ラグビー部

再出発




この夏、富士見合宿を最後に、「選手」を引退し、トレーナーとなった部員がいる。2年生の矢島寛己(法2)だ。サポートされる側から、する側へ。この転身には勇気がいる。まず同期からの見られ方も今までとは変わってくるだろう。選手と違って、勝ち負けや点数など目に見える形で直接結果が得られない分、疎外感を感じることもあるかもしれない。モチベーションの維持も難しいのではないだろうか。それでも彼がトレーナーという道を選んだのはなぜだったのか――。


  「これまでのけが、教員になるための勉強との両立、指導者としての経験を積むため…いろいろ考えた。どんなに勉強が大変でも、けがが辛くても、やっぱり辞めようとは思わなかった。チームが好きだから。」

  「チームが好きだから。」この言葉に全てが集約されている。入学まもない昨年5月、練習試合に出場した際に股関節脱臼という大怪我を負い、一時は選手生命も危ぶまれた矢島。それでも1年かけて試合に復帰し、古傷の首ともうまく付き合いながら満身創痍(そうい)でチームに尽くしてきた。選手としても、人一倍悔しい思いをしてきている。だからこそ目標は、選手だった自分にしか出来ない仕事にやりがいを感じつつ、「選手の近くに入れるトレーナー」になること。現在は、脳振とうなどで通常の練習に参加できない(当たれない)選手の練習や試合前のアップを任されており、ストレッチやテーピングなど、トレーナーとしてのスキルも勉強中だという。ジャージを着ることはなくなっても、こうして再出発を切った彼の目はしっかり前を向いている。

  試合を見に来る機会があれば、サポート側の部員の目も一度見てみてほしい。一目見れば確信できるだろう。ラグビー部で戦っているのはプレーしている選手だけではないのだと。



(9月4日 田中大志郎)



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