの外側を倒れないように回っていく。徐々に速度は上がっていき、速度が速いほどクリアした際
                 の得点が上がる。
 ジャンプ…水上に浮かべられたジャンプ台を使ってジャンプを行い、その飛距離を競う。
 (インカレではこの3種目の合計点を学校対抗で争う)


  今年の立大は、男女ともに戦力が充実しており、インカレにおいて悲願の男女優勝へ大きな可能性を秘めている。男子では主将・涌井(社4)、片山(済4)、市川(社4)の三本柱がそれぞれ学生トップクラスの実績を誇る。女子も絶対的エース・土木田(営4)が常に高得点を挙げ、 二番手、三番手に位置する井上(観4)、高柳(観3)も昨年のインカレを経験しており、団体2位に大きく貢献している。
今回は9月に行われるインカレに向けて、主力選手の熱い思いを載せていこうと思う。


男子

「打倒慶応」

  男子のライバルははっきりしている。慶大だ。実は慶大は現在インカレ3連覇中の学生王者。涌井ら4年は、過去すべてのインカレで慶大の優勝を目の当たりにし、涙をのんできた。今年の慶大も昨年同様、本間や猿谷といった昨年からの主力選手が多く在籍し、実力は十分。インタビューの中でも慶大に対する思いを全選手が語った。 3年間、同じ大学に頂点に立たれた分「打倒慶応」の思いは強い。これまでのリベンジに燃える4年生3人にインタビューを試みた。

主将・涌井真之
  主将としてチームを支え、得意種目であるジャンプでは、昨年の全日本選手権で7位に入賞。 学生で唯一入賞を果たし、立大記録も更新し続けている。「日本一になりたい」という思いで水上スキー部に入ったこともあり、インカレ優勝への思いは誰よりも強い。

「この3人で負けたくない」

―今のチーム状態はいかがですか?
  チーム力は、本当に昨日今日※で格段に変わりました。ふわついていたところとかあったけど「何か優勝できるかも」って。それが本当になくなって、本気でやれるようになってきました。みんな1年生から4年生まで同じ意識を持つっていうのは難しいけれど、慶応と比べるのは嫌だけど、それが優勝しているチームだし、そういうチームになれればいいなと思います。慶応の姿を目の当たりにして、一人一人が考えられて、それに近づいてきたのかなと思います。これからあと1ヶ月間インカレが楽しみかなって。
 ※8月前半に行われたチャンピオンシリーズ(以下CS)2日間でのこと。
―優勝するためにどの種目をどのように仕上げていきたいですか?
 スラローム、トリックは絶対に慶応に負けない。ジャンプは厳しいからスラローム、トリックで負けないということを実行できるかどうかですね。この2つで負けないことが大事だと思っています。それには実力がまだ伴ってないということもあります。合宿では今の技術をもっと上げていきたいですね。
―CSでは2年生も出場しましたが、戦力の底上げについてはどうでしょうか。
 俺が2種目で2年生に頼っているから、その2年生がキーパーソンになると思います。そういう人がいれば俺らがいなくなっても絶対引っ張っていってくれると思いますし。自分達も頑張って技術あげなきゃいけないけど、後輩も育てなきゃいけないので。
―インカレへ向けて一言お願いします。
 日本一になりたい、とりあえず日本一になりたいです。
4年が3人であっち(慶大)も3人なので、この3人で、あの3人に負けたくないです。


副将・片山響
  昨年から全種目に出場している、学生随一のオールラウンダーである片山。立大の中で唯一全種目に出場を予定しておりインカレ優勝には欠かせない選手だ。得意種目はスラロームだが、ジャンプ、トリックでも好成績を残している。 しかし、CSでは最も得意としていたスラロームが振るわず、6位に終わった。個人の課題、そしてインカレへの思いを語っていただいた。

「慶応に負けてるところなんて1つもない」

―インカレへの課題を聞かせてください。
 3種目やっていて、力入れてきたのはトリック。インカレも初日がトリックなので、そこで必ず勝って、流れに乗ってそのまま優勝するっていうのが今までの慶応のやり方でした。 今年はそのトリックで慶応に勝って、スラロームも勝って、ジャンプで追い抜かれように頑張るというのがうちのやり方だと思っています。トリックも実力的には負けてなくて、慶応との練習試合から強化してきました。琵琶湖合宿で質の高いトリックができるようになればいいなと。新しい技とか挑戦するものはもう無くて、質を上げるだけです。
 ジャンプは去年から始めたので30mぐらいしか飛べないけど、このまま1ヶ月で40mは飛べないので、できるだけトリック、スラロームで(得点を)稼いで、ジャンプにアドバンテージを残して、30m後半飛んで、あとは逃げ切りたいです。
 スラロームは得意なのに、不可能じゃないのに、でも(CSにおいて)自分はできなくて、今まで3番手の市川、涌井の分を取り返すことができなくて、他の大学の訳分かんないようなのにも負けて…。インカレでは必ず58キロを回ります。これも質をあげていきたいと思います。
―インカレへ向けて一言お願いします。
 今までこんな沢山の人から応援された事がなくて、すごく期待されているなと感じていて、それがプレッシャーでもあり原動力でもあるんですけど。このチームで日本一になりたい。
 慶応に負けているところなんて1つもないし、負ける訳ないと思っているから。このチームを日本一に導いていきたいです。


市川亮
 涌井がジャンプを得意とする一方で、市川はトリックを得意としている。しかし、CSではモーターボートの故障により、男子トリックがまさかの中止。 しかし、スラロームでは全体2位に入り、立大ではトップの成績を残した。学連幹事長として大会等の運営をする中、貴重な時間を割いて、インタビューに答えていただいた。

「みんなに恩返ししたい」

―CSのスラロームで結果を残しましたが、それについてどう思っていますか?
 今まで結果が出せなくて、それが何故だろうって考えると、根本的な技術不足もあったけど、自分が結果を出すためだけに練習していて。でも今年から去年はなんで結果が出ないかってことを考えて、チームのためにするってことを第一に考えました。仲間の応援にこたえて、感謝の気持ちを忘れずに、滑ったことがいい結果につながったのかなと。感謝の気持ちを忘れずに、みんなの声援に応えたい。恩返ししたいです。
―インカレで個人的に意識したいことはどのようなところですか?
 トリックがね。チーム最後の砦として、トリックだけは他のどこにも負けないっていうのはあるので、そこは必死に練習して、インカレで立教が1位になれるようにしたいですね。それでスラロームでも優勝して立教が(総合)優勝できるようにしたいです。
―「慶応の優勝する姿を見たくない」と監督はおっしゃっていましたが
 3年間それを見てましたからね。慶応が優勝する姿、忘れてない。あれは悔しいです。
―インカレへ向けて一言お願いします。
 優勝したいけど、応援してくれている人達に恩返しをしたいです。いろんな親とか友達とかみんなに恩返ししたいです。支えてくれた人達にも。


女子

「120%出せるチームを」

 昨年は4年生不在の中、総合2位に輝いた女子。今年のライバルは昨年僅差で3位となった学習院大だ。8月のCSでは、トリック、スラロームで井上かづみ(学習院大)が優勝。 しかし、ジャンプでは立大のエース・土木田が優勝しており、実力はほぼ互角。立大は昨年からメンバーが変わらず、レギュラーメンバーの経験値の高さが強みとなっている。確実に力を出し切れば優勝できる状況だ。今回はエースで女子チーフでもある土木田にインタビューを行った。

―女子のCS全体を振り返っていかがでしたか?
 今年は学習院がライバル。「打倒学習院」でやってきて、ただ今年になってから(CSが)学習院と戦う始めての試合だったので、明確に差も分かったし、今自分たちが何をしなきゃいけないかわかったから、とても学ぶことの多かった試合だったと思います。
―インカレで優勝に必要だと思うものはなんでしょうか。
 やっぱり、組織力とかチーム力だと思います。
―チーム全体で底上げが必要だと思いますか?
 技術とかよりも一人一人が120%出せるチームを作っていきたいなと思っています。その環境作りを女子チーフとしてやっていけたらなと思います。
―ジャンプ競技では優勝しましたが。
 目標としていた数値は全然飛べなかったので、悔しいです。
―チームの雰囲気はいかがですか?
 チームとしては格段にまとまってきて、みんなが一致団結しているので、これをさらにレベルアップというか、もっと良くしていけたらなと思います。

 9月9〜11日にかけて行われるインカレ。日本一を目指し彼らは今、1ヶ月間の厳しい琵琶湖合宿を行っている。すべては日本一のために。最後に笑うのは立大だ。


(8月23日・古谷駿太郎)




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