スケート部スピード部門

菊池悠希 勝負の3年目 ―「とにかく結果を出したい」―



昨年の全日本距離別で3000M優勝を果たした
  昨年の最終戦・全日本選抜(3月下旬)で3000M優勝を果たした菊池悠希(きくち・ゆうき=営3)。昨シーズンを振り返ると全日本距離別1000Mで11位、東日本総合5位、またユニバーシアード選考会での敗戦と、彼女自身「いろいろ感じた、成長できた大学2年目だった」という。全日本距離別(10月1日・2日)を幕開けに始まった2011-2012年シーズン。長野・野辺山での合宿など苦しいオフシーズンを経て迎える勝負の3年目。彼女は再びスタートラインに立った。

全日本選手権試合風景
  昨年のユニバーシアード選考会(10月上旬)についてこう振り返る。「実力が及ばなかったのもあります」。500Mで15位、1000Mで6位、1500Mで11位の総合12位(全23人中)。シーズンの中で最も力を入れていた大会での敗戦はシーズンが終わった2ケ月後のインタビューの際も悔しさが伝わってきた。さらに彼女はこう続ける。「組み合わせにも恵まれませんでした。他の大会で自分が勝っている選手がユニバーシアードに出場していますし…」。全日本学生(9月下旬)から調子も良く、ユニバーシアード選考会もレース的には良かった、アミノバイタルを飲んで体をほぐすなど体のケアにも最大限力を入れた。ただ結果が奮わなかっただけだった。最終戦・全日本選抜で3000M優勝を果たしたが、自分に厳しい彼女にとって2010-2011シーズンは満足よりも悔しさの方が多かった。
  これまでの5年間、彼女は苦悩の日々が続いていた。高校1年生の時、順調に行けば世界ジュニア選手権に出場できるはずだった。だが練習中に転んで骨折。大会自体にも出場できなかった。「その後、大丈夫と思っていたのですが」、彼女は怪我を忘れようとしていたが、何かを引きずり続けていた。当時競いあっていた石田千賀選手(関学大)や斉藤仁美選手(神大)は強化指定選手へ。彼女はメンバーから外されていた。
  転機となったのは常に意識していた言葉である"感謝"だった。大学1年時に彼女はこう話している。

  ――尊敬できる人との会話を大切にしています、自分も頑張ろうと思えるので

  この考え方を続けてきたことによって彼女の心は変化していった。スピードを続けていくためには莫大なお金を要するため、親に援護してもらったり、ゼミでも友人に助けてもらったりと周りありきの自分だと理解。「前まではスケートとは関係のないことで悩んでいて、昨シーズンでいろいろな経験をして、気づいたらそんなことで悩んでいる自分が小さく感じ、それよりどうしたらもっと速く滑れるかを考えるべきだと思った」とも話す。
  オフシーズン、彼女は練習に励んだ。鏡を使いフォームを意識した練習、短距離のスタートに繋がるジャンプ練習や週2日で氷上。持久力をつけるため、週1日で自転車練習に取り組んだ。夏休み期間も長野・野辺山で合宿を行い、週末は東京に戻らず地元のチームで強化を図ったという。「今後スピードを続けていくか、オリンピックを目指していくか、決める大事なシーズンになるので頑張りたい、結果を出したいです」。自信を取り戻しこれでた彼女にはもう引きずるものなどない。

笑顔の菊池
  今シーズンの開幕戦となった全日本距離別に彼女の姿があった。前年度の全日本選抜で選考された36名が出場し、総合9位。惜しくも今大会でのワールドカップ出場とはならなかった。それでも昨年からの課題であった500Mで5位。「そこは満足している」とブレードの調整やスタートの練習などオフシーズンの成果がしっかりと結果として現れた。

  今シーズンは始まったばかり。インカレ・東日本などあるなか、クリスマスに神戸で行われる全日本選手権で彼女はもう一度ワールドカップ出場権をかけ戦う。
  私は彼女に言いたい、"報われない努力などない"と。
  菊池悠希の勝負の3年目を追い続ける・・・
(10月20日・石井文敏)


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